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旗艦店とは?その語源や目的・メリット・デメリットも詳しく解説
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企業のブランディングや集客のマーケティングを担う方のなかには、旗艦店の出店を視野に入れている方もいるでしょう。この記事では、旗艦店の基本から、メリットやデメリットなどを解説します。また、実際に運用されている旗艦店についても具体例を紹介するので、出店準備、検討などの際に、ぜひ参考にしてください。
目次
旗艦店の基礎知識
まずは旗艦店について、定義や目的などを解説します。
そもそも旗艦店とは
旗艦店とは、組織流通小売業において中核となるべき店舗のことです。別名をフラッグシップショップや、フラッグシップストアとも呼ばれます。
旗艦店の重点は、コンセプトや自社ブランドの訴求です。これらの形成には複雑な要素があり、旗艦店の立地がブランドイメージを左右する要素となるケースも見られます。したがって、旗艦店の出店にあたっては、立地からデザイン、内容のすべてを慎重に決めることが大切です。
旗艦店の語源
旗艦とは、元々は海軍用語で、部隊の指揮官が乗船する司令旗を掲げた船のことを指します。つまり、部隊にとって重要な船が旗艦として位置づけられているということです。
このことから、多店舗展開の企業における代表的な店舗が旗艦店と呼ばれるようになりました。フラッグシップショップも、フラッグは旗、シップは船(艦)であることから、同様に旗艦店を意味する言葉です。
旗艦店の目的
旗艦店を出店する目的は、企業やブランドによって多岐にわたります。とはいえ、主な目的は企業やブランドのアピールであることが一般的です。特に、ファッションやアクセサリーなどのブランドでは、旗艦店からブランドイメージを顧客に伝えるケースが多々あるでしょう。
店舗面積の大きな旗艦店を出店すれば、多くの商品を配置してアピールできます。話題性のある旗艦店を出店してメディア露出を多くすると、企業やブランドを広く認知させることも可能です。
旗艦店と直営店の違い
旗艦店と混同しやすいのが、直営店です。直営店とは、多店舗展開する企業が直接経営に携わる店舗のことを指します。多店舗展開する企業のなかでも特にフランチャイズ企業は、企業が経営する直営店と、企業とフランチャイズ契約を結んで運営する加盟店に分かれます。
企業が直接運営する点では、旗艦店と直営店の経営形態に違いはありません。企業の方針や指示もトップダウンで伝わりやすく、現場が迅速に対応できる点も同様です。大きく異なるのは双方の役割で、旗艦店は企業やブランドのイメージアップやアピールなどに重点を置きます。直営店が重視するのは、新規顧客の獲得や顧客のロイヤルカスタマー化のほか、売上や利益の追求です。
旗艦店のメリット
旗艦店を持つと、企業は以下のようなメリットを得られます。
大企業にも対抗できる
中小企業であっても旗艦店を利用すれば、クリティカルマス戦略を展開する大企業に対抗することが可能です。クリティカルマス戦略とは、豊富な人・物・金を投入し、短期間に圧倒的な知名度を獲得する経営手法を指します。最初は赤字でもリソースを割く必要があるため、資金力のある大企業以外が実施するのは難しいでしょう。
しかし、中小企業でも旗艦店を局地的に出店して自社の魅力を前面に押し出すことで、差別化を図りながら優位性を保てます。また、旗艦店の出店に成功したら、次の旗艦店を増やしていくことでシェアの拡大が可能です。
旗艦店にしかできない戦略に挑める
旗艦店は、その他の店舗にはできない戦略に挑戦できる場所です。企業価値を高めてブランドを認知させるという目的のもと、企業やブランドのポリシーにこだわった大胆な戦略を展開できます。また、旗艦店は標準店(企業やブランドの一般的な店舗)よりも広い商圏を活かし、さまざまな施策を試すことも可能です。
たとえば、標準店ではできない陳列方法で顧客を楽しませたり、これまでと異なる価格帯の商品を展開したりすることもできます。また、複合商業施設を利用した旗艦店や、インバウンド需要を見込んだ旗艦店も、旗艦店だからこその戦略的な出店です。いずれもブランドのポリシーを多くの人に紹介できる場となるでしょう。
ノウハウの水平展開
旗艦店で試みた経営戦略によって集客と売上を伸ばせたら、標準店にノウハウを水平展開することが可能です。旗艦店の運営で得られた商品選定や販売方法などのノウハウは、標準店への水平展開で集客と売上の向上が期待できます。また、旗艦店の出店が従業員の育成につながるケースもよくあります。
旗艦店のマーケティング戦略立案は、従業員教育に適した場面です。旗艦店では商品やサービスが顧客から支持されるように、企画・開発から販売方法・価格設定・広告宣伝など、複数の要素を検討しなければなりません。消費行動の変化やニーズに応える商品やサービスの提供など、旗艦店に課せられた役割を果たすことが人材育成の場となりえます。
旗艦店のデメリット
旗艦店にはデメリットもあります。旗艦店のデメリットを確認しておきましょう。
コストが高い
旗艦店の出店では立地や店舗の規模が重要視されるため、標準店よりイニシャルコストが比較的高い傾向にあります。一等地に出店する場合が多いため、土地や建物の賃料も高額になりやすいでしょう。内外装も必然的に高額になりがちです。
企業活動では、コストを抑えるための施策は欠かせません。しかし、結果的に企業やブランドのコンセプトやイメージを阻害する場合、コストよりも旗艦店の役割を優先する必要があります。ちなみに、旗艦店ではブランドイメージや内外装の雰囲気に合わせ、商品やサービスなどのグレードも高くなる傾向です。
売上目標が高い
旗艦店は比較的大きな店舗であるため、標準店よりも高い売上目標を設定します。先述のとおり、イニシャルコストやランニングコストも標準店よりも旗艦店の方が高額です。経営を維持するためには売上目標も必然的に高くなります。
結果として、旗艦店の経営には緻密なマーケティング戦略が求められます。ウィズコロナの時代では、対面販売や店舗に足を運んでもらう方式にこだわることなく、オンラインショップやデリバリーなど、新たな販売戦略の検討も必要になるでしょう。
コンセプトをつくりにくい
旗艦店の出店にはコンセプトづくりが欠かせないものの、簡単ではありません。単に企業やブランドの露出を増やしたり、イメージアップさせたりすることが目的ではないため、旗艦店のコンセプト設計は難しさを感じるでしょう。
たとえば、標準店と異なるコンセプトでも、企業やブランドイメージからの逸脱は許されません。しかし、競合店よりも魅力的な要素が求められます。さらに、出店地に適したコンセプトでなければ受け入れられにくいため難解です。
このような複雑な要素を満たしつつ、コンセプトを決めるのは容易ではありません。旗艦店のコンセプト設計は立地に左右されるため、幅広い観点から見て自社に適したエリアに出店することも重要です。
ECモールにも旗艦店が展開されている
旗艦店はECモールにも存在します。中国では、大手ECモールに旗艦店を展開するブランドも多く見られます。ECモールに旗艦店を出店すれば、顧客との接点をつくりながら流通経路の拡大を目指せるためです。
また、越境EC事業を支援する企業も少なくありません。専門企業の支援を受けて、国内の市場だけでなく海外市場への展開も旗艦店をベースに行われています。海外の顧客に自社ブランドのポリシーを主張しやすいのも、ECモールにおける旗艦店のメリットです。
まとめ
旗艦店には、企業やブランドのもつコンセプトを国内外に明示し、知名度を上げるという使命があります。たとえ中小企業であっても、旗艦店を出店することでメディア露出の可能性が高まり、シェア拡大の足がかりがつかめるでしょう。
しかし、ブランドイメージを的確に表現しつつ、顧客の心をつかむ旗艦店をつくるのは容易ではありません。旗艦店を成功させるなら、企画から施工、運営管理までをワンストップで取り扱う、空間デザインのプロに相談するのもおすすめです。
株式会社丹青社は、数多くの店舗・施設で、ブランドイメージの伝わるデザインをつくり続けています。旗艦店の出店についてもぜひお気軽にご相談ください。
この記事を書いた人
株式会社丹青社
「こころを動かす空間づくりのプロフェッショナル」として、店舗などの商業空間、博物館などの文化空間、展示会などのイベント空間等、人が行き交うさまざまな社会交流空間づくりの課題解決をおこなっています。
この記事を書いた人
株式会社丹青社