体験型店舗とは?新たな価値観「コト消費」や具体例を解説

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体験型店舗とは、さまざまな価値のある購買体験を消費者に提供する実店舗です。時代の変化により、体験型店舗に対する注目度が増しています。この記事では、体験型店舗の特徴や事例について解説します。企業として体験型店舗の運営に取り組むメリットも解説するため、ぜひ役立ててください。

そもそも体験型店舗とは何か

体験型店舗とは、モノそのものではなく、購買体験を提供する店舗のことです。体験型店舗においては、ECサイトと実店舗の融合を意味する「OMO(Online Merges with Offline)」の仕組みが導入されるケースが多くなっています。オンラインとオフラインの掛け合わせにより、価値のある購買体験が提供しやすくなるからです。

消費の対象がモノからコトに変化している

消費者の購買行動が変化し、消費の対象がモノからコトへ変化しています。体験に価値を見出す消費者が増え、たとえばイベント、リラクゼーション、旅行などにお金をかける人が多くなりました。消費の対象が変化した背景について、以下で具体的に解説します。

背景1:モノの価値が低下している

消費の成熟化により、近年はモノそのものの価値が低下しています。市場には便利で優れた商品が豊富にあり、飽和状態です。単に性能が高いだけでは差別化にならず、モノが売れにくくなっています。そのような状況で売上を伸ばすためには、消費者にとって魅力的な購買体験の提供が重要です。

背景2:インバウンドにおける需要が増加している

新型コロナウイルスの流行により、一時的に落ち込んでいたインバウンドによる需要は、再び増加傾向にあります。日本へ来て価値のある体験をしたいと考える外国人が多く、コト消費の需要をさらに押し上げています。インバウンドにおける需要としては日本に特化した内容が多く、たとえば日本食を食べることなどです。

体験型店舗の事例9選を解説

体験型店舗の事例はさまざまあります。以下で具体的な事例を解説します。

SHEIN TOKYO

SHEIN TOKYOは、通販サイトで取り扱っている商品の試着や、コーディネートを楽しめる体験型店舗です。単に洋服を見たり着たりして楽しめるだけでなく、店内にはおしゃれなフォトスポットも用意されています。条件を満たす写真をSNS投稿すると、ギフトカードが当たる仕組みです。

niaulab by ZOZO

niaulab by ZOZOは、ECサイトのZOZOTOWNの運営元である株式会社ZOZOの体験型店舗です。ZOZOTOWN初の実店舗として注目されています。プロのスタイリストやAIによるスタイリングを受けられ、自分に合うコーディネートを探すことが可能です。ヘアメイクや写真撮影も無料で利用でき、特別な体験ができます。

マックスバリュ関東

マックスバリュ関東は、買物体験型のスーパーマーケットの運営に力を入れています。たとえば、対面売場を設置したり、試食販売を充実させたりしています。また、レジに並ばず精算可能なスマートフォンのアプリも開発し、顧客の利便性を強化しました。楽しみながら買い物ができるスーパーマーケットへの転換を目指しています。

NIKE HARAJUKU

NIKE HARAJUKUは、NIKEアプリと連動したサービスを利用できる体験型店舗です。たとえば、店内の商品についているバーコードを読み取れば、商品の情報を確認できるだけでなく、取り置きもできます。また、予約すれば30分間、ナイキエキスパートが専属で対応するサービスも提供しています。商品の詳細の確認や着用のアドバイスなどを受けることが可能です。

CONTACT STORE

CONTACT STOREは、D2Cブランドを展開する企業が体験型店舗を出店するためのサービスです。サンプル品のみを体験型店舗で展示し、顧客が商品を気に入った場合はECサイトから購入できます。商品を販売する際の機会損失を防ぐ仕組みとして期待されています。たとえば、カフェの空きスペースなどへ出店が可能です。

ORDER & PICK

ORDER & PICKは、ユニクロやGUなどを運営する、ファーストリテイリング株式会社が提供しているサービスです。インターネットで購入した商品を最短2時間後に実店舗で受け取れます。アプリで在庫の確認ができ、店舗に出向いた際はレジに並ばずすぐ商品の引き渡しを受けられます。

SKINCARE LOUNGE BY ORBIS

SKINCARE LOUNGE BY ORBISは、化粧品の通販を行っているオルビスの体験型店舗です。肌診断が受けられ、肌状態に適したスキンケアの提案を受けられます。他にもスマートフォンのアプリと連動したサービスが用意されており、パーソナルカラー診断をもとにした自分に合うメイクも楽しめます。

Maison KOSÉ

Maison KOSÉは、化粧品の製造販売を手掛けるコーセーが運営する、ブランド横断型の体験型店舗です。デジタル技術をうまく活用したさまざまな体験ができます。たとえば、自分の肌に合うコスメの色味を確認できたり、顔の形に合うシートマスクを出力できたりします。

TOUCH-AND-GO COFFEE

TOUCH-AND-GO COFFEEは、酒類やソフトドリンクを提供するサントリーが運営していた体験型店舗です。現在はすでに閉店していますが、当時は顧客の好みに合うコーヒー・ラテをリモートで注文できる、コーヒーショップとして人気でした。注文した商品は店頭にある専用のロッカーから受け取る仕組みです。

体験型店舗に取り組むメリットを解説

体験型店舗に取り組めば、さまざまなメリットを期待できます。以下で詳しく解説します。

顧客満足度がアップする

体験を重視する顧客は多く、体験型店舗を運営すればそのニーズに対応できます。単に説明を聞くだけなく、顧客が実際に商品の使い勝手や魅力を体験できれば、自分に合う商品をより選択しやすくなります。

新規顧客の開拓につながる

顧客にとって価値ある体験を提供できるようになると、それまで自社の商品やサービスを知らなかった層にも、アプローチしやすくなります。たとえば、出店場所をシェアできる仕組みを作ると、コストを抑えつつ効率的に新規顧客を開拓できます。

コスト削減が期待できる

体験型店舗は限られたスペースでも運営でき、スタッフの数も最小限で済みます。店舗の賃料や人件費を削減しやすいため、コストをかけずに実店舗をもてます。

マーケティングに活用できる

体験型店舗を運営すると、顧客の生の声を聞ける機会も多くなります。リアルなニーズをチェックできるためそれを深掘りすることで、顧客体験や顧客満足度をさらに高められる可能性があります。効果的なマーケティングを実現可能です。

在庫コストを抑えやすい

サンプル品さえあれば体験型店舗を運営できるため、スペースは最小限で問題ありません。通常の店舗と比べて保管すべき在庫の個数が少なく、在庫コストも抑えられます。

店舗とECの融合が欠かせない時代に突入している

コト消費のニーズが高まり、実店舗とECサイトを組み合わせたOMOが有効な手段となっています。OMOなら、実店舗とECサイトのどちらか片方だけでは得られなかった、メリットも感じられます。これからさらに顧客満足度の向上と新規顧客の獲得などを目指すには、実店舗とECサイトの融合が重要なポイントです。自社の商品やサービスの特徴を考慮し、具体的な施策を検討しましょう。

まとめ

消費者の購買行動の変化により、体験型店舗の需要が増しています。OMOにより実店舗とECサイトを組み合わせれば、これまで以上に効果的なマーケティングを実現できるでしょう。その結果、顧客満足度が向上し、売上アップも期待できます。

丹青社は、空間づくりに関する幅広い課題に対応可能です。チェーンストア事業においては、パイオニアとしての競争優位を築いています。また、文化施設事業では、業界No.1のシェアを獲得しています。豊富なノウハウと実績をもとにさまざまな提案が可能であるため、ぜひ相談してください。

この記事を書いた人

株式会社丹青社

「こころを動かす空間づくりのプロフェッショナル」として、店舗などの商業空間、博物館などの文化空間、展示会などのイベント空間等、人が行き交うさまざまな社会交流空間づくりの課題解決をおこなっています。

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