パイロットオフィスとは?実践に向けた施策の種類や成功のポイントを解説!

ワークプレイス |

働き方の多様化が進み、オフィスの在り方やワークスタイルを検討している企業は多いでしょう。この記事では、働き方の多様化に対応するアプローチの一種である「パイロットオフィス」について解説します。具体的な施策や成功のポイント、注意点も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

資料「オフィスレイアウトの基本の教科書」を無料でダウンロードする

パイロットオフィスとは

パイロットオフィスの「パイロット」には「試験的な」という意味があります。つまり、パイロットオフィスとは、組織全体でオフィス改革を進める前に、特定の部署や課で新しい働き方を試験的に導入する取り組みのことを指します。

小規模で実施することにより、オフィスの改装や新たなワークスタイルなど、新たな取り組みやプロセスに対するリスクを最小限に抑えられるというメリットがあります。

パイロットオフィスに期待できる効果

パイロットオフィスは以下のように、さまざまな効果が期待できます。

従業員満足度の向上

パイロットオフィスに取り組む際は、従業員の意見を聞き、働きやすい環境づくりを行います。そのため、従業員満足度の向上が期待できます。従業員の仕事に対するモチベーションが上がれば、企業としての生産性向上にもつながるでしょう。

コミュニケーションの向上

オフィスのレイアウトを変更すれば、新たなコミュニケーションの場を作ることができます。従業員同士のコミュニケーションが高まれば情報共有がしやすくなるため、アイデアの創出なども期待できるでしょう。

関連記事:オフィスコミュニケーションを活性化するためのレイアウトやスペースを紹介!

組織の適応力の向上

パイロットオフィスを導入すれば、新しい働き方の効果や効率性を検証できます。全社で同時に導入すれば混乱が起こりやすいですが、パイロットオフィスは小規模から実施できるため、トラブルが起こっても対応しやすいことがメリットです。

課題の明確化

パイロットオフィスは全社で展開する前に、効果や予期せぬトラブルを把握できます。オフィス改革の課題を特定でき、適切な対策を検討する余裕ができるのもメリットといえるでしょう。

リソースの最適化

パイロットオフィスに取り組むことで、従業員の仕事の進め方、スペースの使い方、資源の使い方などが把握できるようになります。さまざまなデータを集めることでリソースの最適化も期待できます。

コストの削減

ペーパーレス化やデジタルツールを導入すれば、コスト削減につながります。また、実際に運用してみたものの、不要だったものや無駄だったものがわかるようになります。全社でのオフィス改革に取り組む前に、不要なものや無駄なものを購入せずに済むのは大きなメリットといえるでしょう。

従業員へのスムーズな浸透

全社で一斉にオフィス改革を行うと、従業員が適応するまでに時間がかかります。小規模な範囲で段階的に始めれば、ほかの部署や従業員の興味や関心を引き、全社で取り組む際の推進力となるでしょう。

パイロットオフィスの施策の種類

多くの企業では、パイロットオフィスで以下のような施策に取り組んでいます。

新しい働き方の導入

近年は働き方が多様化し、オフィスに出社する以外の働き方のニーズが高まっています。パイロットオフィスでは、時間と場所を自由に選択できるABWやリモートワークの推進などの新たな働き方を試行できるだけではなく、効果や課題も検証できます。

フリーアドレス制の導入

フリーアドレス制とは、オフィスで固定席を持たずに従業員が好きな席で働くワークスタイルです。パイロットオフィスとして取り組めば、全社で取り組む際のルールの策定や設備の導入などに役立つでしょう。

関連記事:オフィスをフリーアドレスにする手順とは?基本から導入事例も

デジタル化・ペーパーレス化の推進

デジタル化やペーパーレス化は、コスト削減や環境への配慮に欠かせない施策です。一方で、リテラシーやセキュリティに関するさまざまな問題があります。パイロットオフィスから始めれば、課題発見やコスト削減の効果などを検証できます。

新システムの導入

在庫管理システム、人事管理システム、会議予約システムなど、さまざまな業務システムの導入を検討している企業は多いでしょう。新システムは便利になる一方で、従業員への浸透や効果を得るのに時間がかかります。パイロットオフィスでは効果を検証し、反応を見ながら運用できます。

関連記事:スマートオフィスとは?技術の種類や導入を成功させるポイントを解説

ICTツールの導入

ICTツールとは、人と人、または人とコンピューターが通信する応用技術です。Web管理ツール、チャットツールなど離れた場所にいる従業員ともコミュニケーションが取れます。まずはパイロットオフィスで自社の課題を見つけ、ルールの策定を行うとスムーズに導入できるでしょう。

運動・リラックススペースの導入

近年は、従業員の健康を経営課題と捉えて、管理や維持を実践する「健康経営」に取り組む企業が増えています。パイロットオフィスで、運動を促進するスタンディングワーク向けの家具を導入したり、リラックスを促進するリフレッシュルーム、オフィスカフェを設置したりするのもよいでしょう。

関連記事:リフレッシュスペースで職場環境改善|必要性・メリット・注意点・成功事例を解説

環境に配慮した設備の導入

近年は、SDGsに取り組む企業が増えています。SDGsを意識したオフィスデザイン、内装、家具などは、環境に配慮できるだけでなく、社会的責任を果たしているという意識を従業員にも持ってもらえます。

関連記事:サステナブルなオフィスをつくる方法とは?メリット・注目される背景も解説

パイロットオフィスを成功させるポイント

パイロットオフィスを成功させるには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。

目的を明確にする

パイロットオフィスに取り組むことで、どのような課題を解決したいのかを明確にすることが重要です。目的が曖昧な場合、収集したデータを活用できずに労力が無駄になってしまうことがあります。目的が決まったら実行計画も具体的に行いましょう。

従業員に周知して協力を得る

パイロットオフィスを成功させるには、従業員の理解と協力が欠かせません。変化に抵抗を感じる人もいるため、導入前に目的や効果、実施方法などを丁寧に説明し、十分な理解を得ることが重要です。

働き方にマッチした設備を導入する

新たな働き方を導入する際は、設備を準備して取り組むことが重要です。Web会議を行うのに周囲の雑音が気になりやすい、フリーアドレス制を導入するのに十分な席が確保されていないなどの問題がないように設備を整えましょう。

導入事例を参考にする

「パイロットオフィスの実践に向けた施策の種類」で先述した取り組みは、多くの企業で実際に導入されています。企業の導入事例や導入過程をチェックすることで、イメージがわきやすくなったり、レイアウトの参考になったりするでしょう。

資料「オフィスレイアウトの基本の教科書」を無料でダウンロードする

パイロットオフィスの取り組みに関する注意点

パイロットオフィスに取り組む際は、以下のような注意点を意識して行いましょう。

段階的に導入する

パイロットオフィスは試験的に行うものなので、多くのことを盛り込んで試そうとすると失敗する可能性が高まります。まずは小規模から始め、段階的に導入していくことがおすすめです。新しいシステムやICTツールを導入するときは、スムーズに進めるために研修などを実施するとよいでしょう。

従業員の意見を反映する

経営層だけで判断するのではなく、従業員の声を反映することが大切です。従業員のニーズに応えれば、従業員満足度も向上しやすいでしょう。また従業員の意見を聞くことで、経営層やほかの部門が把握できなかった課題がわかることもあります。

効果・検証を繰り返す

従業員のフィードバックをもとに、効果・検証を繰り返し、改善を行うことが大切です。小規模な取り組みの段階で問題点を改善しておけば、全体に導入する際もスムーズに進みます。

新たな働き方に対応したオフィスの事例

USEN-NEXT GROUP様のオフィスでは、時間と場所を自由に選択できる「ABW」を推進するオフィスを設計しました。新しいワークプレイスとして、グループの結束強化や働き方改革を推進しています。アクセントとなるグリーンと30種類に及ぶ造作家具を組み合わせることにより、多様な執務環境になりました。

USEN-NEXT GROUP オフィス | 実績紹介 | 株式会社丹青社

フリーアドレス制に対応したオフィスの事例

やまやコミュニケーションズ様の本社オフィスでは、執務エリアを設けてフリーアドレスを導入しました。目線の高さにメリハリをつける小上がりを設けるなどの工夫がされています。

やまやコミュニケーションズ 本社オフィス | 実績紹介 | 株式会社丹青社

リラックススペースに対応したオフィスの事例

MonotaRO様の本社は、執務エリア内に居心地の良さを演出したカフェエリアを設置しました。カフェエリアにはバリエーション豊かなデスクがあるため、さまざまなシーンに対応できます。また、カフェエリアと執務エリアをシームレスにつなぐことによって、フリーアドレスにも対応しています。

MonotaRO 本社 | 実績紹介 | 株式会社丹青社

まとめ

オフィスレイアウトの変更や新たなワークスタイルを導入する際は、大規模な計画とコストが必要です。しかし、パイロットオフィスなら小規模で試せるうえ、課題や効果の検証ができます。この記事では、パイロットオフィスの施策の種類や成功させるポイントを解説しました。ぜひ、参考にしてください。

丹青社は、さまざまな施設の調査・企画をはじめ、設計・施工・運営管理に至るまで、幅広い分野で事業展開を行っています。文化施設事業においては専門のシンクタンクを備えており、業界No.1のシェアを誇ります。オフィスレイアウトの改善をご検討中でしたら、ぜひ弊社の資料をご活用ください。

また、オフィスレイアウトの基本的な考え方は下記記事を参考にしてください。

関連記事:オフィスレイアウトの基本やデスク配置パターンを解説【最新事例20選も紹介】


この記事を書いた人

株式会社丹青社

「こころを動かす空間づくりのプロフェッショナル」として、店舗などの商業空間、博物館などの文化空間、展示会などのイベント空間等、人が行き交うさまざまな社会交流空間づくりの課題解決をおこなっています。

この記事を書いた人

株式会社丹青社