ホテルにおけるインバウンド施策とは?具体的な方法や成功させるコツなど解説

ホスピタリティ |

ホテル業界におけるインバウンド対応とは、訪日観光客を対象に集客し、過ごしやすい環境を整えるための施策を講じることを指しています。

この記事では、ホテル業界におけるインバウンド対応について詳しく解説します。インバウンド対策のメリットやデメリット、具体的な対策内容にも触れているので、参考にしてください。

ホテル業界におけるインバウンド対応とは

ホテル業界において、訪日観光客を対象とした集客活動や滞在に向けての対応を、インバウンド対応と呼びます。訪日観光客に選ばれるホテルをつくり、また滞在中は気持ち良く過ごしてもらうのが目的です。

具体的には、外国語対応スタッフの配置、多言語対応端末の導入、訪日観光客向けの研修の実施などが該当します。

ホテル業界においてインバウンド施策が必要な理由

国内人口の減少と競争激化を背景に、ホテル・旅館業界はインバウンド需要が注目されています。インバウンド需要は新型コロナウイルスの影響で一時的に低迷したものの、2022年からの水際対策緩和や円安により回復傾向にあります。

訪日観光客のなかには、日本の文化や風景に注目する人も多く、日本文化の人気を活かした魅力的なサービス提供が求められています。

そもそもインバウンドとは

インバウンドとは、一般的に「入ってくる」を意味する言葉です。ただし、海外から日本を訪れる観光客を対象に、観光地や宿泊施設、サービス業などがさまざまな施策を講じて集客し、快適な環境を提供する取り組みが、総じてインバウンドと呼ばれています。

日本語では「訪日旅行」あるいは「訪日外国人旅行」と訳されることが多いですが、旅行そのものだけではなく、旅行に付随する経済活動のことも含めて指し示す言葉です。

ホテル業界においてインバウンド対策をするメリット

ホテル業界では、インバウンド対策を行うメリットが注目されています。ここでは、インバウンド対策のメリットを解説します。

口コミがグローバルに広がる

訪日観光客は、滞在中の体験やサービスの質について、SNSや旅行サイトなどを通じて口コミを世界中に拡散してくれます。

良い口コミは、他の潜在的な旅行者に対して強力なマーケティング効果を持っているため、口コミによってホテルの知名度と評判を世界的に向上させられるチャンスになり、さらに多くの訪日観光客を呼び込むことが期待できます。

国内外の新規顧客を獲得できる

インバウンド対策を行うことで、口コミの効果によって国内外の新規顧客を獲得できるのは先述のとおりです。多言語対応や文化体験の提供など、訪日観光客が求めるサービスを充実させることで、競争力が高まり、新規顧客の獲得につながります。

訪日観光客のニーズに応えることで、日本に関心のある潜在顧客にもアプローチができ、顧客基盤を広げることが可能です。

売上の増加が期待できる

訪日観光客は、滞在中の旅行体験に対して高い支出意欲を持っていることが多く、客単価が高い傾向にあります。文化体験や地元の特産品を取り入れた食事、観光ツアーなどの付加価値の高いサービスを提供することで、売上の増加が期待できるでしょう。

ホテル業界においてインバウンド対策をするデメリット

インバウンド対策のデメリットとしては、コストの増加が挙げられます。

インバウンドマーケティング施策の導入には、多言語サイトの開設、スタッフのトレーニングなどといった初期投資が必要です。これらのコストは特に、初期段階で大きくなる可能性があります。

ただし、インバウンド需要が回復傾向にある昨今では、適切な計画を立て実行することによって、将来的にこれらのコストは十分に回収可能といえるでしょう。

ホテル業界における具体的なインバウンド対策

ホテル業界でインバウンド対策を行う場合、具体的には次のような施策が考えられます。

多言語対応の自動チェックイン機やタブレットを導入する

インバウンド対策には多言語対応スタッフを常駐させるのが理想であるものの、実際には難しいことが多いでしょう。この場合、多言語対応の自動チェックイン機やタブレットを導入して施設案内を行う方法がおすすめです。

同様に、翻訳システムの導入を行ったり、多言語対応の周辺施設をピックアップしておいたりすると役立ちます。

多言語のパンフレットやチラシを用意する

訪日観光客が不便を感じやすい「公共交通機関」や「観光情報」は、多言語のパンフレットやチラシを用意しておくことをおすすめします。チラシがあれば、スタッフ自身が多言語に対応していなくても、必要な観光案内が可能です。

また、同時にWebサイトの見直しも行うと良いでしょう。Webサイトを見て宿泊を決める観光客も多いため、主要な言語に対応しておきましょう。

海外で一般的なキャッシュレス決済を導入する

訪日観光客が決済で困ることが内容、海外で一般的なキャッシュレス決済を導入しておきましょう。また非接触・非対面対応を強化するため、PayPalなどの事前決済システムを採用するのもおすすめです。

海外では日本に比べてキャッシュレス決済が普及している国が多く、対応の可否によって訪日観光客の評価が大きく分かれます。クレジットカード、スマートフォン決済など、複数の決済方法に対応すると良いでしょう。

さまざまな言語に対応できるスタッフを採用する

多言語対応できるスタッフを積極的に採用しましょう。特に強化したいのは、英語、中国語、韓国語です。

英語が使えれば、世界中の多くの国の人と会話ができます。また、アジアからの訪日観光客が多い傾向にあるため、利用頻度の高い言語に焦点を当てつつ、可能であればその他の言語にも対応できる人材を配置するのが理想でしょう。

外国人観光客に人気のある日本食付きのプランを策定する

ホテルの食事プランもチェックしたいポイントです。日本食を好む訪日観光客は多いため、ホテル独自のメニューを用意しておくのがおすすめです。

また、宗教や文化に配慮した食材を選定するなど、多様な食文化に留意しつつ、魅力的な宿泊プランを設計しましょう。

ホテル業界においてインバウンド対策を成功させるコツ

インバウンド対策を成功させるには、いくつかのコツがあります。以下では、インバウンド対策で留意したいポイントを解説します。

ターゲット顧客層に合ったサービスやアメニティを提供する

ホテルの立地や設備に応じてターゲットを明確にし、ターゲットに合ったサービスやアメニティを提供することが大切です。

例えば、グループ客がターゲットになっている場合は、ダブルやツインの部屋だけでなく、コネクティングルームを用意すると宿泊しやすいでしょう。また、荷物の量を抑えられるため、アメニティが充実しているホテルも人気が高い傾向にあります。

SNSや公式Webサイトを活用する

SNSや公式Webサイトを活用して、ホテルや周辺地域の魅力を効果的に発信すると、注目を得やすいでしょう。

特にSNSは、写真や動画で情報を伝えられるため、多言語対応ができない場合でも魅力が伝わりやすいです。また、海外でも日常的に使用されているため、日本の情報を集めている人や、日本が好きな人に見てもらえる可能性が高まります。

他のホテルの事例や口コミを参考にして改善を図る

訪日観光客の目線でサービス内容を考えたときに、参考になるのが口コミです。自社の口コミだけではなく、他のホテルの事例や口コミを参考にして改善を図ることをおすすめします。

宿泊者の生の声は、顧客の不便を解消し、快適な滞在を提供するためのヒントになるでしょう。

宿泊施設インバウンド対応支援事業も活用しよう

インバウンド対策は国にとっても重要な施策となるため、補助金の交付や支援事業が進められています。

インバウンド対応力強化支援補助金は、東京都内の中小旅館・ホテルなどを対象に、インバウンド対応費用の最大50%(上限300万円)を補助するものです。多言語対応システムやキャッシュレス決済システムの導入、人材育成などが補助の対象となります。

また観光庁の「インバウンド安全・安心対策推進事業」も、全国のホテル・旅館を対象に補助対象経費の50%以内を補助するものです。補助金は時期によって、募集を終了してしまうこともあるため、詳しい期間や申請方法は観光庁のWebサイトを確認してみましょう。

参考:インバウンド対応力強化支援補助金\
参考:インバウンド安全・安心対策推進事業

まとめ

ホテルや旅館のインバウンド対応は、すでにこれからの観光業に欠かせない施策となっています。対策のポイントを押さえ、ホテルや周辺の魅力を発信して、海外からの顧客に選ばれるホテルを作り上げましょう。

インバウンド対応のなかには、訪日観光客に好まれる部屋づくりも含まれます。デザイン性が高くフォトジェニックなロビー、和の趣を感じられる洋室など、魅力的な空間づくりは、ぜひ丹青社にお任せください。丹青社では文化施設事業において業界No.1のシェアを誇るなど、さまざまな空間デザインを手掛けています。インバウンド対策としてのホテル空間についてもぜひお気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

株式会社丹青社

「こころを動かす空間づくりのプロフェッショナル」として、店舗などの商業空間、博物館などの文化空間、展示会などのイベント空間等、人が行き交うさまざまな社会交流空間づくりの課題解決をおこなっています。

この記事を書いた人

株式会社丹青社