ホテルリニューアルの目的とは?メリットやデメリット、成功させるコツなど解説

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ホテルをリニューアルする目的には、インバウンド対策として設備や備品を充実させる、売り上げの単価を上げる、新たな顧客層を開拓することなどが挙げられます。本記事では、ホテルリニューアルについて、そのメリットや実際の事例、成功させるポイントなどを含めて詳しく解説します。ホテルリニューアルに関心のある人は、ぜひ参考にしてください。

ホテルをリニューアルする目的

ホテルをリニューアルする目的は、主に以下が挙げられます。

・増え続ける訪日観光客を取り込むためのインバウンド対策
・売り上げの単価を上げる
・古い施設を改修して新たな客層を開拓する
・既存顧客層の満足度を高める
・古い建物をホテルに転用して収益を上げる

リニューアルすることで、国内外の顧客に対応し、魅力的な施設を提供することが可能です。

ホテルをリニューアルするメリット

ホテルをリニューアルすることには、さまざまなメリットがあります。

・宿泊客の快適さや満足度が向上する
・海外からの顧客を獲得しやすくなる
・顧客層の拡大と収益の増加が期待できる

上記に挙げた3つのメリットについて、詳しく解説します。

宿泊客の快適さや満足度が向上する

ホテルのリニューアルは、ただ古い客室や設備を改装するだけはありません。スタイリッシュで魅力的な内装や最新の設備を導入することで、宿泊客の快適さや満足度が向上します。

現在は、ただ宿泊するだけでなく滞在そのものを楽しめるホテルや、家族やグループで快適に滞在できる設備が充実しているホテルなど、魅力的な施設がどんどん増えています。

快適性が向上して満足度がアップすれば、リピーターが増加して口コミ評価が向上するとともに、口コミをきっかけに興味を持つ新たな顧客層の開拓が可能です。

海外からの顧客を獲得しやすくなる

リニューアルの際、多言語対応やキャッシュレス決済システムなどの導入により、訪日観光客への対応力が高まります。利便性が高まればポジティブな口コミが増えて、より多くの訪日観光客を獲得しやすくなるでしょう。

顧客層の拡大と収益の増加が期待できる

ホテルのリニューアルを通じてグレードアップを図り、より高品質なサービスや設備を提供し、宿泊単価を引き上げることで、顧客層の拡大と収益の増加が期待できます。

そこで大切なのが、ターゲットに合わせたコンセプトを決めてリニューアルを進めることです。ターゲットとコンセプトが明確でないと、ホテルをリニューアルしても期待する収益に繋がらない可能性があるため、よく検討してから実行するようにしましょう。

ホテルをリニューアルするデメリット

ホテルをリニューアルするデメリットとして、多額の費用が必要になる点が挙げられます。

とはいえ、どのような立地で、どのような規模で、どのようなコンセプトのレイアウトにするか、既存のホテルを改装するのか、それとも古いビルを転用するのかなど、リニューアルの内容により発生するコストは、さまざまな要素により左右されます。

ホテルリニューアルの事例

ホテルのリニューアルのイメージを掴むうえで参考になるのが、実際の事例です。以下で丹青社が手がけた3つの事例を紹介します。

・温泉によるエンターテイメント性を強化した事例
・離宮をイメージしたハイセンスな空間へのリニューアル事例
・親しみやすいデザインで幅広い層への訴求を図った事例

事例1:別府温泉 杉乃井ホテル

別府温泉 杉乃井ホテルでは、五段からなる湯船を棚田状に広げた大展望露天風呂「棚湯」を20年ぶりにリニューアルしました。温浴コンテンツを充実させるとともに、温泉地・別府らしさを感じる演出を加え、エンターテインメント性の向上を図っています。

リニューアル時の課題として、「棚湯」内の稼働率の低いエリアの改善と、次世代型温泉への進化が挙げられていました。

そこで、解決策として「Journey to Beppu」というデザインコンセプトを採用し、来館者の動線にストーリー性を持たせ、新しい温泉コンテンツを投入しました。別府らしさに加え、新たに投入された樽湯や升湯の投入、拡充されたサウナエリアの拡充などで、「五感で味わう別府体験」ができるようになっています。

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事例2:エクシブ鳥羽&アネックス

会員制リゾートホテル「エクシブ鳥羽(本館)」「エクシブ鳥羽アネックス」の敷地内に、和の高級リゾート「エクシブ鳥羽別邸」が新築されたタイミングに合わせて「グランドエクシブ鳥羽」として大幅な改装を加え、リニューアルオープンしました。

担当した3つの専門レストランおよび他の施設をリニューアルする上で課題となっていたのが、初期の南欧風のカジュアルなリゾートから、「離宮」ブランドと同等のハイセンスでハイクオリティな空間へとリニューアルさせることでした。

解決策として、「Seaside Modern Villa」をデザインコンセプトに、海辺の解放感と親密感を、白を基調としたスタイリッシュかつモダンな空間で演出しました。また、各施設には個別のデザインテーマを設定して個性を創出しています。

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事例3:八幡平マウンテンホテル

岩手山と八幡平の絶景が楽しめる「八幡平マウンテンホテル」では、スーペリアルームをリニューアルしました。通常はツインルームながら、グループ旅行やファミリー、インバウンド客まで幅広いゲストに対応できる最大4名まで利用可能な客室に仕上がっています。

リニューアル時の課題は、シックな雰囲気の上層階のマウンテンルームとは異なる親しみやすいデザインで、室内の老朽化対応と機能性の改善を図ることでした。

解決策として、「Relax in the Woods」をデザインコンセプトに、木の質感とフォレストグリーンのアクセントカラーを活かして木立をイメージした空間を作り出すとともに、複数同時に利用できるコンセントとUSBポートを設置するなど機能性も高め、最大4名が快適に利用できる設備を整えました。

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ホテルリニューアルを成功させるポイント

ホテルのリニューアルを成功に導くために、重要なポイントがいくつかあります。以下で詳しく解説します。

ターゲット顧客層を明確にする

先述した通り、ホテルリニューアルを成功に導くには、リニューアルの目的に応じて、ターゲット顧客層を明確することがポイントです。ターゲット顧客層が明確であれば、彼らが抱える細かいニーズを洗い出し、それらにマッチしたデザインや設備を導入して利便性と満足度の向上を図ることができます。

例えば、家族連れやグループ客をターゲットにする場合は、広めの客室にする、大きめのベッドやくつろげる家具を配置する、物が十分に置ける収納スペースを設置する、コネクティングルームを設ける、多人数対応の設備を整えることなどが重要です。

一貫したデザインコンセプトを設定する

ホテルリニューアルは、ただ施設を新しくすればいいというものではありません。全体を通じて一貫したデザインコンセプトを設定し、ホテルのブランドイメージを強化することが大切です。

これにより、訪れるゲストに統一感のある体験を提供し、リゾートやテーマに応じた独自の雰囲気を演出することが可能です。

例えば、ロビーは近未来的でモダンな空間に仕上げる一方で、客室は和テイストで伝統を意識した意匠を凝らしている場合、個々に魅力的であっても全体としてはちぐはぐな印象になりかねません。

最新の技術や設備を導入する

ホテルのリニューアルでは、ゲストの快適な滞在を追求するために、最新の技術や設備を導入することも大切です。特にインバウンド対策に力を入れている場合は、外国人宿泊客のニーズにマッチしたサービスの提供が不可欠です。

例えば、全室に高速Wi-Fiや多言語対応の案内システムを設ける、スマートフォンを利用した署名不要のチェックインの仕組みを整える、キャッシュレス決済システムを導入するなどの取り組みで、現代の旅行者のニーズに対応し、滞在中の利便性を向上させることができます。

まとめ

ホテルリニューアルを通じて宿泊客の満足度が向上し、海外からの宿泊客が獲得しやすくなるとともに、客層の拡大と収益増加が図れます。リニューアルを成功させるには、ターゲット層を明確にした上で一貫したデザインコンセプトを設定するとともに、最新技術や設備の導入で宿泊客の利便性を高めるなどの工夫も大事です。

なお、リニューアルでのデザイン・設計をどの業者に依頼するかでお悩みの場合は、ぜひ一度、丹青社にご相談ください。これまで多様な施設の調査・企画・設計・施工・運営管理に至る幅広い分野で培った総合力により、お客様が求める空間づくりを最適なかたちへ導けるようお手伝いさせていただきます。

この記事を書いた人

株式会社丹青社

「こころを動かす空間づくりのプロフェッショナル」として、店舗などの商業空間、博物館などの文化空間、展示会などのイベント空間等、人が行き交うさまざまな社会交流空間づくりの課題解決をおこなっています。

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