サステナブルホテルとは?環境に配慮した宿泊を楽しめるホテルを紹介

ホスピタリティ |

近年はホテル選びの際に、環境や社会への配慮を重視する人が増えています。環境などに配慮したホテルは、サステナブルホテルやSDGsホテル、エシカルホテルなどと呼ばれています。本記事では、サステナブルホテルの概要や注目が集まっている理由、国内・国外の事例などを解説するため、ぜひ参考にしてください。

サステナブルホテルとは?

サステナブルとは「持続可能」という意味のある言葉です。サステナブルホテルとは、環境や社会に対して配慮しているホテルです。具体的には、アメニティをプラスチック製から紙製に変更する、再生可能エネルギーを使うなどが挙げられます。

近年はホテル選びでサスティナビリティに注目する人が増加しています。「ブッキングドットコム」による30か国、2万9,000人を対象とした調査によると、「数年内にサステナブルな宿泊施設に最低でも1度は泊まる」と答えた人は、2016年が62%だったのに対して、2021年には81%と増加しています。

このように、サステナブルかどうかは、旅行者にとって大きな選定基準となっていることがわかります。

参考:サステナビリティ(持続可能性)を体現する日本の観光コンテンツを海外に向けて発信|日本政府観光局(JNTO)
参考:Sustainable Travel Report 2021(原文)|Booking.com

サステナブルホテルが注目される背景

サステナブルホテルが注目される理由としては、主に4つ挙げられます。ここでは、サステナブルホテルに注目が集まる理由を詳しく解説します。

プラスチック消費量を減らせる

ホテルのアメニティには、多くのプラスチックが消費されているという問題がありました。分解されにくいプラスチックは海に流れ、海洋汚染の要因となります。サステナブルホテルではアメニティをプラスチック製ではなく、紙製やリサイクル素材などの環境に配慮したものに変更しているため、プラスチックの消費量を減らすことができます。

二酸化炭素の排出量を抑えられる

ホテルでは電力使用量が大きくなりがちで、それに比例して環境負荷も大きくなりやすいです。サステナブルホテルでは節電に努めるのはもちろんのこと、再生可能エネルギーを取り入れています。再生可能エネルギーを利用することで、二酸化炭素の排出量を減らすことにつながり環境負荷が軽減します。

食品ロスを削減できる

食品ロスは日本だけでなく、世界中で大きな社会問題となっています。食品ロスとは食べられずに捨てられてしまう食品のことで、ホテルのビュッフェでは食品ロスが発生しやすいという課題がありました。サステナブルなホテルでは、料理の提供方法を工夫して食品ロスを減らしたり、生ごみを肥料にしたりといった取り組みを行っています。

地域貢献に役立つ

サステナブルホテルは、地域貢献にも役立つとして注目されています。サステナブルホテルでは、以下のような取り組みを行っているケースが多いです。

・地元の食材を使う地産地消
・地域の伝統工芸や文化などを取り入れる
・地元密着型のツアーを提携する

このように地域密着型の取り組みを行っていることも多く、地域の経済的発展に貢献しています。

サステナブルホテルの紹介【国内】

国内にもサステナブルホテルは数多くあります。ここでは、国内のサステナブルホテルを4つ紹介します。

【北海道】Auberge erba stella(オーベルジュ エルバステラ)

北海道の「Auberge erba stella」は、道内で唯一、「ビオホテル認証(BIO HOTELS JAPAN)」を取得したホテルです。ビオホテル認証とは、世界で唯一の厳しいBIO基準を規約とする、ビオホテル協会の基準を満たしたホテルのことです。

地元北海道の食材やワインを提供しており、地産地消に取り組んでいます。また、室内にはテレビが設置されていません。自然のなかの音や静けさなどを楽しんでほしいという思いから、テレビを設置せず、リラックスできる空間を作り上げています。

また、アメニティには体に優しいはちみつを使用したものや、アロマバスエッセンスなどを必要な分だけ提供しています。

【京都】GOOD NATURE HOTEL KYOTO

「GOOD NATURE HOTEL KYOTO」は、京都のホテルでWELL認証のゴールドランクと、LEED認証のシルバーランクを取得しています。WELL認証とは環境や健康に配慮した建物の認証で、LEED認証とは環境に配慮した、グリーンビルディングの評価プログラムのことです。

アメニティには、オリジナルオーガニックコスメを使用しています。また、プラスチックごみを減らすために、ヘアブラシや歯ブラシなどのアメニティは提供していません。

他にも、座禅体験やヨガなどアクティビティのプログラムを用意しています。また、体によい食品や、オーガニックコスメなどを販売するマーケットエリアなどもあり、無理なく自然や体によいことを意識できるホテルです。

【山形】スイデンテラス

山形にある「スイデンテラス」は、周囲の田園風景に配慮したデザインを採用しているホテルです。庄内の美しさや農業を守りたいというコンセプトを反映させて、自然に溶け込むような美しいデザインとなっています。スイデンテラスでは地産地消にもこだわっており、野菜は栽培基準にこだわった自社農園で栽培したものを使用、地元の肉や魚なども提供しています。

【長野】カミツレの宿 八寿恵荘

長野にある「カミツレの宿 八寿恵荘」は、サステナブルホテルの先駆けとも呼ばれています。ビオホテル認証(BIO HOTELS JAPAN)を取得しており、宿泊客の健康や自然環境を大切にしているホテルです。食事は自社農園で栽培している無農薬野菜や地産地消にこだわっており、寝具やタオルにもオーガニックコットンを使用しています。

サステナブルホテルの紹介【海外】

海外にはどのようなサステナブルホテルがあるのでしょうか。ここでは、5つのサステナブルホテルを紹介します。

【バリ】Fivelements Bali Retreat(ファイブエレメンツ バリ リゾート)

バリの「Fivelements Bali Retreat」は、プラスチック製品を極力使用していないホテルです。歯ブラシやコップ、洗面所やバスルームなどのすべてで自然由来の素材が採用されており、食事はプラントベースのものを提供しています。また、宿泊者のウェルビーイングを目的として、ヨガやスパ、瞑想プログラムなどを提供しています。

【オーストラリア】Saffire Freycinet(サファイア フレシネ)

オーストラリアの「Saffire Freycinet」は、カーボンニュートラルを達成しています。カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることです。食事にはオーガニックな農産物を使っており、地域貢献を推進しています。また、大きな窓からはタスマニア州の豊かな自然が楽しめるため、リラックスした空間で過ごせます。

【アメリカ】Hotel Brooklyn Bridge(ホテル ブルックリン ブリッジ)

アメリカの「Hotel Brooklyn Bridge」は、地元の再生資源を活用しているホテルです。マンハッタンのビル群や自由の女神が眺められるホテルでは、風力発電や雨水の活用というようにエコシステムを採用しています。ロビーには多くの植物が飾られており、都会でありながら自然を感じられるホテルとなっています。

【バリ】Suarga Padang Padang(スワルガ パダン  パダン)

バリの「Suarga Padang Padang」は、自然との調和をテーマとしているホテルです。地元の木材や竹、廃材などを活用して建てられたホテルで、自然保護のために建物は高床式で造られています。食事には地元のオーガニック食材が取り入れられており、地産地消を実現していることも特徴です。

【フィンランド】Arctic Blue Resort(アークティック ブルー リゾート)

フィンランドの「Arctic Blue Resort」は、大自然のなかに位置しているホテルです。建物には天然素材を使用しており、自然から受けたインスピレーションを反映したデザインとなっています。暖房や電気には再生可能エネルギーを使用しており、エリア内の移動には電気自動車を使うなど、環境に配慮した造りが特徴です。

ホテルがサスティナビリティに取り組むには?

ホテルがサスティナビリティに取り組むにはどうすればよいのでしょうか。ここでは、サスティナビリティに関する取り組みを解説します。

サステナブルホテルの認証を取得する

前述したように、サステナブルホテルを対象とした認証プログラムはいくつかあります。サステナブルホテルに関する認証を取得すれば、利用者からひと目でサステナブルホテルだと分かってもらえます。そのため、環境や社会に配慮したホテルがいいという人から選ばれやすくなるでしょう。また、認証には審査があるため信頼性も高いです。

サクラクオリティグリーン

サクラクオリティグリーンとは、ホテルのSDGsに関する取り組みを評価するための認証です。サクラクオリティグリーンを取得するには、宿泊施設のサービスの安全・安心・誠実を評価するサクラクオリティを、事前に取得しておかなければいけません。

参考:サクラクオリティとは|株式会社日本ホテルアプレイザル、株式会社サクラクオリティマネジメント

エコマーク

エコマークとは、廃棄物削減や省エネ、節水といった環境への配慮を評価するものです。例えば、施設による環境配慮の取り組みを発信することなどが求められており、認定基準を満たした上で審査委員会の審査を通過すれば認証が得られます。

参考:エコマークについて|公益財団法人 日本環境協会 エコマーク事務局

宿泊が未来を考えるきっかけとなる

サステナブルホテルへの宿泊がきっかけとなって、地球の未来を考えることができます。サステナブルホテルが実施している取り組みや環境への配慮などを知ること、実際に体験することでサステナブルやSDGsへの意識が高まるでしょう。意識改革を強制されずに、自分ごととして考えられるようになります。

まとめ

サステナブルホテルとは、環境や社会へ配慮した取り組みを行っているホテルです。近年ではサスティナビリティやSDGsへの関心が高まっており、サステナブルホテルを選ぶ人も増えています。サスティナビリティへの取り組みを検討している場合は、サステナブルホテルの認証を取得するとよいでしょう。

丹青社は、多様な施設の調査から企画・設計・施工・運営管理に至るまで、幅広い分野で事業展開を行っており、高い総合力が魅力です。チェーンストア事業では、パイオニアとして競争優位を築いています。サスティナビリティへの取り組みをお考えなら、お気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

株式会社丹青社

「こころを動かす空間づくりのプロフェッショナル」として、店舗などの商業空間、博物館などの文化空間、展示会などのイベント空間等、人が行き交うさまざまな社会交流空間づくりの課題解決をおこなっています。

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