LEED認証とは?制度の概要や取得するメリットをわかりやすく解説

サステナビリティ |

「LEED認証」とは環境に配慮した建物を評価する制度です。クリーンエネルギーへの注目が集まるなか、LEED認証への関心も高まっています。この記事では、LEED認証の概要からLEED認証システムの種類、取得するメリット・デメリットなどをわかりやすく解説します。ぜひ、参考にしてください。

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LEED認証とは?

LEED認証とは、オフィスやホテル、商業施設などの環境性能を評価する制度のことです。環境に配慮した建物を評価するものであり、米国グリーンビルディング協会が開発・運用を行っています。また、認証の審査はGBCIにより行われています。

LEED認証を受けるためには、必須条件を満たして選択項目のポイントを取得しなければいけません。LEED認証を受けることによって、再生可能なクリーンエネルギーを促進している建物だと判断できます。

LEED認証の取得件数

LEED認証の国内取得件数は、2024年5月時点で271件となっています。国内での取得件数はまだ多くないといえるでしょう。一方、LEED認証の取得件数が最も多いのはアメリカで85,540件、次いで中国、カナダ、インドの順となっています。

このように、海外と比較すると日本のLEED認証取得件数は少なくなっていますが、2010年にはわずか10件だったことを考えると、認証件数は徐々に増えておりLEED認証への意識や注目が高まっていることがわかります。

参考:Green Building Japan

LEED認証システムの種類

LEED認証システムは評価する対象によって分類されます。ここでは、6つのLEED認証システムを解説します。

BD+C(建物設計と建設)

BD+C(Building Design and Construction)は、新築もしくは大規模な改築をする建物を対象としたLEED認証システムです。レストランやアパレルなどの小売業用の建物から、学校やホテルなどの建物まで該当します。建物の外装を大規模に改修する際や、主要な空調設備の改修などもBD+Cの対象です。

ID+C(インテリア設計と建設)

ID+C(Interior Design and Construction)は、インテリア工事に対して適用されるLEED認証システムです。ホテルなどの宿泊施設、一般消費者向けの小売用に使われるスペースなどが対象となります。たとえば、小売りに使われる顧客用のショールームや準備室、サービスエリアなども含まれています。

O+M(既存ビルの管理運用)

O+M(Building Operations and Maintenance)は、大規模な改修工事を行わずに、運用やメンテナンスの向上を目的として改善を図っているビルが対象となります。既存のビルや小売スペースだけでなく、ホテルや倉庫なども対象です。ただし、既存ビルのなかでも主要部分が小売りや教育、データセンター、倉庫と流通に区分されるものは含みません。

ND(エリア開発)

ND(Neighborhood Development)は、新規の土地開発や再開発などに適用されるLEED認証システムです。プロジェクトの完成前で建設工事が75%まで完了していれば、予備認証を受けられることが特徴です。また、完成間近もしくは過去3年以内にプロジェクトが完了している場合には、最終認証を受けられます。

Homes(ホーム)

Homes(ホーム)は、戸建住宅や低層のマンションなどの住宅に適用できるLEED認証システムです。具体的には、3階以下の低層住宅、4~8階の中層共用住宅に適用されます。

シティー&コミュニティ

シティー&コミュニティは、都市やコミュニティを対象としているLEED認証システムです。QOLと呼ばれる生活の質を向上させることを目的とした認証システムで、エネルギーや水、自然生態系、交通や廃棄物など、QOLに関するさまざまなポイントを評価することが特徴となっています。また、シティー&コミュニティは4通りの認証プログラムから選択可能です。

LEED認証のレベル・項目

LEED認証には、認証のレベルと項目があります。ここでは、LEED認証のレベルと項目について詳しく解説します。

レベル

LEED認証には4つのレベルが用意されており、獲得したポイントによってレベルが決まります。各レベルに必要なポイントは以下のとおりです。

  • 標準認証:40~49ポイント。もっともポイント数が少ない認証
  • シルバー:50~59ポイント
  • ゴールド:60~79ポイント
  • プラチナ:80ポイント以上。もっともポイント数が高く、評価の高いレベル

項目

LEED認証には、評価カテゴリーが存在します。必須項目と選択項目に分けられており、必須項目はすべての基準を満たさなければいけません。主な評価カテゴリーは以下のとおりです。

  • 統合的プロセス
  • 立地と交通
  • 材料と資源
  • 水の利用
  • エネルギーと大気
  • 敷地選定
  • 室内環境
  • 革新性
  • 地域別重み付け
  • 立地選択と敷地利用
  • 近隣のパターンとデザイン
  • グリーンな近隣インフラと建築物

このように、エネルギーの削減やデザイン、立地などが評価の対象として含まれています。

LEED認証を取得するメリット

LEED認証を取得することでどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、LEED認証を取得する3つのメリットを解説します。

エネルギーコストの削減

LEED認証を取得することにより、エネルギー消費量や水使用量などのエネルギーコストを削減できます。LEED認証にはさまざまな項目がありますが、水の利用やエネルギーなどの項目もあり、それらを満たすための設備や技術を取り入れなければいけません。

そのため、LEED認証を取得した建物は取得していない建物と比較して、エネルギーや水使用量などが少なくて済みます。結果として、運用コストを大幅に削減できるでしょう。

働く人や利用者の快適性・満足度向上

LEED認証を取得することで、従業員や利用者などの快適性が向上し、満足度アップにつながる可能性があることは大きなメリットです。LEED認証を取得した建物は、働く人や建物の利用者の快適性向上を目的として設計や改修されています。

そのため、たとえば小売りスペースや企業のビルなどなら従業員が働きやすい環境となり、従業員満足度が向上します。結果として、離職率の低下も期待できるでしょう。住居なら居住者の快適性がアップして、入居率の向上なども見込めます。

企業価値の向上

LEED認証を取得することで、環境に配慮した企業であることを対外的にアピールできます。SDGsの推進などにより環境へ配慮しているかどうかは、大きな関心事となっています。LEED認証を取得している=環境に配慮した建物と判断されるため、建物の資産価値が向上し、企業としてのイメージアップにもつながるでしょう。

企業や個人、投資家などは環境に配慮した建物かどうかを1つの判断基準としていることが多いため、LEED認証を取得することで企業価値が向上します。

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LEED認証を取得するデメリット

LEED認証の取得には多くのメリットがありますが、デメリットも存在します。ここでは、2つのデメリットを解説します。

初期費用がかかる

LEED認証を取得する際には、初期費用がかかってしまいます。建物の設計や施工などでコストがかかるだけでなく、環境に配慮した高性能な設備や材料などの導入が必要となるため、一般的な建物よりも初期費用は高くなってしまうでしょう。

また、初期費用については長期的に見れば回収できる可能性が高いです。しかし、ある程度の初期費用を用意しておく必要があるため、短期的にはキャッシュフローが悪化してしまう可能性もあるでしょう。

認証までの手続きが複雑

LEED認証を取得するまでの手続きが複雑で時間がかかることもデメリットです。LEED認証を取得するまでの手続きは複雑で必要な書類を提出する必要があるだけでなく、設計や施工に関する知識や技術も必要です。設計チームと施工チームの協力も必要不可欠となるため、あらかじめしっかりと準備を整えて計画を立てておかなければいけません。

LEED認証に対する今後の企業の動向について

現代では、SDGsやESGなどへの注目が高まり、持続可能な開発が世界的にも課題・目標となっています。そのため、環境に配慮したLEED認証は今後も注目が高まり、重要な位置づけとなると考えられています。

日本では海外と比較するとLEED認証の取得件数は少なめですが、年々取得件数は増加傾向にあるようです。そのため、国内でもLEED認証の取得に向けての意識も高まるでしょう。

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まとめ

LEED認証とは、環境に配慮した建物を評価する制度のことです。SDGsなどの推進によりLEED認証への関心は高まっています。LEED認証を取得することで、エネルギーコストの削減や従業員・利用者の快適性アップ、企業価値の向上なども期待できます。今後もLEED認証の重要性は高まっていくと考えられているため、取得を目指してみてもよいでしょう。

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この記事を書いた人

株式会社丹青社

「こころを動かす空間づくりのプロフェッショナル」として、店舗などの商業空間、博物館などの文化空間、展示会などのイベント空間等、人が行き交うさまざまな社会交流空間づくりの課題解決をおこなっています。

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