クリニックの内装を決める際のポイントは?診療科ごとの注意点なども解説

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クリニックの内装は、従業員の働きやすさや患者の満足度に影響を及ぼします。この記事では、クリニックの内装におけるポイントについて、従業員と患者の立場別、また診療科別に解説します。クリニック内装の設計・施工を発注する方法や、工事費用の相場などにも触れるので、ぜひ参考にしてください。

【従業員向け】クリニック内装のポイント

クリニック内装において、従業員向けにチェックしたいポイントは以下の5つです。

衛生面や安全性を確保する

クリニックは扱う業務の性質上、衛生面や安全性が重要視される場所です。注射器を筆頭に、管理から廃棄まで慎重な取り扱いが求められる物もあります。清潔かつ安全に業務を遂行するため、床材に滑りにくい素材を採用するほか、適切な保管ができるスペースを用意することが大切です。

スムーズな動線を意識する

スタッフが効率よく業務をこなせるように、内装を設計する際は、スムーズな動線を意識しましょう。複数の部屋を行き来しやすいように、壁ではなく扉で遮ったり、迂回せずに移動できるような経路を確保したりする必要があります。一方、治療において隔離が求められる部屋もあるため、用途に応じて分けた内装を検討しましょう。

収納や倉庫などを用意する

収納や倉庫などは、どこに何を保管・管理するかまで決めたうえで設計するべきです。物を収納しきれないと、通路に箱を並べる状態になりやすく、通路が狭くなったり動線が遮られたりすることが想定されます。

こうした状況を避けるには、消耗品や掃除用具・季節ごとの家電など、種類ごとに整理整頓して保管することが重要です。また、書類は保管する量が増えやすいため、あらかじめ余裕を持ってスペースを確保しましょう。

電気や水道などの設備を整える

診療や治療にあたり、電気を使用する場面は多々あります。利用するときのことを考えて設備を整えましょう。特に、CTやMRIは電気を大量に消費するため、分電盤やブレーカーなどの領域を変更できる余地を残すべきといえます。また、水道や空調設備を適切に整えておくのも、従業員の業務効率を上げるために重要です。

診療科ごとに最適なデザインにする

必要となる設備や適切な内装のデザインは、診療科ごとに異なります。たとえば、小児科や内科、耳鼻科など、感染症が疑われる患者様が多い診療科では、隔離できるスペースの用意など状況に即した設計が必要です。

【患者様向け】クリニック内装のポイント

クリニックの内装は患者様にとっても重要な要素です。ここでは、患者様向けのポイントを解説します。

プライバシーを確保する

クリニックの内装において、患者様のプライバシーを確保できる空間は重要です。特に、泌尿器科や産婦人科などはデリケートな部分を扱うため、より重要度は高いといえます。たとえば、個室の診療室や音漏れしにくい構造などを検討するとよいでしょう。受付や待合室、診療室などを行き来する際に、他の患者様と顔を合わせない設計もおすすめです。

利用しやすい動線を意識する

クリニックの内装を設計する際は、患者様が利用しやすい動線を意識することも大切です。スタッフと患者様の動線が被ると互いに動きづらくなるため、患者様用の独立した動線を設計する必要があります。また、受付や待合室、診療室は、それぞれ視覚的に分かりやすいように設計し、患者様が自力で移動できる工夫が必要です。

快適に過ごせる空間を作る

待ち時間の快適さは、患者様のクリニックに対する満足度を左右します。広い待合室で座席の間隔が空いていると、待ち時間のストレスを和らげるでしょう。また、本棚や観葉植物などを設置したり、キッズルームを設けたりするのも効果的です。

バリアフリーを意識する

クリニックには、体の不調で歩くのが困難な人や、車椅子・ベビーカーを利用している人も訪れます。そのため、バリアフリーの空間づくりを意識して、多くの人が利用しやすい環境を構築しましょう。

バリアフリーといっても、単純に段差を無くしてスロープにするわけでもありません。座敷タイプの待合室は避けて椅子を置いたり、玄関先に靴の着脱用のベンチを用意したりすると、段差がないだけでなく利用しやすいクリニックとして認知されます。

【診療科別】クリニック内装のポイント

先述のとおり、クリニックの内装は診療科によって留意点が違います。診療科別の内装のポイントを解説します。

内科

内科では、診療室と処置室が近くなるような内装を心掛けましょう。内科は患者様の数が多い傾向にあるため、待合室の快適さも重視するべきポイントです。たとえば、座りやすいソファや個別のソファを設置する、テレビを設置しておくなど工夫しましょう。

また、内科の種類によっても重視するポイントが異なります。神経内科はリハビリしやすいように平面構成にする、消化器内科はトイレの数を増やすなどの工夫があれば、スタッフも患者様も過ごしやすいでしょう。

整形外科

整形外科は、検査やリハビリなどで移動する機会が多い診療科です。そのため、患者様がスムーズに移動できるような内装にする必要があります。車椅子や松葉杖を使用する人も多いので、バリアフリー対策も行いましょう。たとえば、スロープの導入や手すりの設置などの対策が効果的です。

美容外科

美容外科では、患者様のプライバシーに配慮した空間づくりが重要になるため、他の患者様と顔を合わせないような動線を計画しましょう。また、美容外科はクリニックの雰囲気を気にする患者様も多くいます。コンセプトに準じて照明や壁紙などを検討するとよいでしょう。

歯科

歯科では、同じタイミングで複数の患者様が治療を受けます。そのため、診察室を広く取り、並行して治療する際も快適に過ごせる空間づくりが大切です。また、歯科は怖い・痛いといったイメージを抱かれやすいため、待合室の照明に電球色を採用して暖かみを演出するなど、リラックスできる空間作りを心掛けましょう。

眼科

眼科は検査や診察の工程が多いため、患者様の移動距離・回数も多い傾向にあります。スムーズに受付や診察、検査に向かえるよう、機能性や導線に配慮した内装にしなければなりません。また、眼科では視覚障害を持った人が来院する可能性も高いため、段差を減らすなどして安全性に配慮することも大切です。

耳鼻科

耳鼻科には、感染症に罹患している人も訪れます。感染症の拡大を防ぐには、診察の回転率を高くできる内装にすることが重要です。たとえば、動線を工夫して患者様を案内しやすくしたり、医師が全体を見渡せるような内装にしたりすることも検討しましょう。

皮膚科

皮膚科は来院者数が多い傾向にあるため、待ち時間を快適に過ごせる工夫が欠かせません。特に待合室は座り心地の良い環境を整えましょう。また、皮膚の感染症が広がるのを防ぐためにも、スリッパの設置は慎重な検討が必要です。

小児科

小児科には小さな子どもが来院するため、親の目が届きやすい内装を意識する必要があります。ベビーカーを利用しやすい設計にしたり、遊べるスペースを確保したりするなど、子どもが退屈しない設備を整えることも大切です。

子どもは病院を怖いと思いがちで、不安を感じることも少なくありません。パステルカラーの壁紙や木製の建具などで明るい雰囲気を演出すると、子どもの心理的な負担を軽減できます。

心療内科

心療内科を訪れる患者様は、周りの視線や人の存在を気にする人が多い傾向です。待合室は、プライバシーを確保できるような内装を心がけましょう。たとえば、患者様同士の目線が交わらないように椅子を配置するなどの工夫が必要です。

設計・施工を発注する方法

クリニックの内装工事を行うにあたり、設計や施工は業者に発注します。ここでは、設計および施工の発注方法を解説します。

設計・施工を同じ会社に発注する

設計と施工を同じ会社に発注すると、各工程にかかる時間を削減でき、スムーズに進められます。しかし、工事価格の比較という点では、設計・施工を別々の会社に発注している場合より客観性が下がる側面もあります。

設計・施工を別々の会社に発注する

設計と施工を別々の会社に依頼すると、それぞれで複数の会社に見積もりを出してもらい、費用を比較できます。客観性という面では利点があるでしょう。一方、各工程で会社同士のやり取りが発生するため、完成までに時間がかかりがちです。契約時から家賃が発生するテナントで内装工事を行う場合は、コストが増える懸念があります。

クリニック内装における注意点

クリニックの内装で気をつけたいのが、法令による制限です。構造設備などの基準を満たしている必要があるほか、建築基準法で特殊建築物の区分に入れば、規制がさらに厳しくなります。また、医療法により、診察室や待合室における望ましい面積も定められています。

さらに、クリニックの構造は、他の施設と物理的・機能的に隔離されていなければなりません。開業医など、自宅とクリニックを兼用する場合などは特に注意が必要です。

参考:建築基準法
参考:医療法

まとめ

クリニックの内装は、スタッフには安全で働きやすく、患者様にはリラックスできてストレスが掛からない構造にする必要があります。法的な基準も満たす必要があるため、信頼のおける設計・施工会社に依頼することが大切です。

株式会社丹青社では、クリニックの内装工事をはじめ、さまざまな施設・空間においてワンストップのサービスを提供しています。クリニックの内装に関しては、設計も施工もできるだけ短い時間で、診療科や立地に応じた理想の空間づくりを実現できます。クリニックの施工をご検討の際は、ぜひお気軽に株式会社丹青社へご相談ください。

この記事を書いた人

株式会社丹青社

「こころを動かす空間づくりのプロフェッショナル」として、店舗などの商業空間、博物館などの文化空間、展示会などのイベント空間等、人が行き交うさまざまな社会交流空間づくりの課題解決をおこなっています。

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