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ダイバーシティデザインとは?オフィスに取り入れるべき理由などを解説
サステナビリティ |
近年、ダイバーシティデザインに注目が集まっており、オフィスでも導入が進んでいます。この記事では、ダイバーシティデザインの概要を解説します。ダイバーシティデザインを実現するために必要な、ユニバーサルデザインの概要や、オフィスにダイバーシティデザインを導入する方法についても解説するため、ぜひ役立ててください。
目次
そもそもダイバーシティとは
ダイバーシティとは、多様性を意味しています。もともとは、人権問題や雇用の機会均等などを求める、アメリカの運動がきっかけとなって広まった概念です。ダイバーシティをより具体的に解説すると、年齢、性別、人種、価値観といったさまざまな違いをもつ人が集まる状態だといえます。
ダイバーシティ経営
ダイバーシティ経営については、経済産業省が「多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営」と定義しています。多様な人材が各自の能力や特性を活かして働ける環境が整っている場合、自由な発想が生まれやすくなり、生産性の向上や競争力が強化なども期待できます。
少子高齢化の日本において人材確保や持続的な成長を目指すには、ダイバーシティ経営が必要不可欠です。
ダイバーシティ&インクルージョン
ダイバーシティ&インクルージョンとは、さまざまな人々の考え方や違いを受け入れることです。「inclusion」は、一体性を表す言葉です。つまり、ダイバーシティ&インクルージョンは、単に多様な人材を集めるだけでなく、受け入れて認め合う姿勢の重要性を示しています。
企業は異なるバッググラウンドをもつ従業員をそれぞれ尊重し、各自が能力を十分に発揮できる状況を目指す必要があります。
ニューロダイバーシティ
ニューロダイバーシティとは、脳や神経を意味する「neuro」と多様性を意味する「diversity」を組み合わせた造語です。経済産業省は「脳や神経、それに由来する個人レベルでのさまざまな特性の違いを多様性と捉えて相互に尊重し、それらの違いを社会の中で活かしていこう」としています。
ニューロダイバーシティにおいては、ASDやADHDなどの発達障害に対しても、能力の欠如や優劣ではなく、正常な変異として捉えられています。ビジネスの成長戦略としても関心が高まっている考え方です。
オフィスにダイバーシティデザインの導入が求められている
経済産業省は、毎年「ダイバーシティ経営企業100選」を選定して公表しています。対象は、ダイバーシティ経営に積極的に取り組んでいる企業です。
政府は少子高齢化に伴う人材不足への対策の一環として、ダイバーシティの推進に取り組んでいます。障がい者の法定雇用率の達成や、女性管理職の増加推進のための制度も、ダイバーシティーの推進につながっています。
オフィスの変化が求められる理由とは
多様な人材が活躍できるオフィスの整備が求められるようになり、ダイバーシティデザインが重視されるようになりました。年齢、人種、国籍、宗教などが異なる人々が同じオフィスで働くうえでは、従来とは異なる配慮が必須です。オフィスのデザインの変革が進められており、ダイバーシティデザインを積極的に取り入れる必要性が生じています。
ダイバーシティを実現するために必要なユニバーサルデザインとは
ダイバーシティデザインを実現するには、前提としてユニバーサルデザインも取り入れる必要があります。ユニバーサルデザインとは、性別、年齢、国籍、障がいの有無にかかわらず、誰でも公平に利用できるよう配慮されたデザインのことです。アメリカのロン・メイス博士が提唱しました。博士は、ユニバーサルデザインについて以下の7つの原則を示しています。
公平性:すべての人が時間や場所にかかわらず同様に使用できる
自由度:利き手といった個人の特性に関係なく思い通りに使用できる
簡便性:使い方が簡単である
明確さ:分かりやすい情報で容易に理解できる
安全性:誤った使い方をしても危険性がない
持続性:長時間使用しても疲れない
空間性:使う人の姿勢や動きなどにかかわらず楽に使いこなせる
また、ユニバーサルデザインの例をあげると、以下の通りです。
例1:ピクトグラム
ピクトグラムとは、情報や注意を表す案内記号のことです。トイレに表示されている男性や女性のマークは、代表的なピクトグラムとして知られています。また、駐車場の「P」マーク や、駅を表す電車のマークなどもピクトグラムです。ピクトグラムはイラストであり、言語が通じない相手にも意味を伝えられます。
例2:公共交通機関の乗り降り
公共交通機関の乗り物においても、さまざまな人が利用しやすいよう配慮した、ユニバーサルデザインが採用されています。たとえば、ノンステップバスやホームの段差や隙間が小さい電車などです。このような配慮がされていると、体が不自由な人やベビーカーなども乗り降りがしやすくなります。
例3:文具、キッチン雑貨
日常的に使用する文具やキッチン雑貨にも、ユニバーサルデザインが採用されている場合があります。日本には右利きの人が多く、左利きの人にとって使いにくいものも少なくありません。そのような状況を回避するため、右利きでも左利きでも使用できる、ユニバーサルデザインのはさみも生み出されています。
ダイバーシティデザインを取り入れる方法とは
ダイバーシティデザインを取り入れるには、どうすればよいのでしょうか。ここでは、具体的な方法について解説します。
光の影響を考慮する
照明の変化に敏感な人もいるため、オフィスにおける光の影響を考慮し、自然な光を取り入れる必要があります。まぶしいスクリーンや不自然な照明などは避け、誰でも快適に利用できるようにしましょう。
落ち着いた色や柄を取り入れる
落ち着いた色や柄は人をリラックスさせる効果を期待でき、感覚的な負荷を軽減できます。ただし、色や柄に対する好みは、人によってもさまざまです。そのため、オフィスに取り入れる際は、事前に現場と相談しましょう。
ワークステーションを設ける
視覚的な刺激が少ない環境を好む人もいるため、1人で作業できるワークステーションをオフィス内に設けてもよいでしょう。周囲から隔離した空間を作り、集中して作業できる環境を整備できないか検討してください。
快適性を優先してオフィス家具を選ぶ
オフィス家具は、快適性を優先して選びましょう。たとえば、スタンディングデスクや長く座っていても疲れにくい椅子などがおすすめです。また、収納しやすいオフィス家具を導入すると、使用しないタイミングでも邪魔になりません。
騒音を抑える
大きな騒音はストレスの原因になるため、場所に合わせて音を吸収できる防音パネルなどを設けるとよいです。設置が困難な場合、音に敏感な従業員に耳栓や、ノイズキャンセリングヘッドフォンなどを提供する方法もあります。
空気の質を見直す
空気のにおいがストレスとなって頭痛や嘔吐などにつながる人もいます。そのような人に配慮するには、においに関するルールを定める必要があります。具体的には、喫煙や香水などに関するルールです。また、空調設備に投資し、オフィスの空気の質を見直す方法もあります。
オフィスのレイアウトを見直す
ダイバーシティデザインを取り入れるうえでは、オフィスのレイアウトも見直しましょう。具体的には、授乳室や祈祷室などの設置も検討する必要があります。また、車椅子で通行できる幅の通路の確保も重要です。誰でもスムーズにオフィスを利用できるようにするには、できるだけ床にものを置かないといった配慮も必要になります。
まとめ
多様な人材がともに働く現代の企業においては、ダイバーシティデザインの重要性が高まっています。異なる感覚や価値観をもつ人材がともに尊重し合いながら働けるよう、さまざまな点に対して配慮が求められています。オフィスの環境を見直し、新しい設備の導入やレイアウトの変更などに取り組みましょう。
丹青社は、空間作りを得意とする企業です。幅広い施設の調査・企画・設計・施工・運営管理に、対応できる総合力を誇ります。誰もが利用しやすい空間づくりを検討されている場合は、ぜひご相談ください。
この記事を書いた人
株式会社丹青社
「こころを動かす空間づくりのプロフェッショナル」として、店舗などの商業空間、博物館などの文化空間、展示会などのイベント空間等、人が行き交うさまざまな社会交流空間づくりの課題解決をおこなっています。
この記事を書いた人
株式会社丹青社