クリニックのレイアウトを考えるうえでのポイントは?注意点や面積の目安も解説

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クリニックのレイアウトは、患者にとっての利便性やスタッフの業務効率に影響する重要な部分です。そのため、適切なレイアウトになるように注意して設計することが求められます。この記事では、クリニックの各部屋におけるポイントや、クリニックのレイアウトにおける注意点などについて解説します。クリニックのレイアウトを決める際の参考にしてください。

クリニックの各部屋におけるポイント

クリニックの各部屋におけるポイントについて解説します。部屋それぞれのポイントの詳細は以下の通りです。

受付・会計

受付・会計はクリニックの顔ともいえる部分であり、患者からの印象を左右します。受付・会計のレイアウトは、オープンカウンター方式がおすすめです。オープンカウンター方式は開放感を演出できるほか、待合の患者の様子を把握しやすいことが利点です。

また、受付・会計は人の出入りが確認しやすいように、入口付近にレイアウトしましょう。ただし、個人情報を扱うため、書類やパソコンの画面は相手側から見えない配置にする必要があります。

待合室

患者は診察や会計までの時間を待合室で過ごします。そのため、待合室はストレスなくくつろげる空間にすることが大切です。たとえば、患者同士の視線がぶつからないレイアウトにすると、他者の目が気になりにくいためリラックスしやすいでしょう。また、トイレから出てきた人と目線が合わないレイアウトだと、より効果的になります。

さらに、観葉植物や絵などを飾って落ち着いた雰囲気を演出したり、雑誌やテレビモニターなどを設置して、待ち時間を潰しやすくしたりすることも効果的です。

診察室

診察室の広さは、保健所が示している基準である9.9平方メートル以上になるように心掛けましょう。ただし、基準を満たすことは義務ではありません。そのため、診療科目や設置する備品次第では、9.9平方メートル未満の広さにすることも可能です。

診察室のレイアウトは、患者のプライバシーを守ることを意識しましょう。たとえば、入り口を引き戸や内開き戸にして医師の前側から患者が入ってくる形にしたり、防音扉を設置したりするなどの対策が有効です。さらに、診療室の奥に処置室や職員用の通路を設けたりすると、効率的に移動できます。

処置室

処置室は、目的に応じたスペースを確保することが大切です。具体的に必要となるスペースとして、以下の要素が挙げられます。

・処置する場所
・機器の配置場所
・器具を洗浄する設備
・医療廃棄物や薬の保管場所

各種作業に必要な面積や設置したい設備のサイズに合わせて、適切なレイアウトを検討しましょう。また、プライバシー保護の観点から、ベッドの周りにはカーテンを設置することが望ましいです。

X線室・CT室

X線室・CT室ではX線を使用するため、放射線障害の防止として法律による放射線防護の規制がなされます。違反すると罰則が科せられるほか、施設の使用停止処分が下る可能性もあります。そのため、X線室・CT室のレイアウトを決める際は、細心の注意を払って設計しましょう。

たとえば、室外への放射能漏れを防ぐために、天井・床・壁面、出入り口のドアの内側などに、適切な防護工事をすることも規則で定められています。

参考:電離放射線障害防止規則
参考:医療法施行規則

手術室

手術室は過剰な設備投資を避けて、手術内容に対して適切な設計となるように心掛けましょう。手術室に入る前に前室を設けて、手指洗浄や消毒、脱衣や更衣などを可能にすると効果的です。手の清潔を保つため、手術室への入り口はフットスイッチで開閉可能な自動ドアにすることが望ましいです。

電気回路は、ほかの部屋と系統を分けて停電対策したり、専用の分電盤を設置して多くの機器を使用可能にしたりしましょう。

リハビリ室

リハビリ室には多種多様な機器を設置します。そのため、機器を適切に配置して、利便性や効率性の向上を目指しましょう。設置する機器に対して、供給される電源容量で足りるか確認したり、足りない場合は増やせるか確認したりする必要があります。また、通路部分の壁面やソファに手すりを付けると、バリアフリーに配慮した設計として効果的です。

トイレ

トイレは、清潔感や使いやすさなどを意識して設計しましょう。男女別にしたり、車椅子でも入れるような広さを確保したりすることが大切です。さらに、トイレのドアを開けても、待合や受付から中が見えない配置が望ましいといえます。また、採尿部屋を兼ねる場合はパスボックスを設置すると、患者がトイレの外に出て尿を運ぶ事態を防げます。

スタッフルーム

スタッフルームは、スタッフが快適に休憩時間を過ごせるような内装を目指すと効果的です。具体的には、院長室や業務スペースなどと離れた場所にしたり、患者と接しない動線にしたりすることなどが挙げられます。スタッフルームの必需品は、ロッカー・靴箱・テーブル・椅子などです。ほかにも、電子レンジ・電気ケトル・冷蔵庫などの備品があると、利便性が高くなります。

クリニックのレイアウトにおける注意点

クリニックのレイアウトを決める際は、いくつか注意するべき点があります。以下は、具体的な注意点とそれぞれの詳細です。

衛生面を考慮する

クリニックのレイアウトにおける注意点として、衛生面への考慮が挙げられます。診察室の近くや向かいやすい場所に、手洗い設備を設置しましょう。手洗いがしやすくなれば、医師・看護師が素早く診察や処置に移りやすくなります。さらに、床や壁などは、衛生面を考慮して掃除しやすい素材を採用することが重要です。

安全対策をする

クリニックには、医療廃棄物や感染性廃棄物といった取り扱いに注意が必要なものが多くあります。そのため、適切な安全対策が求められます。ただし、クリニックの安全対策については、管轄の保健所によって安全対策の基準や考え方が異なる点に注意が必要です。安全対策の基準を順守するためにも、事前に確認しておきましょう。

防音対策をする

防音対策も、クリニックのレイアウトにおける注意点として挙げられます。クリニックで防音対策が求められる理由は、患者のプライバシーに配慮するためです。診察室に間仕切りを設置したり、扉を防音仕様にしたりして、ほかの患者に会話が聞こえないようにしましょう。

バリアフリーに取り組む

患者への負担を減らすために、バリアフリーに取り組みましょう。具体的には、段差をなくしたり、車椅子でも移動しやすい広さを確保したりすることなどが挙げられます。また、引き戸を採用したり、椅子の高さを調整したりすることも、バリアフリーに配慮したレイアウトとして効果的です。

動線を意識する

動線を意識することも、クリニックのレイアウトにおける注意点です。主に患者とスタッフの2つの視点から、適切な動線を考えましょう。ここからは、それぞれの視点で意識するべきことを解説します。

患者

患者の動線における重要なポイントは、移動距離が短くなるようにすることです。クリニックには、高齢者や妊婦、怪我人、車椅子の利用者など、移動することが困難な人が多く訪れます。受付から待合室、待合室から診察室・検査室など、それぞれの移動がスムーズにできるようにレイアウトを工夫しましょう。

スタッフ

医師・看護師が効率的に業務をこなすために、移動の無駄をなくすことは大切です。そのためには、各部屋の並び方や設備配置などを適切にする必要があります。たとえば、診察や処置の際には手を洗うため、診察室や処置室の近くに手洗い設備を設置することなどです。また、スタッフルームや院長室などへの動線は、患者の動線と被らないように注意しましょう。

診療科目別の面積の目安

診療科目別の面積の目安について解説します。診療科ごとの具体的な数値は以下のとおりです。

診療科目面積の目安
一般内科30~40坪
消化器内科40~50坪
循環器内科30~40坪
小児科30~40坪
整形外科50~60坪
眼科35~45坪
耳鼻咽喉科30~40坪
脳神経外科50~60坪
婦人科40~50坪
乳腺外科40~50坪
泌尿器科40~50坪
心療内科20~30坪

まとめ

クリニックにおけるレイアウトは、患者にとっての利便性やスタッフの業務効率に影響します。そのため、適切なレイアウトを心掛けることが大切です。

丹青社は、多様な施設の調査・企画・設計・施工・運営管理に携わっています。幅広い分野で事業展開をしている高い総合力が強みです。文化施設事業においては、専門のシンクタンクを備え、シェアは業界No.1です。また、チェーンストア事業でも、パイオニアとしての競争優位を築いています。クリニックのレイアウトで課題を抱えている場合は、ぜひ丹青社へご相談ください。

この記事を書いた人

株式会社丹青社

「こころを動かす空間づくりのプロフェッショナル」として、店舗などの商業空間、博物館などの文化空間、展示会などのイベント空間等、人が行き交うさまざまな社会交流空間づくりの課題解決をおこなっています。

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