自由な働き方ができるABWとは?フリーアドレスとの違いやメリットを解説

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ABWとは、従業員が業務内容や体調、気分などに合わせて、働く時間と場所を自由に選択する働き方です。従業員の待遇改善となり、満足度が向上します。また、人材確保にも役立つため、ABWを導入する企業は多い傾向にあります。

本記事では、そのABWの特徴やメリット・デメリットなどを解説します。導入手順ややるべきことも紹介しますので、参考にしてください。

ABWとは何か

ABWとはActivity Based Workingの略語です。従業員は、その日の業務内容などに適した働く場所を決められたり、時間などを自由に選択できたりします。従業員の自律性を重んじており、場所や時間が自由であるため、会社への出勤や定時の概念がない働き方です。

フリーアドレスとの違いを解説

ABWと混同されやすいのが、フリーアドレスです。フリーアドレスは、会社に出社しますが、固定席を設けていない働き方であり、日や時間、気分によって座る席を変えて働けます。あくまでも、会社内での勤務が前提です。ABWの働く場所は、会社内だけに限定されません。従業員の自律性や主体性を重視する環境整備が目的であるためです。

ABWにおける主な導入目的とは

ABWを導入する企業には、目的があります。大きな目的は、従業員が自社で働くことの満足度をアップさせるためです。自由な場所、自由な時間で働ければ、自ずと満足度はアップするでしょう。満足度が、モチベーションアップにつながれば、生産性の向上も目指せます。また、人材確保も1つの目的です。働きやすい環境は、求職者にとって魅力があります。

ABWを導入するメリットを解説

ABWを企業が導入するのは、多くのメリットがあるからです。ここでは、代表的なメリットを6つ紹介します。

作業効率や生産性が上がりやすい

従業員は、与えられた業務に適切な場所を選択できるため、作業効率や生産性が上がりやすくなります。ABWは作業に集中しやすく、必要なコミュニケーションをとりやすい環境でもあります。

従業員の満足度が高まる

勤務場所や時間を自由に選択できることは、従業員が主体性を持って働くことに打ち込めることにつながります。働く環境が整うため、従業員も満足しやすくなります。結果として、仕事に対する意欲も高まるでしょう。

ワークライフバランス

ABWでは、オフィスに通勤する必要もありません。通勤時間が削減できれば、自由な時間を確保しやすくなるでしょう。昨今、重要視されているワークライフバランスも、良い状態で整いやすくなります。

コスト削減につながる

会社に出勤しなくても良い環境を整えるためには、DX(デジタルトランスフォーメーション)の導入は不可欠です。これにより、ペーパーレス化を推進できるうえ、会社に出勤する従業員が減るため、オフィススペースの削減も可能です。

優秀な人材を確保できる

ABWを導入すれば、従業員の満足度が高くなり、働きやすい会社というイメージもつくでしょう。これにより、入社を希望する優秀な人材が、増えることも期待できます。また、社会問題にもなっている、入社後の定着率の向上にも貢献できるでしょう。

アイデアが生まれやすい

自由な場所で働ければ、従業員のフラストレーションの解消になります。気分転換になり、今までにないアイデアが生まれることもあるでしょう。部署が違う従業員とも気軽にコミュニケーションがとれるため、思考が刺激されるケースもあります。

ABWに取り組む場合のデメリットとは

ABWにはメリットが多い反面、デメリットもあります。なかでも、注意したいデメリットを3つ紹介します。

導入後にうまく活用されない可能性がある

ABWを導入しても、活用されないケースが少なくありません。これまでの習慣が抜けず、普段通りに働く従業員が多い場合は、導入の意味もなくなるでしょう。従業員が、ABWを導入する意味やメリットを、理解するまで繰り返し伝えることが肝要です。

労務管理が煩雑になりやすい

自由な場所で、自由な時間で従業員が働けば、仕事内容や労働時間などの把握は難しくなります。他の従業員から不満が出たり、不正が起きたりする恐れもあるでしょう。導入後は検証も同時進行し、必要に応じて制度を見直さなければなりません。

コスト・時間がかかる

ABWの導入そのものには、大きなコストは必要ありません。適正に運用できる準備や導入後の管理などには、コストが必要です。また、導入前には準備時間が必要であり、導入後にも適正に活用されるまでには、相応の時間がかかるでしょう。

ABWを導入する前に確認したいこと

ABWを導入する前には、確認しておくべきことがあります。ここでは、確認しておくべき事項について解説します。

どのようにABWを浸透させるか

ABWで重要なのは、それをどのように社内に浸透させるかです。ABWを導入しても、従業員の理解が追いついていないと、利用しないかもしれません。まずは、ABWを導入する意味やのメリットを伝える方法を確認しましょう。説明会や個別フォローなどが有効です。

人事評価や勤怠管理の運用方法をどうするか

ABWを導入すれば、これまでに利用してきた勤怠管理の方法では、管理が難しいでしょう。ABWの導入前には、どのような勤怠管理方法が適正であり、自社に適しているかを確認し、新しい評価基準などを設けなければなりません。

どのようなリスク対策を導入するか

ABWは、どこでも働けるため、従業員は会社の機密事項や資料が入ったデバイスを持ち運ぶことになります。このような状態では、大きなセキュリティリスクを抱えているといえるでしょう。ルールの策定やセキュリティソフトなどの確認が不可欠です。

ABWに向いている会社とは

ABWには、向いている会社と不向きの会社があります。ABWに向いている会社は、従業員の自立的な働き方の促進に積極的な傾向があります。また、部署を超えたコミュニケーションを促進する会社や、クリエイティビティを高めたい会社に適しています。クリエイティビティは、アイデアの求められるシーンでの必要となる資質です。

ABWを導入する際の流れとは

ABWを導入するためには、流れを把握することが重要です。その流れに沿って導入すれば、リスクも軽減できるでしょう。

まずは自社の現状を把握する

ABWの導入前には、客観的な自社の現状を把握が不可欠です。従業員に、ABWを説明しヒアリングを実施しましょう。ヒアリングデータを分析すれば、自社の現状を一定程度以上は把握できます。そこから、改善点を丁寧に洗い出すことも大事です。

自社における目的を設定する

ABWを漠然と導入しても、成果を得ることは難しいでしょう。自社での解決すべき課題などをもとに、ABW導入の目的を明確化しましょう。目的を明確化すれば、その目的を達成できるようにABW導入の方針を固めることが求められます。

レイアウトを検討する

従業員が、自由な場所で働けるオフィスのレイアウトを検討し、配置することは導入までに済ませておきましょう。自由な動線を意識したスペースの割り振りは重要です。従業員が、主体性を発揮しやすいオフィス家具選びや配置も求められます。

セキュリティ対策を検討する

ABWの導入に、セキュリティ対策は不可欠です。例として、社外から社内ネットワークにアクセスする際の、システム構築や導入などがあげられます。また、全従業員への、セキュリティの重要性の周知やルールの明文化も重要です。

設備などを整備する

ABWを導入するにあたっては、ハード面での準備も必要です。従業員に貸与するデバイスが必要であり、社内のWi-Fi整備も不可欠です。社内の整備工事だけではなく、従業員の自宅の工事も必要となるかもしれません。

社内制度を構築する

ABWの導入では、社内制度の構築も必要です。たとえば、出勤しているか否かの判断などは、従来の社内制度では対応できない可能性が高いでしょう。コミュニケーションツールを活用した制度の構築や、人事制度の修正などが求められます。

ABWを成功させるポイントとは

ABWを成功させるために必要なポイントは、いくつかあります。以下で詳しく解説します。

従業員のニーズを調査する

従業員のニーズとABWが合致するかの調査は必要です。従業員の意見を取り入れたABWでなければ、従業員が積極的に利用することは難しく、需要がない可能性もあります。上層部や人事の判断だけではなく、全体にアンケートをとるなどをしましょう。

コミュニケーション設計を強化する

ABWを導入することで、従業員同士が非対面で話す機会が増える可能性があります。テキストやオンラインMTGなど、直接表情を確認することができないケースがあるため、コミュニケーションに齟齬が出ないようにする配慮が必要です。社内研修やセミナーを通して、適宜フォローできる体制を構築しておきましょう。

費用対効果をしっかりシミュレーションする

ABWの導入にはコストが発生しますが、コストカットにも役立ちます。必要なのは、費用対効果をシミュレーションすることであり、費用以上に効果が得られるか検討することです。費用効果が出ない場合は、原因の追求が求められます。

オフィス家具を用意する

自由な働き方には、それに適したオフィス家具も必要です。例として、シンプルなデスクや複数人で利用できるデスク、パーテーションなどがあげられます。レイアウトを考える際に、あわせて検討しておくとよいでしょう。

専門サービスの利用や専門家への相談を検討する

ABWを深く理解して、導入できる人材を育てることは容易ではありません。また、従業員の意見だけでなく、専門的な見解を取り入れることも大事です。必要に応じて、専門サービスの利用や専門家への相談も検討しましょう。

まとめ

ABWを導入する企業は、年々増えています。ABWには、さまざまなメリットがあり、上手に取り込むことで、会社の利益となるからです。ただし、ABWのような働き方は、従来の概念を打ち破らなければ成功しないため、導入前にしっかりと確認しておきましょう。それと同時に、導入の流れも把握しておくと、導入も進めやすくなります。

ABWを導入する際には、社内の雰囲気やレイアウトにも注意を払いましょう。自由に出勤できて、自由な場所で働けるような工夫が必要です。ABWの空間演出などは、株式会社丹青社にご相談ください。優れた総合力で、空間を提案します。

この記事を書いた人

株式会社丹青社

「こころを動かす空間づくりのプロフェッショナル」として、店舗などの商業空間、博物館などの文化空間、展示会などのイベント空間等、人が行き交うさまざまな社会交流空間づくりの課題解決をおこなっています。

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