オフィスに出社する人を増やすには?リアルな従業員の声や空間づくりのコツを解説

ワークプレイス |

コロナ禍でテレワークを導入した企業の担当者のなかには、オフィスに出社してもらう割合を徐々に増やしていきたい、と考えている人も多いのではないでしょうか。しかし、従業員が自発的に出社したいと思えるオフィス空間でなければ、反発を招く可能性があります。

本記事では、世間の出社に対する考え方や、出社したくなるオフィスの空間づくりのコツを解説します。ぜひ参考にしてください。

目次

コロナ禍を経過しオフィスに出社する人は増加傾向

近年、オフィスに出社する人が増えつつあります。国土交通省の令和5年度のテレワーク人口実態調査結果には、以下の内容が記載されていました。

・雇用型テレワーカーの割合は24.8%で、昨年度調査から1.3ポイント減少
・全国的に減少傾向ではあるが、コロナ禍以前よりは高い水準
・週1~4日テレワークを実施する割合が増え、出社とテレワークを組み合わせるハイブリッドワークが拡大傾向にある

また、一般社団法人日本オフィス家具協会(JOIFA)の資料には、「職場と在宅の平均勤務日数」について以下のように記載されています。

「毎日オフィスに出勤する人は、コロナ感染拡大前は87.7%であったのが、緊急事態宣言発令中には59.9%まで減り、現時点では70.9%まで回復している。」

引用:ウイズコロナ時代の働く場とオフィスについての調査|一般社団法人 日本オフィス家具協会

参考:テレワーカーの割合は減少、出社と組み合わせるハイブリットワークが拡大~令和5年度のテレワーク人口実態調査結果を公表します~|国土交通省

ポストコロナ時代の働き方のトレンドは?

ポストコロナ時代は、テレワークとオフィス出社を組み合わせた働き方が注目されています。近年の働き方のトレンドを解説します。

ハイブリッド化を採用する企業が増える

ポストコロナ時代は、テレワークとオフィス出社を組み合わせた、ハイブリッド化を推進する企業が増えつつあります。ハイブリッド化のメリットは、テレワークとオフィス出社のデメリットを相互に補完し、業務内容に応じて最適なワークプレイスを選択できることです。

例えば、集中作業はテレワークで、アイデア出しは対面でのオフィスでというように、ハイブリッド化を採用すると柔軟な働き方が可能になります。

出社したくなるオフィスが望まれる

ハイブリッド化を効果的に進めるには、従業員が自発的にオフィスに出社したいと感じる空間づくりが不可欠です。コロナ禍でテレワークが広く普及した近年、各企業には、従業員にとってのオフィスの存在意義を再確認し、価値を高める取り組みが求められています。

従業員視点で見るテレワークのメリット・デメリット

オフィスに出社する従業員を増やすには、テレワークのメリット・デメリットを把握する必要があります。以下では、従業員視点のテレワークのメリット・デメリットを解説します。

テレワークで得られるメリット

従業員がテレワークで得られるメリットは以下のとおりです。

・ワーク・ライフ・バランスを充実させやすい
・1人で集中して働ける
・生産性が向上する
・通勤時間が不要となり、時間を有効活用できる
・通勤中に感じるストレスから解放される

テレワークがもたらすデメリット

従業員がテレワークにより感じるデメリットは以下のとおりです。

・仕事に必要なコミュニケーションを取りにくい
・孤独を感じやすい
・仕事とプライベートの切り替えが難しい
・運動不足になりやすい

従業員視点で見るオフィス出社のメリット・デメリット

オフィスに出社する割合を増やすと、従業員にとってどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。以下でそれぞれ解説します。

オフィスに出社することで得られるメリット

従業員がオフィスに出社することで得られるメリットは、以下のとおりです。

・メリハリをつけて働ける
・新人や後輩を育成しやすい
・コミュニケーションを通じて画期的なアイデアが生まれやすい
・従業員同士の理解が深まり、チームとして一体感が生まれる
・帰属意識が高まる

オフィスに出社することのデメリット

従業員がオフィスに出社することで感じるデメリットは、以下のとおりです。

・ワーク・ライフ・バランスが崩れやすい
・人間関係でストレスがたまりやすい
・通勤時間や交通費が発生する
・電車の遅延など、移動中のトラブルが原因で仕事に影響が出る恐れがある

オフィス出社に関する従業員のリアルな意見

テレワークとオフィス出社の両方を経験した従業員が語る、オフィス出社に対するリアルな意見を紹介します。

テレワークに対する素直な気持ちは?

テレワークの経験は人それぞれで、その評価も分かれているようです。例えば、テレワークの方が集中して働けるので、生産性の向上につながったと語る人がいます。

一方で、テレワークに困難を感じた従業員も少なくありません。オフィスでの対面コミュニケーションの欠如により、チームワークや情報共有が難しくなったと報告する人もいます。

参考:KONICA MINOLTA|オフィスに出社する?しない?リモートワークも選べる時代のリアルと本音

これからの理想の働き方は?

ポストコロナ時代と呼ばれる近年、多くの人がハイブリッド化を採用する企業が増えると予想しています。大学などでオンライン授業が入された経験を持つ若者が就職するなか、これから入社する人に完全な出社を求めるのは難しいのではないか、という意見もありました。

どのようなオフィスなら出社したい?

多様なニーズに対応できる、柔軟なオフィス空間が求められているようです。例えば、無理強いされるのではなく、出社のタイミングを自由に選ばせてほしいという人がいます。また、出社すべき理由が明確ならオフィスで働いても構わない、と主張する人もいました。

出社したくなるオフィスに求められる条件

多様な業務や従業員のニーズに対応できるオフィス空間は、出社したい気持ちを促進させます。出社したくなるオフィスの条件を解説します。

コミュニケーションを取りやすい

出社したくなるオフィスには、フリースペースやカフェスペースのように、従業員が自然に集まってくる場所が必要です。オフィスのスペースに制約がある場合でも、レイアウトの工夫により、コミュニケーションを促進する空間を創出できる可能性があります。

気分転換しやすい

1人でも複数人でも気軽に利用できるスペースがあると、効果的な気分転換が可能です。リラックスできる場所に人々が集まることで、交流の促進や新しいアイデアの創出が期待できます。例えば、社内図書館やカフェスペースを設置して、仕事の合間にリフレッシュできる空間を整えるとよいでしょう。

1人で没頭できる環境がある

オフィスは多くの人が集う場所であるため、コミュニケーションを促進する工夫と同時に、個人が集中して作業できる環境の整備も重要です。

集中できる個室や、必要な書類や作業道具が整った専用スペースなど、効率的に仕事を進められる場所を設けましょう。また、フリーアドレス制の導入は、周囲のメンバーが固定されないことで適度な緊張感を保ち、生産性向上にも寄与する可能性があります。

従業員の健康に配慮した設備やサービスがある

従業員専用のスポーツジムや栄養バランスの整った食堂の導入は、従業員の健康促進だけでなく、オフィスへの出社意欲の向上が期待できます。大規模な設備導入は難しくても、バランスボール、ストレッチマシンのようなアイテムを取り入れてもよいでしょう。

さまざまなニーズに対応できる

オフィスには、さまざまなニーズに対応できる柔軟な環境が求められています。例えば、周囲に気兼ねなくWeb会議に参加できる防音個室があれば、これまで出社を躊躇していた従業員の不安を解消できます。

他にも、集中して作業したい、対面でコミュニケーションしたいなど、さまざまなニーズに適した空間を提供して、従業員の出社意欲を高めましょう。

自宅にはない利便性を得られる

コーヒーマシンがある、落ち着けるリフレッシュスペースがあるなど、自宅では得られない利便性や快適さを提供するオフィス空間は、従業員の出社意欲を高める効果が期待できます。

オフィスに出社したくなる空間づくりの事例3選

従業員が自発的に出社したくなる空間づくりに成功した、企業事例を紹介します。参考にしてオフィスの空間づくりに取り組んでみましょう。

やまやコミュニケーションズ 本社オフィス

すり鉢状に湾曲した大型のラウンドソファは、自然に従業員が集まる多目的な場所として機能しています。1人で作業したり休憩したり、大勢で活発にコミュニケーションしたりと自由に過ごせるでしょう。

執務エリアは、固定の間仕切りが排除されています。間仕切りの代わりに棚や植栽を巧みに配置することで、適度な区画分けと円滑な動線を両立させています。

事例の詳細はこちら

USEN-NEXT GROUP オフィス

ABW(Activity Based Working )の推進を目的として、オフィス空間をデザインしています。ABWは、仕事内容やそのときの気分に合わせて、働く場所や時間を自由に選ぶ働き方です。さまざまなタイプの家具が並ぶオフィスで、従業員は日々、自分で働きたい場所を選択できます。

事例の詳細はこちら

インテリジェンス ビジネスソリューションズ 本社

ITエンジニアの働き方に特化したオフィスです。さまざまな座席が用意されたクリエイティブベースでは、目的に応じて座席を選べます。イノベーションカフェでは、プロジェターで資料を投影したり、壁面のガラスに文字や図を書いたりしながら、多機能な打ち合わせが可能です。

事例の詳細はこちら

オフィスに出社したくなる空間づくりのコツ

オフィスの空間づくりに取り組む際は、実際にその場所で働く従業員の意見を聞きましょう。出社したくなる空間づくりのコツを解説します。

従業員が働きやすいオフィスのイメージをつかむ

従業員へのアンケートや個別ヒアリングを実施し、理想のオフィス環境に対する具体的なニーズを把握しましょう。得られた情報を分析し、設備導入やレイアウト変更などの計画を進めてください。

出社を無理強いしない

オフィスへの出社を強制することは避け、従業員の自主性を尊重しましょう。無理な要求は、モチベーションの低下や離職率の上昇を招く恐れがあります。

出社の目的や利点を明確に説明して従業員の理解と同意を得ると、健全なオフィス空間が生み出されます。

丹青社が提案する出社したくなるオフィス空間

丹青社は、創業以来70年以上にわたり、こころを動かす空間づくりに携わってきました。豊富な実績を武器に、デザインの力とテクノロジーを駆使して、空間づくりに取り組みます。お客さまの希望とデザイナーの考えをまとめて、理想のオフィス空間を具現化します。

まとめ

従業員が自発的に出社したくなるオフィスには、さまざまなニーズに柔軟に対応できる環境が整っています。オフィスの空間づくりに取り組む際は、従業員の意見をヒアリングして、ニーズを分析してください。出社を強制せず、オフィスで得られる具体的な利点や目的を明確に説明して、従業員の自主的な出社意欲を高めましょう。

丹青社は、多様な施設の調査・企画・設計・施工・運営管理に至るまで、幅広い分野で事業展開を行っています。チェーンストア事業ではパイオニアとしての競争優位を築き、文化施設事業においては、専門のシンクタンクを擁し、業界でも有数のシェアを持っています。

出社したくなるオフィス空間づくりを検討中の人は、ぜひ丹青社にご相談ください。


この記事を書いた人

株式会社丹青社

「こころを動かす空間づくりのプロフェッショナル」として、店舗などの商業空間、博物館などの文化空間、展示会などのイベント空間等、人が行き交うさまざまな社会交流空間づくりの課題解決をおこなっています。

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