仮眠室を設置するメリットは?運用ルールのポイント・アイデアを紹介

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近年、仮眠室を設置する企業が増えています。社内に仮眠室があれば、従業員が必要なときに仮眠を取って休憩できる上に、仮眠によって集中力や業務効率の向上が期待できます。しかし、仮眠室の設置を検討する人のなかには、設置のメリットやポイントが分からない人もいるでしょう。 本記事では、企業が仮眠室を設置するメリットや運用のルールの例、ポイントなどを解説します。

仮眠室が求められる背景

仮眠室を設置する企業が増えている背景は、仮眠によって生産性を高める働き方が大きな注目を集めているためです。短時間の睡眠を取ることは従業員の集中力や生産性の向上につながるため、業務の質を高めるといわれています。特に、食後は眠気に襲われやすく、業務効率が下がる可能性があります。仮眠室があれば短時間で心身をリフレッシュできるでしょう。

企業に仮眠室の設置義務はある?

仮眠は業務の質の向上が期待できますが、企業に仮眠室を設置する義務があるのか詳しく解説します。

条件によっては仮眠室の設置が義務

仮眠室の設置は、全ての企業に義務付けられていません。しかし、条件に該当する企業は仮眠室を設置する必要があります。仮眠室の設置の義務と条件は、労働安全衛生規則の第616条第1項と、事務所衛生基準規則の第20条第1項に定められています。条件に該当しない企業でも、生産性の向上を考慮して仮眠室を設置する企業も少なくありません。

参考:労働安全衛生規則|e-Gov法令検索
参考:事務所衛生基準規則|e-Gov法令検索

仮眠室の設置義務が生じる条件

仮眠室の設置が義務付けられる条件は、以下の2つです。

・夜間勤務があり、睡眠時間を与える必要がある場合
・就業途中に仮眠を与える機会がある労働者がいる場合

夜間勤務や長時間の拘束が必要な従業員がいる場合は、企業に仮眠室の設置義務が生じます。また、常時50人以上の従業員がいる、または常時30人以上の女性の従業員がいる場合は、性別ごとに休養室または休養所の設置が義務付けられています。

参考:労働安全衛生規則|e-Gov法令検索
参考:事務所衛生基準規則|e-Gov法令検索

仮眠室を設置するメリット

企業が仮眠室を設置すると従業員の作業効率や生産性が向上したり、企業のイメージアップにつながったりするなどのメリットがあります。

作業効率・生産性が上がる

仮眠室があれば、従業員は仮眠を取りたいときにいつでも休養できるため、従業員の満足度が高まる可能性があります。また、短時間の睡眠によって心身がリフレッシュできれば集中力が高まり、作業効率や生産性の向上につながります。特に、昼食後は血糖値が上がり、眠気が強くなる時間帯です。少しでも睡眠時間を取ることで眠気の解消も期待できます。

心身の健康維持につながる

仮眠室の設置は、従業員の健康維持に役立ちます。従業員のなかには睡眠不足の人がいる場合があり、放置すると心身の健康に悪影響を及ぼす恐れがあります。仮眠室を設置すれば、従業員が短時間の睡眠を取りたいときでも気軽に利用してもらえるでしょう。従業員に仮眠室でしっかり睡眠を取らせることで、リラックスした状態で働いてもらえます。

効率的に休憩が取れる

仮眠室では横になれる環境を整備するため、従業員が効率的に休憩できるようになります。仮眠は椅子に座ったままでも取れますが、横になった方が同じ睡眠時間でも高い効果が期待できるといわれています。仮眠室で効率かつ質が高い睡眠を取ることで、従業員は高いパフォーマンスを発揮しやすくなるでしょう。

企業のイメージアップ

仮眠室の設置は自社が従業員にとって、働きやすい職場環境を整備していることのアピールになります。社内外から従業員を大切にする企業として認識されやすくなるでしょう。また、社内外からの評価が高まることで、企業のイメージアップを図れるため、自社のブランディングに役立てることも可能です。

企業が仮眠室を設置するデメリット

企業が仮眠室を設置するとさまざまなメリットを得られる一方で、いくつかのデメリットもあります。以下で解説します。

仮眠時間の調整が難しい

仮眠室では横になって休める環境が整っているものの、人によっては長く寝すぎてしまう恐れがあります。仮眠時間が長くなりすぎると、集中力が低下するリスクもあるため注意が必要です。集中力が下がれば業務の質や生産性が低下し、ミスが増える可能性もあります。仮眠室を設置する場合は寝すぎを防止するためにも、仮眠時間の管理が必要です。

残業の増加につながる

仮眠室を設置するデメリットとして、残業時間の増加が挙げられます。就業時間中に仮眠を取らせることで業務が後倒しになれば、その日のうちに終わらせなければならない業務をこなすために、残業が発生する可能性があります。残業の増加を防止するなら、仮眠室の利用時間に制限を設ける工夫を取り入れましょう。

仮眠室の運用ルールを決めるポイント

仮眠室を設置する場合は、運用ルールも決めることが重要です。運用ルールを決める際のポイントを解説します。

清潔な状態維持を大切に

仮眠室は全従業員が利用できる休養スペースのため、常時清潔な状態を維持できるようにルールを設ける必要があります。ルールの例は以下のとおりです。

・枕の使用時は持参のタオルやハンカチを敷く
・使用した備品は保管されていた場所に戻す
・使用後は除菌スプレーを噴霧する

ルールを明確に提示し、清潔に使用するという利用者の意識を高めましょう。

利用時間の制限を設ける

長時間の使用を制限するためには、仮眠室の利用時間の上限を設定することが大切です。利用時間を制限することで短時間の睡眠ができれば、長く寝すぎて集中力が低下するリスクを軽減できます。また、1人でも多くの従業員に利用してもらえるため、公平性を保てます。ルールの一例を以下に挙げているので、参考にしてください。

・利用時間の上限は30分
・仮眠室の利用は週2回まで
・予約制を導入する

音量に注意する

仮眠室でアラームを利用する場合は他の利用者の迷惑にならないように、音量への配慮が必要です。アラームの音が大きすぎると他の利用者の仮眠を妨害する恐れがあります。また、仮眠室と隣接する部署にアラームが響き、業務に支障をきたす場合もあるかもしれません。アラームを設定する際には、バイブレーションのみで音が鳴らないように義務付けましょう。

仮眠室を設ける際の注意点

自社に仮眠室を設置する際には業務スペースと明確に分け、仮眠しやすい環境の整備を心がけましょう。

業務スペースと分ける

仮眠室を設置する際には、業務スペースと仮眠スペースを明確に分けることが重要です。業務スペースから近い場所に仮眠室を設置すると、業務をしている従業員の声や音が耳に入り、仮眠できなくなる恐れがあります。スペースを明確に分けることで、仕事と休養のメリハリをつけられる上に音も気にならないため、リラックスした状態で仮眠できるでしょう。

仮眠に適した環境を整備

仮眠に適した環境のポイントは、以下のとおりです。

・横になってゆったりできる椅子やベッドを用意する
・室内の照明を落とし、薄暗くする
・無音にならないようにホワイトノイズを流す

ホワイトノイズとは自然に存在する音のことで、川のせせらぎや海の波音などを指します。無音になるとかえって眠れなくなる人もいるため、音にも配慮しましょう。

仮眠室に置く設備・備品のアイデア

仮眠室にあると便利な備品や快眠グッズを紹介します。仮眠室の環境に合わせて必要なものをそろえておきましょう。

ベッド・リクライニングソファ

仮眠室には利用者が自由に角度を変えられるベッドや、リクライニングソファの設置がおすすめです。横になった状態から上半身を少し起こした姿勢でいる方が、仮眠を取りやすいためです。

横になったまま寝入ると深い睡眠になりやすく、短時間で起きれなくなります。長く寝すぎるとかえって逆効果のため、傾斜をつけられるベッドやリクライニングソファを導入しましょう。

アイマスク

仮眠室を設置しても、室内に入る光を完全に遮断できない場合があります。明るい場所では仮眠を取りにくくなるため、仮眠室にアイマスクを常備すれば、明るい場所でも眠れる環境を整えられます。ただし、アイマスクの共有は衛生的に問題があることから、常備する場合は使い捨てできるものを用意しましょう。

耳栓

使い捨ての耳栓を仮眠室に常備しておくこともおすすめです。仮眠室の周囲の環境によっては、従業員の話し声や雑音が聞こえる可能性があります。また、仮眠室に出入りする際の音が気になる人もいるかもしれません。周囲の音がうるさいと睡眠に集中できなくなり、仮眠を取れなくなります。耳栓があれば周囲の音を気にすることなく睡眠に集中できるでしょう。

仮眠室の設置が難しい場合は?

オフィスの広さによっては、仮眠室を設置できない場合もあります。仮眠室の設置が難しい場合は、オフィスの一角に仮眠スペースを設けるのも1つの方法です。また、個室ブースを導入したり、パーテーションで仮眠スペースを仕切ったりするのもよいでしょう。

ただし、業務スペースや人の出入りが多い場所では仮眠を取ることが難しいため、できるだけ静かな環境を用意しましょう。

まとめ

仮眠室を設置することで企業はさまざまなメリットを得られますが、仮眠時間が長すぎると逆効果になる、残業時間が増加するなどのデメリットもあるため、運用時のルールを明確にしておきましょう。自社に仮眠室を設置して従業員がリフレッシュできる空間を作りたい人は、丹青社への相談をおすすめします。

丹青社は多様な施設の調査・企画・設計・施工・運営管理まで、幅広い分野で事業展開しています。創業70年以上に渡って、お客様の心を動かす空間づくりを行っています。お役立ち資料を配布しているため、ぜひ参考にしてください。


この記事を書いた人

株式会社丹青社

「こころを動かす空間づくりのプロフェッショナル」として、店舗などの商業空間、博物館などの文化空間、展示会などのイベント空間等、人が行き交うさまざまな社会交流空間づくりの課題解決をおこなっています。

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株式会社丹青社