オフィス天井の種類と特徴を解説|理想の空間を実現する高さと選び方

ワークプレイス |

オフィスの天井は、空間の印象を決定づけるだけでなく、働く人々の快適性や生産性にも大きな影響を与える重要な要素です。天井の種類や高さ、デザインが違うだけで、開放感や圧迫感、音の響き方まで変わります。

本記事では、オフィスの天井について、代表的な種類とその特徴、法律で定められた高さの基準、そして自社に最適な天井を選ぶための具体的なポイントを解説します。

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オフィス天井の種類

オフィスで採用される天井は、大きく分けて「在来工法天井」「システム天井」「スケルトン天井」の3種類です。それぞれに構造やデザイン、機能性が異なるため、メリットとデメリットを理解し、オフィスの用途やコンセプトに合わせて選びましょう。

在来工法天井

在来工法天井は、天井の下地となる骨組みに石膏ボードなどを直接張って仕上げる、日本で最も普及している工法です。オフィスだけでなく、学校や病院などさまざまな施設で採用されています。

照明器具や空調設備の配置を比較的自由に決められるほか、クロスや塗装といった仕上げ材の選択肢も豊富なため、理想の空間を演出しやすい点がメリットです。また、広く普及しているため材料を安価に調達しやすく、コストを抑えられる傾向にあります。

一方で、一度施工すると照明などの設備移設が難しく、将来のレイアウト変更には大掛かりな工事が必要になる点がデメリットです。

システム天井(グリッド型・ライン型)

システム天井は、工場で生産された規格品の部材を現場で組み立てる工法です。下地材でフレームを組み、そこに天井パネルや照明、空調設備などをはめ込んで構築します。おもな種類として、格子状のフレームが特徴の「グリッド型」と、設備が直線的に配置される「ライン型」があります。

パネル単位での取り外しが容易なため、天井裏の点検や設備の修理がスムーズに行えるなど、メンテナンス性の高さがメリットです。また、照明や空調の位置変更も簡単なため、オフィスのレイアウト変更に柔軟に対応できる利点もあります。

しかし、部材が規格化されているためデザインの自由度に制約が出ることや、パネル構造上、在来工法に比べて遮音性が低くなる場合がある点には注意が必要です。

スケルトン天井

スケルトン天井は、天井板を張らずに、建物のコンクリート躯体や配管、配線などを意図的に見せるデザイン手法です。天井板がない分、天井を最大限に高くすることができ、圧迫感のない開放的な空間を創り出せるのがメリットです。むき出しの配管やコンクリートの質感がインダストリアルで洗練された雰囲気を演出し、デザイン性の高いオフィスを演出することができます。

しかし、天井板による吸音効果がなくなるため音が反響しやすくなったり、空間の容積が増えることで冷暖房の効率が下がり、光熱費が増加したりする可能性があります。また、消防設備の増設や退去時の原状回復工事で、追加のコストが発生する場合があることにも考慮が必要です。

理想のオフィス空間を創る「天井高」の基準

オフィスの天井高は、空間の開放感や従業員の心理的な快適性に直接影響を与える重要な要素です。法的な最低基準を満たすことはもちろん、業務効率や創造性を高めるための適切な高さを理解することが、理想的なオフィス環境の実現につながります。

法律で定められたオフィス天井の高さ(建築基準法)

建築基準法施行令により、居室の天井の高さは2.1m以上であることが定められています。これはあくまで最低限の基準であり、快適な執務環境を確保するためにこの基準を上回る高さが設定されているオフィスビルが多いようです。

また、労働安全衛生法に基づく事務所衛生基準規則では、労働者1人あたりの「気積」を10立方メートル以上確保することが義務付けられています。この気積は、床面から4mを超える高さにある空間は除外して計算されるため、天井高も関係する要素のひとつとなります。

参考:建築基準法施行令 | e-Gov 法令検索
参考:事務所衛生基準規則 | e-Gov 法令検索

快適性と業務効率を両立できる天井の高さ

一般的なオフィスにおいて、快適性を感じられる天井高の目安は2.6mから2.8m程度とされています。天井が高い空間は、視覚的な広がりが圧迫感をなくし、従業員の心理的なストレスを軽減させる効果が期待できます。このような開放的な環境は、自由な発想やアイデアの創出を促すと言われており、創造性の向上にもつながるでしょう。

一方で、天井が高くなることで空間の容積が大きくなるため、冷暖房の効率が下がり、光熱費が高くなる可能性があります。また、照明器具の交換といった高所での作業が必要となり、メンテナンスの手間やコストの増加にも注意が必要です。

天井を高く見せるデザインの工夫

実際の天井高を変えられない場合でも、内装デザインの工夫によって視覚的に天井を高く見せ、開放感を演出することが可能です。

色彩の効果を利用し、天井に白やアイボリーなどの明るい膨張色を使い、床や壁に暗めの色を配色すると、コントラストで天井が高く感じられます。照明計画も重要で、天井全体を照らす間接照明は空間に奥行きを与え、壁を照らす照明は視線を自然と上に誘導してくれるでしょう。

オフィス天井選びで失敗しないための確認項目

オフィスの天井を選ぶ際には、デザインや種類だけでなく、建物に付随する設備や法的な制約、そして工事に伴う期間や費用といった現実的な側面も十分な確認が必要です。具体的に解説していきます。

天井裏の設備(空調・照明・防災設備)

オフィスの天井裏には、空調ダクト、照明の配線、スプリンクラーや火災報知器といった防災設備など、建物の機能を支える重要なインフラが集中しています。天井の工法は、これらの設備のメンテナンス性に大きく影響を与えます。

例えば、在来工法天井の場合、点検や修理のために天井の一部を解体する必要が生じることがありますが、システム天井であれば特定のパネルを外すだけで簡単にアクセスが可能です。天井選びの際には、将来的な設備の更新やレイアウト変更の可能性も考慮しましょう。

消防法やビル管理規約

天井の改修工事は、消防法や建築基準法といった法律の規制を受けます。特に、スケルトン天井へ変更した際には、天井板を撤去することで、スプリンクラーヘッドや火災報知器の設置基準を満たさなくなる場合があります。

また、入居するビルの管理規約によって、天井の工法や使用できる素材、デザインなどが指定されている場合もあるため、計画の初期段階で必ずビルオーナーや管理会社に確認を取ることが不可欠です。

施工期間とコスト

天井の工法によって、工事にかかる期間と費用は大きく異なります。在来工法は現場での作業が多いため工期が長くなる傾向にありますが、部材が規格化されているシステム天井は効率的に施工できるため工期を短縮しやすいでしょう。

スケルトン天井の場合は、既存天井の解体費用や配管の塗装、設備の追加工事などが必要となり、総コストが高額になる可能性があります。初期費用だけでなく、長期的な視点でコストパフォーマンスを判断することが重要です。

オフィス天井を正しく選ぶポイント

オフィスの天井選びは、機能性、コスト、そして企業が目指すビジョンを総合的に考慮することが重要です。自社にとって最適な天井を選ぶためのポイントを解説します。

機能性を比較検討する

オフィス天井を選ぶ際は、デザインだけでなく機能性の比較が重要です。執務スペースでは会話音やOA機器の騒音を吸収する吸音性が求められ、一方で役員室や会議室では情報漏洩を防ぐための遮音性が不可欠となります。

また、断熱性や耐震性も働く環境の快適性を大きく左右します。求められる機能性を満たしているかどうか比較検討しましょう。

長期的コストと制約条件を確認する

天井選びでは、初期の工事費用だけでなく、長期的な視点でのコストと各種制約の確認が不可欠です。断熱性能は日々の光熱費に、メンテナンスのしやすさは将来の修繕費に影響します。賃貸オフィスの場合は、退去時の原状回復義務も考慮しなければなりません。

また、消防法や建築基準法といった法律、入居ビルの管理規約によって工事内容が制限される場合があるため、計画の初期段階で必ず確認し、遵守することが重要です。

企業の「ありたい姿」からデザインとコンセプトを逆算する

オフィスの天井は、企業のブランドイメージや文化を表現する重要な要素です。どのような空間で従業員に働いてほしいか、来訪者に何を感じてほしいかという「企業のありたい姿」を起点にデザインを考えましょう。天井デザインを通じて企業メッセージを発信することは、従業員のエンゲージメント向上にもつながります。

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まとめ

オフィスの天井は、快適な執務環境と企業のブランドイメージを形作る重要な要素です。本記事で紹介した種類や選び方を参考に、自社の「ありたい姿」を映し出す空間づくりをご検討ください。

丹青社は、多様な業界の空間づくりで培ったノウハウを活かし、柔軟かつ的確なオフィス空間をご提案します。現在のオフィスに課題を持つ方は、ぜひ丹青社へご相談ください。


この記事を書いた人

株式会社丹青社

「こころを動かす空間づくりのプロフェッショナル」として、店舗などの商業空間、博物館などの文化空間、展示会などのイベント空間等、人が行き交うさまざまな社会交流空間づくりの課題解決をおこなっています。

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株式会社丹青社