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オフィスの動線が重視される理由は?動線を計画する際の注意点についても解説!
ワークプレイス |
業務効率やコミュニケーションなどの観点から、多くの企業がオフィスの動線を重要視しています。本記事では、オフィスに適した動線の条件や、動線を計画する際の注意点について解説します。オフィスの各スペースに必要な幅や寸法もまとめているので、ぜひ参考にしてください。
目次
オフィスにおける動線とは?

オフィスにおける動線とは何を指すのか、また快適なオフィス作りのために必要な動線計画について解説します。
オフィス内における目的地への経路
オフィスの動線は、従業員や来訪者が各目的地へ移動する際に利用する経路を指します。オフィスにおける代表的な動線として、以下が挙げられます。
- オフィスの出入口から執務室までの経路
- デスクからコピー機までの経路
従業員の快適な移動を確保し、来訪者にとって分かりやすいレイアウトとすることが、オフィスにおける動線設計のポイントです。
快適なオフィス作りには動線計画が必要
オフィスに最適な動線を設計するためには、動線計画が必要です。動線計画とは、従業員や来訪者が効率的に動けるように、実際の状況に基づいて内容を考えることです。オフィスの平面図上に想定される動きを図示し、人の流れを分析する手法によって、動線計画が立てられます。
近年のオフィスには多様な人々が集まることから、バリアフリーやユニバーサルデザインの観点を取り入れた、動線計画が求められています。
オフィスにおける動線が重要な理由

オフィスにおける動線が重要な理由は、業務効率やコミュニケーションに影響を与えるためです。快適な移動となる動線設計により、移動時間の短縮が図れ、業務効率の向上が期待できます。また、部署間のアクセスがしやすい動線配置や、動線上に設けられた共有スペースは、従業員間のコミュニケーションを活性化させる効果があります。
オフィスに適した動線の条件

オフィスに適した動線の条件について、通路や設備同士の間隔、快適な移動のためのポイントを解説します。
適切な通路幅が確保されている
通路には、人が多く通るメインの動線と、回り道や抜け道となるサブの動線があります。メインの動線の場合、支障なくすれ違えるように通路幅は160cm以上が望まれます。サブの動線は90cm程度の通路幅を確保できれば十分です。ただし、後述する建築基準法や消防法に準拠してレイアウトを決めましょう。
各種設備にアクセスしやすい
デスク同士、あるいはデスクと各種設備の間隔を適切に設けてください。人が通れるだけの間隔では、キャビネットの扉開閉時や、コピー機の使用時などに支障をきたす恐れがあるためです。また、間隔が狭いと作業者がいるときに、他の人の通行が妨げられます。
動線計画を練る際は、従業員の日常的な動きや設備の使用パターンを想定し、各種設備にアクセスしやすく、作業者がいる場合もスムーズに通行できるように配慮しましょう。
快適に移動することができる
動線に行き止まりを作らなければ、従業員は通路を折り返さずに済みます。地震などの非常事態を想定しても、行き止まりは望ましくありません。また、出入口から目的地までの動線をシンプルにすることも重要です。
たとえば、自席がすぐ近くにあっても、キャビネットや他の人のデスクなどが壁を作っていれば、迂回しないとたどり着けず面倒に感じられます。業務効率と従業員のストレス軽減のために、動線計画を練りましょう。
動線を計画する際の注意点

オフィスの動線計画には、従業員の快適性と業務効率、安全性への配慮が必要です。以下のポイントを押さえて、適切な計画を立てましょう。
メインとサブの動線を設ける
前述のとおり、オフィスの動線はメインとサブに分けて作るべきです。メインの動線は、人がすれ違う際にぶつからない通路幅を保ち、オフィスの出入口から真っ直ぐ伸びる配置が望まれます。サブの動線は、回り道や抜け道として、メインの動線から派生するような形を検討しましょう。
不要な動線を作らない
極端に人通りが少ない通路や行き止まりになる通路については、不要な可能性があります。特に、行き止まりになる動線は、折り返す際に混雑したり、他の人と衝突したりする可能性があり、業務効率と安全性の観点から不適切です。
法律に則った通路幅にする
オフィスの動線における通路幅は、建築基準法や消防法に則って確保してください。以下に、建築基準法に則って最低限確保すべき通路幅をまとめました。
廊下の配置 | 確保すべき通路幅 |
---|---|
両側に居室がある場合 | 60cm |
その他の廊下の場合 | 120cm |
上記の条件は、あくまで建築物の廊下に適用されるもので、フロア内の通路の場合は遵守する必要はありません。また、消防法には具体的な通路幅の規定がありませんが、火災時の避難を妨げないだけの通路幅の確保が望まれます。
参考:建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)|e-Gov 法令検索
ソーシャルディスタンスを考慮する
動線計画では、ソーシャルディスタンスを考慮しましょう。適切な距離感を保って働かなくては、感染症が拡大するリスクがあります。デスク同士の間隔や通路幅を広めに取る、メインの動線に人が集中しないように複数のサブの動線を用意するなど、これらの施策がソーシャルディスタンスの確保に効果的です。
避難経路を確保する
地震や火災などの非常事態に備えて、安全な避難経路が必要です。避難経路は、大人数がスムーズに通行できるだけの幅を確保してください。また、各自のデスクから避難経路に至るまでの動線を明確にしましょう。
避難経路には、非常事態における安全性が求められます。たとえば、ガラス窓の付近は、ガラスが散乱する可能性があるため避難経路として望ましくありません。給湯室付近も、火災発生が懸念されるため迂回する動線を考えるべきです。
設備や機器の配置を想定しておく
業務効率を高めるために、各種設備や機器は、アクセスしやすさを考慮した配置が望まれます。たとえば、備品類を収納したキャビネットやコピー機など、利用頻度が高いものはメインの動線上に配置しましょう。
設備や機器がある場所から自席に戻りやすいように回遊性のある動線を作ると、さらに業務効率が高まります。
計画を見直す
さまざまな視点から検討して動線計画を作っても、余分な動線やデッドスペースなどが発生している可能性はあります。計画を見直す際は、既存オフィスで同様の動きをシミュレーションしてみたり、第三者に意見を求めたりすると効果的です。
オフィスの各スペースに必要な幅や寸法

オフィスの各スペースに必要な幅や寸法を、通路、執務室、会議室に分けて具体的に解説します。
通路
日本人成人の一般的な肩幅は46〜50cmといわれているため、すれ違いを想定しない通路であれば通路幅は60cm程度が目安となります。また、車椅子の標準的な寸法は60cmとされているため、ユニバーサルデザインに配慮するならば、75cm程度の通路幅が必要です。
前述した建築基準法、避難経路の確保を求めている消防法との兼ね合いも考慮して、通路幅を決定しましょう。
執務室
人が多く業務効率が重視される執務室では、デスク同士、あるいはデスクと各種設備の間隔を十分に確保する必要があります。たとえば、デスク同士を横並びに設置する場合は、90~120cm程度の間隔を確保することをおすすめします。また、デスクを背中合わせに配置する際は、椅子から立ち上がる際に衝突しないように、180cm程度の通路幅を確保するとよいでしょう。
会議室
会議室では、レイアウトや目的によって確保するべき間隔が異なります。たとえば、一般的な対向式のレイアウトでは、椅子の背後をスムーズに通行するために、テーブルと壁の間に120cm以上の幅が必要です。セミナールームで主に見られる同向式の場合は、テーブル間に95cm程度の幅を確保しましょう。
関連記事:会議室を活用する7種のレイアウトとは?参加人数に合わせた広さの目安なども解説
まとめ
オフィスの動線は、従業員の快適性と業務効率、安全性に配慮したうえで計画する必要があります。実際の業務状況をイメージして、通路やデスク同士、デスクと各種設備の間隔を適切に確保してください。
株式会社丹青社は、多様な施設の調査・企画・設計・施工・運営管理など、幅広い範囲で空間づくりの事業展開を行っています。チェーンストア事業では、パイオニアとして活躍中です。文化施設事業においては、専門のシンクタンクを備え、業界でも有数のシェアを誇ります。オフィスのレイアウト変更を検討する際は、ぜひご相談ください。
この記事を書いた人

株式会社丹青社
「こころを動かす空間づくりのプロフェッショナル」として、店舗などの商業空間、博物館などの文化空間、展示会などのイベント空間等、人が行き交うさまざまな社会交流空間づくりの課題解決をおこなっています。

この記事を書いた人
株式会社丹青社