オフィス緑化のメリット・効果とは?導入手順や具体例も紹介

ワークプレイス |

オフィス緑化には、従業員のストレス軽減や生産性向上など、さまざまなメリットがあります。しかし、オフィスに十分なスペースがない、メンテナンスが大変そうといった理由で、導入をためらっている人もいるかもしれません。

本記事では、オフィス緑化のメリットや具体例、導入手順などを解説します。ぜひ、参考にしてください。

オフィス緑化とは?

端的にいえば、オフィス緑化とは、オフィスに花や緑などの自然の要素を導入することです。オフィス緑化の規模はさまざまで、デスク上に観葉植物を置くなどの簡単なものから、壁面緑化などの大規模な工事が必要なものまであります。

オフィス緑化が重要視されている理由

オフィス緑化が重要視されている背景には、SDGsや健康経営に対する関心の高まりがあります。

SDGsは、持続可能な開発のための世界共通の目標です。SDGsでは17の目標が掲げられており、オフィス緑化は「目標13:気候変動に具体的な対策を」をはじめとする複数の目標に合致します。

また、従業員のメンタルヘルスと身体の健康を促進する「健康経営」への注目も、オフィス緑化が重要視される理由の1つです。オフィス緑化は、植物がもたらすリラックス効果やストレス軽減効果により、健康経営の効果的な施策の1つとして認識されています。

オフィスでの緑や花の導入状況

農林水産省が実施した「職場における花や緑の導入実態調査」によると、職場に花や観葉植物が飾ってあると回答した人は、全体の44.8%となりました。この結果から、約半数近くの職場にオフィス緑化が導入されていると分かります。

花や観葉植物の設置場所については、会社の入り口やロビーなどに置かれているという意見が目立ちました。一方、従業員が利用する業務スペースや休憩スペースにも設置されているという意見もあります。このことから、オフィス緑化は来客へのおもてなしのためだけではなく、職場環境の改善も意図されていると推測されます。

なお、植物のメンテナンスを行っているのは、従業員が53.4%と最も多く、次いで専門業者やオフィスの管理業者となっています。

参考:職場における花や緑の導入実態調査 | 農林水産省

オフィス緑化のメリット

オフィス緑化に取り組むと職場環境の良化が期待できます。オフィス緑化のメリットを以下で詳しく解説します。

ストレス軽減

従業員のストレスを軽減する目的で、オフィス緑化に取り組む企業が増えています。ストレスが軽減される理由は、植物を目にすると脳内のアルファ波が増加し、心身ともにリラックスした状態になるためと考えられています。

また、国土交通省の調査によると、目に入る緑の割合が高いほど、多くの人がリラックスできると感じていることが明らかになっています。

参考:観葉植物の生活環境に対する影響評価 : 環境デザインのための基礎的研究
参考:都市の緑量と心理的効果の相関関係の社会実験調査について | 国土交通省

生産性向上

ストレスが軽減され、リラックスした状態で仕事に取り組むと、生産性の向上が期待できます。仕事をする上では、ある程度の緊張感は必要ですが、過度な緊張感はパフォーマンスを低下させる可能性があります。

実際に、環境省が実施した「オフィス緑化に関する優良事例調査」では、オフィス緑化による集中力や生産性の向上を実感していると回答した従業員が、全体の42%を占めました。このデータは、オフィス緑化が従業員のパフォーマンス向上に寄与する可能性を示唆しています。

参考:オフィス緑化に関する優良事例調査|環境省

企業ブランディング

オフィス緑化は企業ブランディングの効果も期待できます。オフィス緑化によって「企業として従業員の健康を考えた施策を実施している」「SDGsへの取り組みも積極的に実施している」などと、取引先や求職者などの関係者に認知してもらえるためです。

また、社外の関係者から職場環境を認められると、従業員は誇りや愛着を感じながら働けると考えられます。

コミュニケーション活性化

オフィス緑化によって適度にリラックスした状態で働く従業員が増えると、コミュニケーション活性化も期待できます。緊張状態の人が多い環境よりも、リラックスした状態の人が多い環境の方が、コミュニケーションは円滑になると考えられます。また、花や観葉植物のメンテナンスを通じて、従業員間の自然な会話が生まれるかもしれません。

実際に、環境省が実施した「オフィス緑化に関する優良事例調査」では、「緑化をきっかけに会話が生まれ、コミュニケーションが増えた」と回答した企業もあります。

参考:オフィス緑化に関する優良事例調査|環境省

オフィス緑化の例

オフィス緑化の例を紹介します。手軽に実施できるものから始めて、効果が見られるようであれば、大規模なものに挑戦するとよいでしょう。

棚やデスク上に置く

棚やデスク上に鉢植えを置く方法は、手軽にできるオフィス緑化の1つです。花や観葉植物を床に直接置かなければ通行の妨げにならず、大きな配置変更をせずに済みます。

業務スペースや休憩スペース、来客の目に入るようなロビーやエントランスなど、さまざまな場所を鉢植えで緑化しましょう。

天井から吊るす

オフィスのスペースが限られている場合は、花や観葉植物を天井から吊るす方法も検討しましょう。天井から吊るすことで、動線の妨げにならず、棚やデスク上のスペースも有効活用できます。また、吊るされた花や観葉植物に視線が吸い寄せられると、縦方向の広がりを意識でき、オフィスに広さを感じられます。

壁に設置する

壁面をグリーンウォールにする方法も、オフィス緑化におすすめです。グリーンウォールは、動線の妨げにならないうえに、インテリアとして見応えがあるため大勢の人に楽しんでもらえます。

ただし、グリーンウォールを本物の花や観葉植物でつくる場合、メンテナンスが難しいケースがあります。メンテナンスの手間を抑えつつ、美しいグリーンウォールを維持するには、フェイクグリーンの使用も検討するとよいでしょう。

人工芝を敷く

オフィスの床に人工芝を敷くと、オフィス内のイメージを一新できます。こまめな剪定が必要な天然芝とは異なり、人工芝ならメンテナンスの手間がかかりません。

ただし、人工芝の上にゴミやホコリが入り込むと、掃除が大変になる場合があります。人工芝をきれいな状態に保つためには、人工芝の上や付近での飲食を禁止する、土足で歩かないなどのルールが必要です。

パーティションを利用する

オフィス内のパーティションに工夫して花や観葉植物を取り付け、緑化する方法もあります。パーティションが緑化されていると、圧迫感を与えずに空間をゆるやかに仕切れます。特に、木目調のパーティションのようなナチュラルなデザインのものは、花や観葉植物とよく調和するでしょう。

オフィス緑化の手順

オフィス緑化の手順は以下のとおりです。

  1. 目的と予算の策定
  2. 施策の担当者の決定
  3. 植物を選ぶ
  4. 配置の決定・導入

植物の種類を決める際は、現在のオフィス環境との相性を重視しましょう。オフィスの日照条件や風通し、スペースなどによって、適した植物は異なります。また、主にメンテナンスを担当する従業員の意見も、積極的に取り入れることが大切です。

オフィス緑化の注意点

オフィス緑化を実施する際には、導入コストとメンテナンスコストが発生します。コストは、導入する植物の数や種類、緑化の施工方法によって変動します。予算オーバーを防ぐには、事前に予算を設定しておくことが重要です。

また、日々のメンテナンスが従業員の負担になる可能性もあります。水やりの頻度が少なくて済む植物を取り入れる、適宜フェイクグリーンを活用するなど、管理しやすい工夫を施しましょう。

オフィス緑化を効果的に実施するためのポイント

オフィス緑化の効果を高めるポイントとして、目的を明確にする大切さと、専門業者に依頼するメリットを解説します。

オフィス緑化の目的を明確化しておく

オフィス緑化を進める前に、目的の明確化が重要です。緑化によってオフィスのインテリアは大きく変化しますが、緑化自体が目的になってはいけません。

オフィス緑化を通じて何を実現したいのかを明確にすると、緑化の効果を最大限に発揮できます。例えば「従業員のストレス緩和と同時に、オフィスの雰囲気も改善したい」という目的があるなら、施工範囲が広くオフィスの雰囲気がガラリと変わる、グリーンウォールの導入がおすすめです。

専門業者に相談する

オフィス緑化について専門業者に相談すると、自社の目的にマッチした緑化を実現しやすくなります。専門業者は、オフィス緑化に関する豊富な知識とノウハウを持っています。オフィスの環境や目的に合わせて、最適な植物の選定や配置、メンテナンス方法などを提案してくれるでしょう。

丹青社は、オフィスや商業施設などさまざまな空間づくりをサポートしています。豊富なノウハウと技術力、専門力で、オフィス緑化を含めた空間づくりをワンストップでサポートできます。

まとめ

オフィス緑化にはさまざまなメリットがあります。鉢植えを置くように手軽に始められる方法もあるため、まずは気軽にオフィス緑化を試してみるのもよいでしょう。オフィス緑化を本格的に導入する際は、専門家への相談をおすすめします。

丹青社は、多様な施設の調査・企画・設計・施工・運営管理に至る幅広い分野で事業展開を行っています。チェーンストア事業ではパイオニアとしての競争優位を築き、文化施設事業においては、専門のシンクタンクを擁し、業界でも有数のシェアを持っています。

オフィスの空間づくりなら、ぜひ丹青社にご相談ください。


この記事を書いた人

株式会社丹青社

「こころを動かす空間づくりのプロフェッショナル」として、店舗などの商業空間、博物館などの文化空間、展示会などのイベント空間等、人が行き交うさまざまな社会交流空間づくりの課題解決をおこなっています。

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