会社の引っ越しでやるべきこと|各種手続きや移転後の注意点を解説

ワークプレイス |

会社の引っ越しは、単なる移転作業にとどまらず、登記や税務、社会保険、通信環境の変更、そして取引先への連絡など、多岐にわたる対応が求められます。これらを正しく処理しなければ、業務に支障が出たり法令違反となったりするリスクもあるため注意が必要です。

この記事では、会社の引っ越しに伴い必要となる各種手続きの内容や、社外対応や移転後の運営における注意点まで、わかりやすく解説していきます。

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会社の引っ越しに伴う住所・登記・税務関連の手続き

会社の移転では、まず「住所変更」に関する届け出が重要です。登記の変更だけでなく、税務署や都道府県税事務所、市区町村役場などへの手続きも必要になります。ここでは、移転時に求められる主な書類やその提出先、注意点について解説します。

転居届

会社の住所変更時は、郵便局へ「転居届」を提出することで、旧住所宛の郵便物を1年間新住所へ無料転送できます。取引先への連絡漏れがあっても、郵便が届く仕組みを確保できるため安心です。ただし、転送開始には数日かかるため、引越し前に申請しておきましょう。

なお手続きは郵便局窓口だけでなく、郵便局公式サイトからオンラインでも可能です。業務上の郵便物が多い企業程、移転前の事前手続きを徹底しましょう。

異動届出書

異動届出書は、会社の本店移転時に税務署へ提出する重要書類です。法人税や消費税に関する納税地の変更を届け出るためのもので、移転後速やかに提出する必要があります。提出先は移転前の管轄税務署であり、登記手続き後に取得した登記簿謄本の写しを添付するのが一般的です。

e-Taxでも提出可能ですが、手続きミスを防ぐためには控えを保存し、提出先税務署を正確に確認しておくことが大切です。

移転登記

会社の本社や支店を移転した場合、法務局で「移転登記」を行うことが法律で義務付けられています。本店は移転後2週間以内、支店は3週間以内が提出期限です。管轄が変わるときは、旧・新両方の法務局へ手続きが必要になります。

提出書類には、登記申請書、株主総会または取締役会議事録、定款の写し、印鑑証明書などが必要です。登録免許税は管轄内3万円、管轄外6万円と費用も異なるため、事前に確認しておきましょう。

給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書

この届出書は、会社の給与支払事務所に関する情報を税務署に届け出るためのもので、移転後1か月以内に提出する必要があります。提出先は移転前の管轄税務署で、登記事項証明書や変更内容を証明する書類の写しを添付します。

納税地変更がある場合は、異動届出書とあわせて届け出るのが一般的です。書類は窓口・郵送・e-Taxで提出できますが、いずれも控えの保管を忘れずに行いましょう。

会社の引っ越しに伴う労務・保険・車両に関する変更手続き

会社の移転に伴い、労務関係や保険、車両に関する届け出も必要です。これらは所轄の労働基準監督署、年金事務所、警察署、ハローワークなどへの手続きが中心となります。提出期限が短いものもあるため注意が必要です。ここでは、主な4つの手続きについて解説します。

労働保険名称・所在地等変更届

労働保険に関する変更は、原則として新オフィスの管轄を担当する労働基準監督署へ「労働保険名称・所在地等変更届」を提出します。一元適用事業所はそのまま提出できますが、二元適用事務所(建設業・農業など)の場合は、雇用保険関連はハローワーク、労災保険関連は、労働基準監督署と提出先が分かれるため注意が必要です。

いずれも移転後10日以内の提出が必要で、提出先の管轄を間違えないよう事前確認が大切です。

健康保険・厚生年金保険適用事務所名称/所在地変更(訂正)届

会社が移転した際は、年金事務所にて「健康保険・厚生年金保険適用事業所名称/所在地変更(訂正)届」を提出します。管轄が変更となる場合でも、書類の提出先は移転前の年金事務所となるため注意が必要です。

提出期限は移転後5日以内で、登記簿謄本の写しなど移転先の所在地を確認できる書類を添付します。申請は窓口だけでなく、郵送や電子申請にも対応しています。

車庫証明

社用車を保有している場合、移転後は警察署に「自動車保管場所証明申請書(車庫証明)」を提出する必要があります。法的な提出期限は明示されていませんが、届出を行わなければ原則として事業所の車両を保有できません。

できるだけ早期に移転先の所在地を管轄する警察署で申請を済ませましょう。証明書の交付には、駐車場使用許可証や会社の所在地確認書類が必要になる場合があります。

雇用保険事業主事業所各種変更届

雇用保険に関する情報を変更する際は、ハローワークへ「雇用保険事業主事業所各種変更届」を提出します。提出期限は移転日から10日以内で、登記事項証明書や労働保険名称・所在地等変更届の控えを添付する必要があります。

原則として郵送は不可で、窓口申請または電子申請が求められます。まず労働基準監督署での手続きを済ませ、その控えをもとにハローワークで申請を行う流れが一般的です。

会社の引っ越しに伴う防火・防災に関する各種届出

オフィスを移転した際には、防火・防災に関する各種届け出も忘れてはなりません。建物の用途や規模、工事の有無などに応じて、消防署への提出が必要な書類が複数あります。期限が厳格に定められているものもあるため、忘れないよう確実に対応しましょう。

防火・防災管理者選任(解任)届出書

消防法第8条により、一定規模以上の事業所では防火管理者の選任が義務付けられています。会社移転に伴い、新たに防火管理者を選任または解任する場合は「防火・防災管理者選任(解任)届出書」を移転先の管轄消防署に速やかに提出する必要があります。

提出時には、防火管理講習修了証の写しや経歴証明書の写しなど、防火管理者としての資格を証明できる書類を添付します。

参考:消防法第8条|e-GOV法令検索

防火対象物使用開始届出書

オフィスビルやテナント物件などで新たに事業を開始する際は「防火対象物使用開始届出書」の提出が必要です。提出先は移転先を所管する消防署で、原則として使用開始の7日前までに届け出なければなりません。

内装工事の有無にかかわらず必要となるため、使用予定日の決定後は早めに対応しましょう。管轄消防署によって提出期限が異なる場合もあるため、事前の確認が重要です。

防火対象物工事等計画届出書

オフィスの内装工事を行う場合は、工事開始の7日前までに「防火対象物工事等計画届出書」を消防署へ提出しなければなりません。パーテーション設置や床・壁の改装などが該当し、添付書類として平面図、立面図、案内図、建具表など複数の図面が必要です。

ただし、天井に達しないローパーティション程度の軽微な工事は対象外です。提出先は移転先の管轄消防署となります。

消防計画作成(変更)届出書

防火管理者を選任した事業所では、消防計画の作成または変更が義務づけられています。そのため移転後に新たな計画を立てた場合、「消防計画作成(変更)届出書」を移転先の管轄消防署に提出する必要があります。提出時には、実際に策定した消防計画書や避難経路図、消火設備の配置図などを添付します。

これらの手続きは、内装業者が代行することも多いため、業者と事前に話し合っておきましょう。

会社の引っ越しで必要な「社外への連絡・契約変更」

行政手続きと並行して進めるべきなのが、社外との契約や連絡対応です。スムーズな移転を実現するには、各種対応のタイミングや手順に注意が必要です。ここでは、社外対応のポイントについて解説します。

現オフィスの契約終了と原状回復に向けた段取り

退去6か月前を目安にオーナーへ解約通知を出し、原状回復工事の手配を進めます。指定業者が指定されている場合もあるため、契約書の内容を確認しましょう。敷金の償却や精算条件も含め、トラブル防止のため事前に合意内容を整理し、工事完了までのスケジュール管理を徹底するようにしましょう。

金融機関の登録情報の更新

銀行や法人クレジットカードの登録住所変更も重要です。手続きには通帳や社印、登録事項証明書が必要となる場合があります。金融機関ごとに方法が異なるため、早めの確認と準備が欠かせません。手続き完了までに時間がかかることも多く、業務上の入金・決済に影響しないよう早期対応を心がけましょう。

通信インフラ(ネット・電話)の利用先変更と引き継ぎ準備

ネット・電話の移設や契約変更には時間がかかるため、移転前から手配を進めておきます。現在の契約会社へ解約または移転の連絡を入れ、使用開始希望日を明確に伝えましょう。複合機などのリース機器も対象となるため、回線・設備全てを棚卸して、業務に支障の出ないよう計画的に進める必要があります。

取引先への住所変更通知と業務連絡の徹底

取引先への移転連絡は、信頼維持のためにも丁寧な対応が求められます。まずは連絡先をリストアップし、通知文の文面を確認して誤字脱字を防ぎましょう。はがき・メールいずれでも構いませんが、形式や言葉遣いに注意しましょう。挨拶を添えることで印象を損なわず、移転後もスムーズな関係を継続できます。

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オフィス移転後の運営で気をつけたいこと

オフィスの移転は業務環境を一新するチャンスである一方、見落としがちな運営上のリスクも潜んでいます。まず、旧オフィスと比較してセキュリティ水準が下がっていないか、十分なチェックが必要です。万が一、情報漏えいなどの事故が発生すれば、企業の信頼を大きく損なう恐れがあります。

また、移転に伴って人員構成が変わる場合には、レイアウトや導線を再設計することも重要です。使い勝手の悪い設備や動線の不備は、従業員のストレス要因となり、生産性の低下やメンタル不調につながる可能性もあります。

オフィス移転は「終わったら完了」ではありません。移転後こそ、働きやすい環境をつくるための運営の見直しが不可欠です。

まとめ

会社の引っ越しには、登記や税務、労務、消防など幅広い手続きが伴います。移転後も設備やセキュリティ、従業員の快適性などに配慮し、スムーズな運営を実現するには、事前の計画と一貫した対応が重要です。

丹青社は、多様な業界の空間づくりで培ったノウハウを活かし、柔軟かつ的確なオフィス空間をご提案します。現在のオフィスに課題を持つ方は、ぜひ丹青社へご相談ください。


この記事を書いた人

株式会社丹青社

「こころを動かす空間づくりのプロフェッショナル」として、店舗などの商業空間、博物館などの文化空間、展示会などのイベント空間等、人が行き交うさまざまな社会交流空間づくりの課題解決をおこなっています。

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