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オフィスを改装するメリットは?手順・コツ・参考になるビジネス空間事例を紹介
ワークプレイス |
オフィスでの動きやすさや作業効率を向上したいものの、どのように改装したらよいかを悩む企業は多いでしょう。この記事では、オフィスを改装する判断基準をはじめ、メリットや費用目安などを解説します。さらに、オフィスを改装する手順や注意点、参考になるビジネス空間事例もまとめているので、ぜひ参考にしてください。
目次
オフィスの改装とは?
オフィスの改装とは、主に内装・レイアウト・インテリアを見直して快適性や生産性を高めることを指します。また、ブランドイメージの強化や向上などを目的に、外観を新しくするケースも改装のひとつです。
レイアウト変更やインテリアの新調などで簡単に済むケースもあるものの、多くの場合はインターネット回線の整備やレイアウト変更を伴うため、大規模な工事になります。
オフィスの改装と改修との違い
改装と似た言葉に改修があります。改修とは、安全性や機能性の向上のために既存の構造や設備を修理または補修することです。改装は見た目や雰囲気を変化させる一方で、改修は設備や機能を向上させるという点で異なります。
オフィス改装を判断する基準

オフィス環境の改善を目指すときは、選択肢として移転を検討することもあるでしょう。改装を検討する際は、以下のような基準で判断するのがおすすめです。
移転は考えていない
現在のオフィスの条件が業務や従業員の利便性などにマッチしているなど、移転が難しい場合は改装が適しています。また、数年後までの事業計画で、今のオフィスが広さ・利便性ともに問題がない場合も改装がおすすめです。
従業員数に適している広さなのに狭さを感じる
従業員数に対して適した広さであるにもかかわらず、狭さや使いづらさを感じる場合は改装を検討した方がよいでしょう。十分なスペースがあっても、レイアウトの非効率や動線の悪さが働きにくさを生む場合があります。1人当たりの面積に問題がない場合でも、改装によって利便性が向上する可能性は高いといえます。
オフィス面積を計算する方法
従業員数から必要なオフィス面積を計算するには、以下の式を活用するのがおすすめです。
- オフィス面積 = (利用人数 = 在籍人数 × 出社率) × 1人当たり面積
従業員の出社率が流動的な場合は、出社率と席数から計算する方法もあります。
- オフィス面積 = (席数 = 在籍人数 × 出社率 × 席余裕率) × 1席当たり面積
オフィスを改装して得られる5つのメリット

オフィスを改装すると見た目がすっきりするだけではなく、以下のように多くのメリットが得られます。
生産性や業務効率が向上する
働き方に適した空間に改装すれば、業務効率の向上を通じて生産性の高まりも期待できます。たとえば、オフィス内をスムーズに動けるように動線を変更すると、移動時間の短縮が可能です。
また、仕切りつきのデスクや個室ブースなどの設置は、従業員の集中力向上につながります。リフレッシュスペースやカフェブースを設置して働きやすい環境を実現できれば、従業員のストレス緩和につながるでしょう。
企業イメージの向上につながる
オフィスの来客者に好印象を与えられるのも改装のメリットです。会社案内、ホームページ、広告などに社内の写真を掲載することで、ブランディングにもつながります。また、採用のタイミングでは「きれいなオフィスで働きたい」などの希望がある新卒の学生に対してもアピールしやすいでしょう。
従業員のモチベーション・エンゲージメントが上がる
きれいで快適なオフィスは、従業員のモチベーションアップにもつながります。「企業から大切にされている」という意識が生まれ、会社への帰属意識や組織のために貢献したいというエンゲージメントにもつながるでしょう。カフェスペースなどを設置すれば、悪天候でも外に買い出しに出かける必要がなくなり、リラックス効果も期待できます。
社内コミュニケーションが活発になる
社内コミュニケーションを重視したデザインやレイアウトにすれば、コミュニケーションの活性化が期待できます。社内コミュニケーションが活性化するオフィス改装のアイデアは、後述するので参考にしてください。
関連記事:オフィスコミュニケーションを活性化するためのレイアウトやスペースを紹介!
コスト削減につながる
オフィスの改装はコスト削減にも効果的です。特に以下のポイントを押さえておくと、光熱費の削減につながります。
- 空調や照明の新調による電気代の効率化
- 床・壁・天井の素材変更による空間反射率の向上
- ブラインドやレイアウト変更による西日対策
- パーテーション撤去による空調の効率化
- フリーアドレスによる固定デスクの削減
関連記事:オフィス照明の改善テクニックとは?交換メリットや照明選びのコツなどを徹底解説
オフィスを改装するときの種類と費用

改装の内容によって異なるものの、一般的なオフィス改装の種類や費用は以下のとおりです。
全体的な改装の場合
オフィス内のデザイン・レイアウトのすべてを作り直す全体的な改装は、自由度が高いメリットがある一方で費用も高くなります。ただし、オフィスの老朽化が激しい、イメージを刷新したいなどのケースにはおすすめです。
デザインやレイアウトを大きく変更すると、全体の空調システム、電気系などの内部設備、オフィス家具の配置などの設置変更も必要になります。
全体的な改装の費用
オフィスを全体的に改装する場合、工事の内容によっては別の場所で業務をすることになります。そのため、仮のオフィスを用意する費用が工事代金に上乗せされます。改装時にオフィス家具や設備を新調する場合は、さらに費用が高くなる点に注意しましょう。
関連記事:オフィスレイアウトの基本やデスク配置パターンを解説【最新事例20選も紹介】
部分的な改装の場合
生産性向上のためにフリースペースやリフレッシュスペースを設置したい、企業ブランディングのために受付を改装したいなど、特定の場所のみを改装したい場合には、部分的な改装がおすすめです。全体改装に比べて費用を抑えられるものの、できることは限られます。
部分的な改装の費用
オフィスの部分的な改装の費用は、工事する箇所によって変わります。また、全体的な改装と同様に、改装部分のオフィス家具や設備を新調するとさらに費用が必要です。
オフィスの改装で利用できる補助金・助成金
オフィス改装の際には、国や行政からの補助金・助成金を利用することでコストを抑えられます。ここでは、主な補助金・助成金について解説します。なお、記載の情報は2025年1月時点の内容です。
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
ものづくり補助金とも呼ばれる「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」は、中小企業・小規模事業者向けの設備投資を支援する制度です。生産性向上を目的とする設備投資が対象になります。令和6年度の内容は、補助・助成率は2分の1もしくは3分の1まで、補助・助成額の上限は750万円~8,000万円でした。
参考:公募要領(18次締切分) 概要版|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト
IT導入補助金
「IT導入補助金」は、中小企業・小規模事業者などが自社の課題やニーズに合うITツールを導入するのを支援する補助金です。ソフトウェアやクラウドなどが対象になります。2024年度からはインボイス制度対応への支援枠が設けられました。補助・助成率は2分の1~5分の4まで、補助・助成額の上限は5万円~3,000万円です。
受動喫煙防止対策助成金
「受動喫煙防止対策助成金」は、オフィス内での禁煙・分煙を目的とした中小企業事業主向けの助成金です。オフィス内に喫煙ブースなどを設置する場合に、費用の一部が助成されます。ただし、従業員数や資本金などに条件があるので注意が必要です。助成率は2分の1または3分の2で、上限額は100万円になります。
参考:受動喫煙防止対策助成金 職場の受動喫煙防止対策に関する各種支援事業(財政的支援)|厚生労働省
事業承継・引継ぎ補助金
「事業承継・引継ぎ補助金」とは、既存事業と別の取り組みをするなど、中小企業の新しい事業を支援する補助金制度です。事業転換や経営革新に伴うオフィス改装は、経営革新枠を利用できる可能性があります。
オフィスを改装する手順

オフィスを改装する際は、以下のように入念な計画や手続きが必要になります。
改装目的を明確にする
まずは、現在のどのような問題を解決したいのか、なぜ改装が必要なのかを具体的にすることが大切です。「仕事の効率化」「コミュニケーション活性化」など、改装によって何を達成したいのかを明確にしましょう。実施のために必要なスペースを確保できるかどうかの確認も必要です。目的を明らかにするために、他社の事例を参考にするのもよいでしょう。
費用や期間を見積もりする
改装の目的や方向性が決まったら、いくつかの業者に見積もりを依頼して、費用や期間を比較します。予算が決まっている場合は、事前に伝えておくとスムーズに進められるでしょう。全体を改装する場合は、一時的に作業を行う場所の費用・期間も合わせて見積もることを忘れないようにしてください。
土日や夏季休暇などは工事が集中する傾向にあります。早めに計画を立ててスケジュールに余裕を持たせましょう。
デザイン・レイアウト・インテリアを決める
見積もりを比較して業者が決まったら、具体的なデザイン・レイアウト・インテリアを決めます。目的に合った機能性を果たしているか、従業員が働きやすい動線になっているかを確認しましょう。全体的な調和を確認することも重要です。床や壁などのオフィスのデザインと、デスクとチェアなどのインテリアがマッチしているかなども忘れずに確認しましょう。
関連記事:こだわりのオフィスインテリアにするには?検討するポイントと事例を紹介
許認可や法的手続きを確認する
改装する際には、許認可や法的手続きの有無の確認も必要です。賃貸物件の場合は、オーナーの許可が事前に必要なケースもあるので「賃貸借契約書」を確認しましょう。避難経路を変更した場合やパーテーションなどによる個室ブースを増設した場合などは、消防署への届出が必要です。
オフィスの改装工事を実施する
改装工事の際は従業員に事前に案内し、円滑に工事が進むように協力を求めておくことが重要です。業者が工事を行う前に什器や備品の整理をしておくとスムーズに進みます。工程表をチェックして、必要な準備があれば早めに進めておきましょう。
竣工後のアフターフォローを確認する
オフィスの改装が終了した後のアフターフォロー体制を事前に確認しておきましょう。問題が発生した場合は、誰にどのような連絡をするのか、保証はどのようになっているのかなどを確認しておくと安心です。
オフィスを改装する際のコツ
オフィスを改装する際は、以下のコツを押さえておくとリスクを減らせます。
スケジュールに余裕を持つ
工事期間は規模によって異なるものの、一般的には1か月から1か月半程度かかります。そのため、工事開始までに2か月程度の準備期間を設けておくと、複数の業者をじっくりと比較検討できるでしょう。また、施工を完了させたい日の3か月前には業者を決定しておくと、計画がスムーズに進みやすくなります。
従業員の意見を集める
オフィスの改装は、経営層や担当部署だけで決めるのではなく、実際にオフィスで働く従業員の意見を聞くことが重要です。たとえば、目的が「生産性向上」の場合は、経営層や担当部署など特定の人のアイデアや意見だけで決めてしまうと、従業員と考えが合わない場合に逆効果になることがあります。全社アンケートや部署ごとのヒアリングなどを行い、従業員の意見も取り入れましょう。
優先順位をつけて考える
アンケートなどで従業員から意見を集めると、さまざまな要望が出ることが多く、意見がまとまらない恐れがあります。改装には予算や物理的な制約があるため、解決したい課題に沿って優先順位をつけて整理しましょう。
自社ならではのデザインにする
企業ロゴ・企業理念をイメージしたものやコーポレートカラーを取り入れると、ブランディング強化や従業員のエンゲージメントにつながります。コーポレートカラーがない場合でも、落ち着きがある色、熱意や暖かみのある色など、企業のイメージに合った色を選ぶと自社ならではの雰囲気が生まれます。
社内コミュニケーションが活発になるオフィス改装のアイデア

社内コミュニケーションの活発化を目指したい場合は、以下で解説するオフィス改装のアイデアを参考にしましょう。
フリーアドレスの導入
フリーアドレスとは、従業員がオフィス内に固定席を持たず、自分の好きな席で働くワークスタイルです。空いている席を利用するスタイルで、オフィスにいない人のスペースも活用できます。フレックスタイムやリモートワークなど、多様化した働き方にも対応できるため、多くの企業が導入しています。
関連記事:オフィスをフリーアドレスにする手順とは?基本から導入事例も
パーテーションの撤去
仕事に集中しやすいように設置していた仕切りやパーテーションを撤去することで、周りの人とのコミュニケーションを促せます。仕切りやパーテーションがあった空間が減るため、スペースを有効活用できます。空調や照明の効率が向上する点もメリットです。
ミーティングスペースの設置
情報交換やアイデア出しをする際のミーティングスペースを設置するのもおすすめです。人が集まりやすい場所にオープンスペースで設けると気軽に利用できるだけでなく、思い立ったときにすぐ意見の交換ができるため時間を有効に使えます。リフレッシュルーム、フリースペース、ランチスペースを兼ねることも可能です。
カフェスペースの設置
カフェのような空間で過ごすことで、リラックス効果やリフレッシュ効果を期待できます。打ち合わせ、Web会議、昼食スペース、イベントなど多目的に利用できるのもメリットです。カフェスペースで交わした何気ない会話や情報交換で、新たなアイデアが生まれやすくなります。
関連記事:オフィスカフェとは?社員食堂・休憩室との違いやポイントを解説
オフィスの改装を依頼するときの業者の選び方
オフィスの改装を依頼するときは、以下のような点に注意して業者を選びましょう。
オフィス改装の実績がある
オフィス改装の実績がある業者は、過去の経験から技術やノウハウを持っているので、自社では思いつかないようなアイデアを提案してくれることがあります。業者のホームページなどをチェックして、過去の施工事例などを確認するとよいでしょう。
業者の事例や実績を知ることで、希望のグレードに合った業者を探しやすくなります。グレードや予算が擦り合わないなどの手間を省くことができて効率的です。
オフィス改装の法律に詳しい
オフィスの改装には、物件の貸主との契約をはじめ、消防法、建築基準法など法律的な問題が出てくるケースがあります。契約や法律に詳しい業者を選ぶとサポートしてもらえるので安心です。
サービス内容が充実している
ワンストップサービスなどを謳っていても、対応範囲外の項目には触れられていないケースがあるので注意しましょう。たとえば、不要品の廃棄処分は対応できないなどのケースがあるため、サービスの範囲は見積もりの段階でチェックしておくことが重要です。
また、不具合があったときの対応や保証制度などのアフターサービスについても見積もりの段階で確認しておきましょう。定期的な訪問やメンテナンスがある業者は相談しやすく安心できます。
オフィスを改装するときの注意点
オフィスを改装するときは、以下の点に注意が必要です。後悔しないためにも準備は入念に行いましょう。
賃貸の場合はオーナーに相談する
賃貸物件に入居しているオフィスは、工事の範囲が建物ごとに定められています。必ずオーナーに確認を取らなければならないので注意しましょう。また、賃貸物件の場合は原状回復が基本です。オーナーには、改装や原状回復の範囲を確認しておきます。改装で追加したパーテーションなどは、退去する際に撤去しなければならないケースもあるので注意が必要です。
施工可能な範囲を確認する
建築基準法上、オフィスの改装は工事できる範囲が決まっています。基本的に共用部分は改装できません。デザインやレイアウトを検討する前に、施工可能な範囲と改装できない部分を確認しておく必要があります。
複数業者に見積もりを依頼する
業者を選定する際は、複数社から見積もりを取ることが重要です。費用面の比較はもちろん、過去の実績やサービス、アフターサービスなども十分に比較しましょう。電話やメールのレスポンスの早さ、問い合わせに対しての対応の仕方なども確認しておくと安心です。
オフィス改装の参考になるビジネス空間の事例
丹青社は多くのビジネス空間を手掛けています。オフィスの改装の際には、施工事例から新たなアイデアが生まれることもあるでしょう。ビジネス空間の事例を紹介するので、ぜひオフィス改装の参考にしてください。
MonotaRO 本社
仕事や生活の環境が多様化した現代においては、仕事をする場所が限定されなくなりました。オフィス空間でしかできないことを具現化することを課題として、あらゆるシチュエーションに対応でき、人数や使い方に縛られないオフィスが実現しました。
やまやコミュニケーションズ 本社オフィス
株式会社やまやコミュニケーションズでは、本社オフィスの面積縮小に伴い、効率的かつ使いやすいレイアウトを目指し、テーマを「コミュニケーションの活発化を促すオフィス」に設定しました。
やまやコミュニケーションズ 本社オフィス | 実績紹介 | 株式会社丹青社
USEN-NEXT GROUP オフィス
USEN-NEXT GROUPは、複数の建物に分散していた9社約1300人のグループ企業を移転統合し「NEXT STYLE OF OFFICE」をテーマに、結束強化と働き方改革の推進を課題にしました。業務に適した場所を従業員が自由に選択できる「ABW(Activity Based Working )」を推進するため、多様な執務環境を準備したのが特徴です。
USEN-NEXT GROUP オフィス | 実績紹介 | 株式会社丹青社
インテリジェンス ビジネスソリューションズ 本社
ITエンジニアのワークスタイルにフィットしたオフィスをつくることを課題とし、従業員のコミュニケーションを円滑に図りながら、他社に常駐するエンジニアの帰属意識を高めることを目的としました。オフィスエントランスのドアには、インテリジェンスグループのロゴモチーフの「扉」のフォルムを起用しています。
インテリジェンス ビジネスソリューションズ 本社 | 実績紹介 | 株式会社丹青社
Startup Base Camp
生産性の高いワークプレイスの提供と企業同士のコラボレーション、競争意欲を刺激させる仕掛けを盛り込むことを課題にしました。企業の個性をビビッドなカラーに置き換えたことで、活気ある環境が実現しています。フロア半分の面積を共有エリアにしたことで、自由なワークスタイルが実現しました。
Startup Base Camp | 実績紹介 | 株式会社丹青社
まとめ
オフィス改装は、作業効率や従業員のモチベーション向上、企業イメージ強化など多くのメリットがあります。改装を計画する際は目的を明確にし、デザインやレイアウトを慎重に検討することが重要です。
丹青社は、施設の調査から企画・設計・施工・運営管理に至るまで、幅広い分野で事業展開を行っており、チェーンストア事業のパイオニアとして競争優位を築いています。業界No.1のシェアを誇る文化施設事業では、専門のシンクタンクを備えています。オフィス改装にも役立つ資料をご活用ください。
この記事を書いた人

株式会社丹青社
「こころを動かす空間づくりのプロフェッショナル」として、店舗などの商業空間、博物館などの文化空間、展示会などのイベント空間等、人が行き交うさまざまな社会交流空間づくりの課題解決をおこなっています。

この記事を書いた人
株式会社丹青社