オープンスペースとは?導入メリットや注意点、ポイント、具体的な活用例などを解説

ワークプレイス |

近年、働き方改革やオフィス環境の見直しが進むなかで、「オープンスペース」が注目を集めています。この記事では、オープンスペースの基本概念からメリット・デメリット、運用の進め方などを解説します。活用例や導入ポイントも解説するので、参考にしてください。

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オープンスペースとは

オープンスペースとは、壁やパーティションで仕切られていない開放的な空間のことです。オフィスでは、従業員が自由に使える多目的エリアとして活用され、リフレッシュスペースやコミュニケーションスペースとも呼ばれます。目的や部署ごとに空間が区切られていた従来のオフィスとは異なり、部署の垣根を超えた交流を促進する環境として注目されています。

オフィスにおけるオープンスペースのメリット

オフィスにおけるオープンスペースが、企業と従業員にもたらすメリットについて解説します。

コミュニケーションの活性化

開放的な空間では、部署やチームの垣根を超えた従業員同士の交流が促進され、コミュニケーションが生まれやすくなります。他部署との情報交換に移動が必要だった従来のオフィスと違い、スムーズな情報交換が可能です。雑談からも新しいコラボレーションやアイデアが創出され、部署間の連携によい影響を与えます。

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生産性の向上

業務中の従業員の集中力や能率を上げるためには、適度な休憩やリフレッシュを挟むことがよいとされています。長時間同じ場所で作業を続けると集中力が低下しがちですが、オープンスペースで環境を変えることにより、リフレッシュ効果が得られます。居心地のよい空間でオンオフの切り替えが適切に行われると、生産性向上につながります。

アイデア創出

リラックスした環境では、従業員の発想力や創造性が高まります。一時的でも業務から離れて心身をリフレッシュすることにより、固定観念にとらわれない柔軟な思考が促進されます。また、オープンスペースでの従業員同士の雑談や情報交換の中から、予期しない新しいアイデアが生まれることも多くあります。

コスト削減

オープンスペースを導入すると、オフィスの一部は壁やドアの設置を抑えられるため、材料費や工事費を削減できます。また、フリーアドレス制と組み合わせることで、従業員全員分の席が不要となり、ワンフロアでより多くの従業員が働けるようになります。これによりオフィス面積の縮小が可能となり、家賃などの固定費削減につながります。

企業ブランディング・イメージ向上

従業員が働きやすい環境を整備することで、企業のイメージ向上につながります。オープンスペースの存在は、就職活動における自社のアピールポイントにもなり、優秀な人材の獲得に有効です。従業員のモチベーション向上により離職率低下が期待でき、人材の定着効果も見込めます。

オフィスにおけるオープンスペースのデメリット

オープンスペース導入は多くのメリットがある一方で、課題もいくつかあります。3つの課題について解説します。

集中力やプライバシーが損なわれる可能性

壁やパーティションがない開放的な環境では、従業員のプライバシー確保が困難です。周囲の視線や動きが常に気になり、自身の業務に集中できない従業員が出てくる可能性があります。また、機密性の高い業務や重要な会議の実施が難しくなるほか、監視されている感覚により心理的ストレスを与えるケースもあります。

感染症リスクと環境管理面の課題

仕切りがないオープンスペースでは、多くの従業員が同じ空間で働くため、感染症の拡大リスクが高まります。開放的な環境では誰かが感染症にかかると、ウイルスが空間全体に広がりやすくなるためです。企業には従業員の健康を守る義務があり、オープンスペース導入にあたっては、一層の対策が必要です。

温度管理や設備管理の複雑化

オープンスペースでは、空間全体を一定の温度に保つことが困難です。そのため、従業員1人ひとりの快適な温度を維持できない課題があります。また、フリーアドレス制では特定の席を好む人が同じ場所に座り続けることもあり、使用者層が偏ることでメリットがいかされない懸念もあります。

快適なオープンスペースを設置するためのポイント

オープンスペースの効果を最大化するためには、適切な設計と運用が重要なポイントになります。それぞれについて解説します。

ゾーニングと集中エリアの確保

オープンスペースの課題である集中力低下を解消するため、用途別のゾーニングが効果的です。コミュニケーションエリア、集中エリア、リフレッシュエリアなど、従業員が業務内容や気分に応じて働く場所を選択できる環境を整備します。集中エリアは一般ワークスペースから離れた場所に設置し、視線や雑音が程よく遮断されるようにするのがポイントです。

整理整頓と清掃管理の仕組み化

オープンスペースでは多くの従業員がデスクやイスを共有するため、整理整頓と清掃の仕組み化が不可欠です。エリア内に簡易的な掃除用具を設置し、離席時に手軽に掃除ができる環境を整えましょう。また、毎週決まった時間に全従業員一斉で掃除する時間を設けるなど、清掃が習慣化するようなルールの策定もおすすめです。

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オープンスペース運用の進め方

オープンスペースの導入では、段階的かつ体系的な運用アプローチが必要です。4ステップに分けて解説します。

1. 目的の明確化

オープンスペース導入前に、目的を明確にすることが重要です。コミュニケーション活性化、生産性向上、コスト削減など、具体的な目標を設定します。目的が曖昧だと、設計や運用が一貫性を欠き、期待する効果が得られません。明確な目的があることで、従業員への説明時にも理解と協力を得やすくなります。

2. 従業員の意見収集

オープンスペース設置前に、アンケートやヒアリングを通じて従業員の意見を積極的に収集します。現場で働く従業員のニーズや要望を反映させることで、実務に適した空間を実現可能です。一部の管理層だけで決定すると、従業員にとって使いにくい空間になる可能性があります。具体的な意見を収集し、設計に反映します。

3. 利用ルールの策定

オープンスペースは多くの従業員が共有して利用するため、明確な利用ルールの策定が不可欠です。電話やWeb会議の実施方法、飲食に関する規則、設備の使用後の復旧方法などを具体的に定めます。また、清掃や整理整頓に関するルールも重要です。利用者全員が快適に使用できる環境を、維持する仕組みを構築しましょう。

4. 運用開始後のフィードバック収集

オープンスペース運用開始後は、定期的にフィードバックを収集し、継続的な改善を図ります。従業員の利用状況や満足度を調査し、課題を把握しましょう。また、アンケートやヒアリングを通じて、実際の使用感や要望を収集し、必要に応じてレイアウトの変更やルールの見直しを行います。フィードバックに基づく改善実施により、積極的な活用につながるでしょう。

オープンスペースの活用例

オープンスペースは多様な用途に活用できます。従業員の働き方をサポートする2つの活用法について、解説します。

多目的ワーキングスペースとしての活用

可動式の1人用テーブルとイスを採用することで、個人作業から少人数の会議、大規模な研修やセミナーまで、その時々の用途に合わせて使用席数やレイアウトを柔軟に変更できます。スタッキングタイプの家具を使用すれば、利用しない時には積み重ねて省スペースで収納可能です。このように、フレキシブルなスペース活用により効率向上を図れます。

カジュアルミーティング・交流拠点としての活用

オープンスペースは、部署や役職の垣根を超えて従業員が集まれる交流拠点として活用できます。執務室や会議室では話しにくいライトな会話も楽しめるため、自然なコミュニケーションが促進されます。ソファ席やカフェタイプの設備を設置し、気軽な打ち合わせや意見交換の場として活用することで、偶発的な出会いから新しいアイデアが生まれることもあるでしょう。

オープンスペースを導入する方法

オープンスペースの導入には、自社対応と専門業者依頼の2つの方法があります。それぞれ解説します。

自社での設計・施工

オフィス設計の知識がある場合は、自社での設計・施工も可能です。コストを抑えられる、従業員のニーズを直接反映できるなどのメリットを享受できます。ただし、計画立案から実行まで多岐にわたるタスクがあり、担当者の負担が大きく、日常業務に影響する可能性があります。自社の状況に応じて判断しましょう。

専門業者への相談・依頼

専門業者への依頼により、プロのノウハウを活かしたオフィスづくりが実現できます。専門業者は法規制への対応、消防法や安全対策についても専門知識を持っているので、オープンスペースの導入に関しても安心して任せられます。豊富な事例と経験により、効果的なレイアウト提案を受けられ、理想的なオープンスペースの実現が期待できるでしょう。

まとめ

オープンスペースは開放的な空間として、現代のオフィス環境において重要な役割を果たします。コミュニケーションの活性化、生産性向上、アイデア創出、コスト削減など多くのメリットをもたらす一方で、プライバシーの確保や集中力の維持といった課題もあります。効果的な導入のポイントを押さえ、自社に最適なオープンスペースを検討しましょう。

丹青社は、多様な業界の空間づくりで培ったノウハウを活かし、柔軟かつ的確なオフィス空間をご提案します。現在のオフィスに課題を持つ方は、ぜひ丹青社へご相談ください。


この記事を書いた人

株式会社丹青社

「こころを動かす空間づくりのプロフェッショナル」として、店舗などの商業空間、博物館などの文化空間、展示会などのイベント空間等、人が行き交うさまざまな社会交流空間づくりの課題解決をおこなっています。

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