サステナブルなオフィスをつくる方法とは?メリット・注目される背景も解説

ワークプレイス |

環境保護やSDGsへの企業貢献が強く求められるようになるなか、オフィス環境の構築にも、サステナブルの考え方を取り入れる企業が増えています。

本記事ではサステナブルなオフィスとは何か、注目される背景やメリット、サステナブルなオフィスを構築する具体策、サステナブル経営との関連などを解説します。先進的なオフィスをつくるために役立てください。

目次

サステナブルなオフィスとは何か

ここではサステナブルなオフィスとは何か、サステナブルの定義から解説します。

そもそもサステナブルとは

サステナブル(Sustainable)とは、「持続可能な」という意味のある言葉です。この意味から現在は、社会や環境に配慮しながら経済活動を発展させる概念として使われています。

SDGs(Sustainable Development Goals)と関連して、サステナブルが使われるケースも多くなっています。SDGsは環境問題や人権問題といった世界的に取り組むべき課題について、国連が定めた社会課題とその目標で、ここでもサステナブルが重要なキーワードになっています。

サステナブルなオフィスとは

サステナブルなオフィスの厳密な定義はありません。一般的には、地球環境に配慮しながら、従業員の生産性を高められるオフィスを指します。代表的な取り組み例としては、オフィス環境の改善によって達成できる省エネや、廃棄物の削減などが挙げられます。

サステナブルなオフィスが求められる背景

サステナブルなオフィスへの注目が集まっている背景には、ビジネスを取り巻く世界的な潮流が関係しています。

企業の社会的責任が厳しく問われるようになった

これまでの大量生産・大量消費型のビジネスモデルを改め、脱炭素や森林保護など、サステナブルな活動に移行する企業責任が大きくなっています。この責任を果たすためには、オフィス環境の改善も含めて、サステナブルな企業活動に変えていく必要性が高まっています。

ESG投資が拡大傾向にある

ESG投資とは、環境・社会・ガバナンスに関する非財務情報を考慮して投資することです。ESG投資は拡大傾向にあり、環境に配慮しない企業は投資家から資金を集めにくい状況です。そこでサステナビリティをアピールするために、オフィス環境に配慮する企業が増えています。

社会貢献への意識を持つ従業員が増えた

サステナブルな社会の実現に貢献したいと考える人は増えています。このような従業員にモチベーションや誇りを持って働いてもらうためには、サステナブルな企業文化と活動が効果的です。サステナブルなオフィス構築は従業員満足度を高める施策になり得ます。

オフィス環境と関係が深いサステナブルのテーマ

オフィス環境と関係が深いサステナブルのテーマとしては、グリーンエネルギー導入・省エネ、無駄な消費・廃棄の削減、サステナブルな産業への支援があります。

1. サステナブルなエネルギーの導入や省エネを推進

太陽光発電や風力発電といったグリーンエネルギー導入や、消費電力が少ない省エネ設備の導入は脱炭素、地球温暖化対策につながります。オフィス設備を更新してサステナブルな社会実現に貢献しようとするのは、サステナブルなオフィスの主要テーマの1つです。

2. サステナブルな消費の仕組みをつくる

サステナブルな消費と生産の仕組みを構築するには、無駄な消費、廃棄を避けるべきです。例えば、オフィスをIT化してペーパーレス化を進めたり、テレワークを導入して、移動にともなうエネルギー消費を抑えようとしたりする取り組みがあります。

3. サステナブルな産業を支援する

サステナブルな活動をしている企業の商品、サービスを利用したオフィス業務によって、間接的にサステナブルな社会実現に貢献できます。例えば、リサイクルできるオフィス用品を利用したり、シェアサービスを利用したりするなどが挙げられます。

サステナブルなエネルギーの導入や省エネを実現するための具体策

ここからは、前述した3つのテーマ別に具体策を紹介します。まずはサステナブルなエネルギーの導入と、省エネを実現するための具体策を紹介します。

センサーライト導入による節電

人を感知してオンオフするセンサーライトを、廊下やトイレなど常時人がいない場所に設置することで、省エネにつながります。これらの省エネ量は微々たるものかもしれません。しかし企業全体で導入して長期継続すると、大きな成果になる場合もあります。

白熱電球からLEDに変える

白熱電球や蛍光灯から消費電力の低いLEDに交換すると、電気の使用量を抑えられます。電気代のコストカットが見込めるため、企業が導入しやすいサステナブルな取り組みといえるでしょう。

エアコン効率を高める

断熱性能の高い断熱材を入れたり、自動最適化機能のついたオフィス用の空調システムを導入したりすると、エアコンの省エネにつながります。電気機器のなかでも消費電力が大きいエアコンの効率が上がれば、大きな省エネ効果が見込めるでしょう。

ハイブリッドワークに適したオフィスを構築する

ハイブリッドワークとは、テレワークとオフィスワークを選択して働けるワークスタイルです。電車やバスなどの交通機関を乗り継いで出社する社員が減れば、移動にともなうCO2排出を削減できます。

ハイブリッドワークでは出勤者がローテーションするため、固定席がなく、自由に自席を選べるフリーアドレスのオフィスが適しています。

グリーン通勤の支援(駐輪所の設置・増設)

自転車はCO2の排出がないサステナビリティな交通手段の1つです。こうしたグリーン通勤を支援するために、自転車通勤のための駐輪所の設置・増設を行う企業が増えています。利用者を増やすために、通勤距離に応じた通勤手当を出すなど、制度変更に取り組んでいる企業もあります。

グリーンエネルギーの導入

施設内に太陽光発電設備を設置して、オフィスで自家消費する企業が増えています。自家消費した分は、火力や石油といった化石燃料で発電した電気を使わずに済むため、環境負荷の低減に貢献できます。

設置スペースや予算がない場合は、電力会社やプランを変更できないか検討するとよいでしょう。再生可能エネルギーで発電した電気を使うプランに変更すれば、間接的にグリーンエネルギーを導入できます。

スマートオフィスやスマートビルに入居する

スマートオフィスやスマートビルに移転する方法もあります。これらの環境配慮型のオフィスとしては、年間の一次エネルギーの収支をゼロにできるZEB認定の建物が代表的です。

ただし、オフィスを移転しなくても、設備更新によって環境配慮型のオフィスに移行できる場合もあります。

サステナブルな消費の仕組みをつくるための具体策

続いて、サステナブルな消費の仕組みをつくるための具体策を紹介します。

ペーパーレス業務を増やす

森林保全のための代表的な取り組みの1つがペーパーレス化です。ペーパーレス化を成功させるためには、紙文書がなくても円滑な業務ができるオフィス環境が求められます。例えば、モニター、タブレットなどのペーパーレス業務をしやすい機器の充実や、ITツール導入などを進めていくとよいでしょう。

リサイクルボックスやコンポストボックスを設置する

オフィス内にペットボトルや、古紙回収のリサイクルボックスを設置する企業が増えています。また、飲食店では生ごみをたい肥化できるコンポストボックスを設置する事例も増えています。こうした取り組みは、サステナブルな意識を従業員に持たせるための意識改革としても有効です。

食堂やカフェをつくる

食堂やカフェをつくると、従業員がコンビニ食品やペットボトルなどを買いにくくなります。結果として使い捨てのカトラリーや容器の消費を減らせるでしょう。食堂やカフェの新設は、コミュニケーション活性化や、従業員満足度の向上を目的とするケースが多いですが、脱プラスチック対策やゴミの削減としても効果的です。

サステナブルな産業を支援するための具体策

サステナブルなオフィスでは、業務のやり方もサステナブルであるべきといえるでしょう。そのための具体策を紹介します。

環境に配慮したオフィス用品を用いる

環境に配慮したオフィス用品を使うことも、サステナブルなオフィスの一環です。例えば、環境負荷の少ない植物性インクや再生紙を使用したり、自然に戻る素材のペンを使ったりすることが考えられます。省エネのプリンターやスキャナーなどを導入するのもよいでしょう。

リース・シェアリング・サブスクリプションサービスを活用する

オフィス環境を整える際は、なるべく物を捨てない、買わないことが大切です。そのためには、リース・シェアリング・サブスクリプションサービスを活用しましょう。これらはPaaS(Product as a serbice)と呼ばれ、サステナブルの観点から注目されています。

サステナブルなオフィスを構築するメリット

サステナブルなオフィスづくりは、社会にとっても自社にとっても有益です。主なメリットを4つ解説します。

環境保護・SDGsに貢献できる

サステナブルなオフィスを構築できれば、省エネや廃棄物削減などによって環境保護・SDGsに貢献できます。オフィス改善で達成できることが少なくても、社会責任を果たす企業として方向性や姿勢を示せます。可能な範囲で取り組むとよいでしょう。

コスト削減につながる

サステナブルな取り組みは、コスト削減につながるケースが多々あります。例えば省エネによる電気代削減や、ペーパーレス化による紙代・インク代の削減などです。これらは初期費用がかかりますが、長期的に見るとコストメリットが出る場合が多いでしょう。

企業ブランディングの効果がある

サステナブルなオフィスを持つ企業は、環境保護・SDGsに貢献している企業として、イメージがよくなる傾向があります。また、企業イメージが向上すると、就活生や転職者が増え、採用活動にもよい影響が出ることを期待できます。

従業員満足度が向上する

サステナブルなオフィスを構築すると、従業員満足度の向上も期待できます。ハイブリッドワークの推進やペーパーレスによる業務効率化など、働きやすさにつながる部分が多いためです。また、社会貢献意識が高い企業カルチャーに、誇りや働きがいを感じる従業員もいます。

サステナブルなオフィスは「サステナブル経営」にもつながる

サステナブルなオフィスは、「サステナブル経営」にもつながります。サステナブル経営とは何か、サステナブルなオフィスとどのような関係があるか解説します。

サステナブル経営とは何か

サステナブル経営とは、環境、社会、経済において持続可能な状態を目指す経営スタイルです。明確な定義はありませんが、GRIスタンダードのテーマに沿ったサステナブル経営を行うと、社会的な評価を受けやすくなります。

GRI(Global Reporting Initiative)は、サステナビリティに関する国際基準の策定をしている非営利団体です。GRIスタンダードには環境配慮のテーマがあり、サステナブルなオフィス構築は、この環境テーマについての経営と関連付けられます。

詳しい内容については、下記リンクをご覧ください。

参考:GRIとの連携 GRIスタンダードの理解と普及|サステナビリティ日本フォーラム

サステナブル経営に取り組むメリット

サステナブル経営に取り組むと、社会的責任を果たす企業として企業価値を高められます。具体的には、企業イメージ向上によって消費者から支持を得て売上を伸ばしたり、投資を呼び込んで資金を獲得したりできるなど、ビジネス的なメリットがあります。

まとめ

サステナブルという言葉は、SDGsと関連付けられて一般的になっています。オフィス環境の構築においても、サステナブルの観点は重要です。先進的な企業として評価されるためにも、オフィス環境の見直しを検討してはいかがでしょうか。

丹青社は、チェーンストア事業においては、空間づくりのパイオニアとして、日本を代表するセレクトショップや、レストランチェーンの店舗づくりの実績が豊富です。また、文化施設事業においては、専門のシンクタンクを備え、業界No.1のシェアを誇っています。

多様な施設におけるサステナブルなオフィス環境構築についても、企画・設計から施工、運用管理に至るまでワンストップで請け負います。ぜひご相談ください。


この記事を書いた人

株式会社丹青社

「こころを動かす空間づくりのプロフェッショナル」として、店舗などの商業空間、博物館などの文化空間、展示会などのイベント空間等、人が行き交うさまざまな社会交流空間づくりの課題解決をおこなっています。

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