WELL認証の評価項目を徹底解説|快適で健康的なオフィスをつくる10のコンセプト

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WELL認証は、働く人の健康や快適性を軸にオフィス環境を評価する国際制度です。10のコンセプトを基準に空気や光、音など多様な要素を確認し、建物の健康性を総合的に捉えます。この記事では、それぞれの評価項目の詳細や特徴、ランク基準を整理しながら、どの領域を改善すればよいかを理解できるよう解説していきます。

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目次

WELL認証とはオフィスの健康性を総合的に評価する国際認証制度のこと

WELL認証は、働く人が心身ともに健康に過ごせる環境かどうかを建物全体から評価する国際的な制度です。アメリカのIWBIが運用しており、空気や光、温熱環境など日常の働きやすさに直結する要素を細かく確認します。

従来の環境配慮型評価とは異なり、建物の性能だけでなく利用者の快適性や安心感を重視している点が特徴です。世界中で導入が進んでおり、日本でも人材確保や働き方改革の流れから注目されています。働く環境を改善したい企業にとってわかりやすい指標といえます。

関連記事:WELL認証とは?|認証項目や取得のメリット、手順を解説

WELL認証は10個のコンセプトで建物の健康性を評価している

WELL認証では、オフィスの健康性を多面的に評価するために、建物の環境を10個のコンセプトに分けて評価します。空気や水といった基本的な要素だけでなく、光・音・温熱環境といった働きやすさに関わる項目、さらにはメンタル面やコミュニティ形成に関する要素まで幅広く網羅していることが特徴です。

これらのコンセプトごとに必須基準と加点項目が設定されており、総合的に建物の健康性を判断します。どの領域から取り組むかを示しやすいため、オフィス改善の指針として活用しやすい仕組みとなっています。

関連記事:WELL認証で高まるオフィスの価値|働きやすさと企業価値を両立する方法

身体の健康を支える評価項目(空気・水・食物・運動)

身体の健康を支える評価項目では、働く人が安心して過ごせる環境かどうかを「空気・水・食物・運動」の面から確認します。ここでは、それぞれの項目がどのような視点でチェックされるのかを解説します。

空気(Air)|空気質・換気・汚染管理に関する評価項目

空気の評価では、室内の空気が清潔で呼吸しやすい状態かを細かく確認します。換気が不十分な空間は「風通しの無い部屋に長時間こもる感覚」に近く、疲れやすさにも影響する重要な項目です。

WELLでは汚染物質の管理や換気量、空気清浄の仕組みなどをチェックし、働く人が安心して過ごせる空気環境が保たれているかを評価します。

水(Water)|水質や飲料水の安全性に関する評価項目

水の評価では、飲料水の安全性や味・においなど、日常的に利用する水の質を確認します。たとえば「水がなんとなく飲みにくい」と感じるオフィスでは、自然と水分補給が減ってしまい、集中力の低下にもつながりかねません。WELLでは有害物質の有無や浄水設備の状態をチェックし、安心して飲める水が提供されているかを見極めます。

食物(Nourishment)|栄養バランスや食品提供に関する評価項目

食物の評価では、オフィスで提供される飲食物が健康的な選択につながるかを確認します。たとえば、栄養バランスの取れたメニューが選べる環境か、添加物やアレルゲンへの配慮が行われているかといったことがチェック対象です。食事に関する情報提供の仕組みも含め、働く人が無理なく健康的な食習慣を保てる環境かどうかを判断します。

運動(Movement)|アクティブな働き方と移動しやすさに関する評価項目

運動の評価では、働く人が自然と体を動かせる環境かどうかを確認します。たとえば階段を使いやすい動線になっているか、座ったり立ったりを切り替えられる家具が整っているかなどがチェック対象です。オフィス内での移動のしやすさや、軽い運動を取り入れられる仕組みも含め、日常的に身体を動かしやすい空間になっているかを評価します。

快適な作業環境をつくる評価項目(光・温熱快適性・音・材料)

快適な作業環境に関しては、働きやすさに直結する「光・温熱・音・材料」の4つを中心に確認します。どれも日常の過ごしやすさを左右する重要なものです。ここでは、それぞれの項目でどのような評価が行われるのか解説します。

光(Light)|自然光・照明計画・視環境に関する評価項目

光の評価では、自然光の取り入れ方や照明計画が目の負担を減らす設計になっているかを確認します。たとえば明るさが均一か、まぶしさを防ぐ工夫があるかといった内容がチェック対象です。働く人が集中しやすい照明環境が整えられているかを総合的に判断します。

温熱快適性(Thermal Comfort)|温度・湿度・空調環境に関する評価項目

温熱快適性の評価では、室内の温度や湿度が適切に保たれているかを細かく確認します。席によって寒暖差が生じていないか、空調の設定が適切に管理されているかなどがおもなチェックポイントです。働く人がストレスなく過ごせる温熱環境を実現できているかを、多角的に判断する項目です。

音(Sound)|騒音の抑制や音環境の質に関する評価項目

音の評価では、オフィス内の音が作業の妨げにならないかを多面的に確認します。会話や機器音、外部の雑音が過度に響かないか、吸音材やレイアウトで適切な対策が取られているかがチェック対象です。静けさの確保だけでなく、アナウンスやオンライン会議の聞こえやすさなど、音の質も含めて評価します。

材料(Materials)|建材の安全性・有害物質の管理に関する評価項目

材料の評価では、建材や仕上げ材に含まれる化学物質が基準を満たしているかを丁寧に確認します。放散量の少ない素材を採用しているか、施工後や運用時に適切な管理が行われているかといったことがチェック項目です。室内の空気の質を守るため、素材選定から維持管理まで一貫した取り組みが求められる評価内容になっています。

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メンタルヘルスとつながりを支える評価項目(こころ・コミュニティ)

メンタル面や人とのつながりに関する評価では、働く人が安心して過ごせる心理的な環境や、組織としてのコミュニケーションの質を確認します。ここでは、各項目の詳細について解説します。

こころ(Mind)|メンタルヘルス・自然とのつながりに関する評価項目

こころの評価では、働く人の心理的な安定を保つための仕組みが整っているかを確認します。たとえば休憩スペースのあり方や、自然を感じられるデザインの導入など、心身の負担を和らげる工夫がチェック対象です。ストレスをため込みにくい環境を作る上で欠かせない内容が多く、メンタルヘルスを維持しやすいオフィスづくりに役立つ項目です。

コミュニティ(Community)|組織文化・コミュニケーションに関する評価項目

コミュニティの評価では、働く人同士が協力し合える関係を築いていけるかを多角的に確認します。情報共有の仕組みや交流を促すスペースが整っているか、組織文化としてのサポート体制があるかといった点が評価の中心です。孤立を防ぎながら協働を促す環境を整えられているかが大切で、職場全体のつながりを強める指標として活用できます。

WELL認証の種類と評価ランクの仕組み

WELL認証には建物だけでなく、組織や地域など異なる範囲を対象とした複数の種類があります。また取得後は得点に応じて4段階のランクが定められ、取り組み状況を分かりやすく示せる仕組みです。ここでは、それぞれの種類とランク基準について解説します。

WELL認証の4つの種類(建物・組織・地域・安全性)

WELL認証には4つの種類があり、対象範囲に合わせて選択できます。詳細は以下のとおりです。

種類認証の特徴
WELL v2(建物)建物そのものの環境性能を評価します。健康性・快適性の10コンセプトを総合的に確認します。
WELL at scale(組織)複数拠点やグループ全体を対象に、統一基準で健康性を評価できる仕組みです。
WELL Community(地域)街やエリア全体の健康性を評価する制度で、地域スケールの環境づくりを対象とします。
WELL Health-Safety(安全性)感染症対策や衛生管理など運用面の安全性を評価します。書類審査が中心で導入しやすいことが特徴です。

これらの種類は、企業の目的や改善したい範囲によって選び方が変わります。たとえば単体オフィスを改善したい場合は「WELL v2」、複数拠点を一緒に改善したい場合は「WELL at scale」が最適です。地域の価値向上や安全性強化など目的別に活用しやすい仕組みです。

評価ランク(プラチナ・ゴールド・シルバー・ブロンズ)の基準

WELL認証のランクは、必須項目を満たした上で獲得した加点の合計により決まります。詳細は以下のとおりです。

  • ブロンズ:40~49点
  • シルバー:50~59点
  • ゴールド:60~79点
  • プラチナ:80点以上

点数によって取り組みの深さや改善度合いが明確に示されるため、社内外への説明や改善計画の立案にも活用できます。より高いランクを目指すことで、環境整備の質が高めやすくなる仕組みです。

関連記事:WELL認証最高ランク「プラチナ」のオフィスが導入する3つのソリューション|コミュニケーションを生み出す仕掛けとは?

まとめ

WELL認証は、働く人の健康性や快適性を客観的に整理できる指標で、オフィス改善の道筋を見つける上で役立ちます。今回紹介した10のコンセプトは、日々の生産性や満足度にも関わる重要な要素であり、空間づくりを計画する際の判断材料になります。
ただ、すべてを一度に整える必要はありません。自社の課題やフェーズに合わせて、取り組む領域を段階的に広げていく進め方が現実的です。また、専門的なデザイン力や技術力をもつパートナーの力を借りることで、WELLの考え方を実務に落とし込みやすくなります。

丹青社は、多様な業界の空間づくりで培ったノウハウを活かし、柔軟かつ的確なオフィス空間をご提案します。現在のオフィスに課題を持つ方は、ぜひ丹青社へご相談ください。


この記事を書いた人

株式会社丹青社

「こころを動かす空間づくりのプロフェッショナル」として、店舗などの商業空間、博物館などの文化空間、展示会などのイベント空間等、人が行き交うさまざまな社会交流空間づくりの課題解決をおこなっています。

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