WELL認証で高まるオフィスの価値|働きやすさと企業価値を両立する方法

ワークプレイス |

オフィス環境が働きやすさや企業価値に影響する時代になり、空間づくりの質が重視されています。そのような中で、従業員が健康的に働ける環境を整えたい企業から注目されているのが「WELL認証」です。空気・光・音といった要素を多角的に評価し、働く人に配慮した空間かどうかを客観的に示せます。

この記事では、WELL認証の基本や種類、取得までの流れに加えて、導入により期待できる効果について解説していきます。

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WELL認証とは働く人に配慮したオフィス環境を評価する制度のこと

WELL認証は、建物内で働く人が心身ともに健康に過ごせる環境かどうかを客観的に示す国際的な評価制度です。運営元はアメリカのIWBIで、空気・光・温熱などの要素を基準にオフィスの健康性を評価します。ここでは、この制度が目指す方向性や注目される背景について解説します。

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WELL認証の目的

WELL認証の目的は、働く人が快適に過ごせる環境を整え、組織全体のパフォーマンスを高めることにあります。空気や光の質、温熱環境、音の快適性など人体へ影響する要素を総合的に評価し、健康的に働けるオフィスを作る指標として活用されます。

従業員が安心して働ける空間が整うと集中しやすくなるだけでなく、組織の生産性向上も可能です。よりよい職場づくりに向けた具体的な改善軸を示してくれるため、多くの企業から注目されています。

WELL認証が注目される背景

WELL認証への関心が高まる背景には、働き方の変化や人材確保の難しさがあります。職場環境が働きやすさに直結するようになり、企業は従業員がムリなく働ける空間づくりを求められるようになりました。環境が整うと離職を防ぎやすくなり、採用活動でも評価されるため、オフィス改善への投資が広がっています。

さらに、移転やリニューアルの機会に国際基準を取り入れる動きが強まり、健康性を示せる指標としてWELL認証を選ぶ企業が増えている状況です。

WELL認証を取得するまでの流れ

WELL認証を取得するには、評価の仕組みを理解した上で必要な手順で進める必要があります。認証には複数のランクがあり、各レベルで求められる基準が異なる仕組みです。ここでは、WELL認証のランクと審査の流れについて解説します。

WELL認証の種類

WELL認証には「ブロンズ・シルバー・ゴールド・プラチナ」の4段階があります。いずれも必須項目の達成が前提となり、加点項目の取得度合いで評価が分かれる仕組みです。ブロンズは基礎的な健康性を確保できていることを示します。

シルバーは快適性を高める取り組みが一定水準に達したレベルで、社内外からの信頼にもつながります。プラチナは最も包括的に健康性を追求した環境として評価されるランクです。

関連記事:WELL認証最高ランク「プラチナ」のオフィスが導入する3つのソリューション|コミュニケーションを生み出す仕掛けとは?

WELL認証の審査手順

WELL認証の審査は、書類提出と現地確認の2つを軸に進められます。まずは運営機関への登録を行い、評価項目を満たしている内容をまとめた書類を準備します。書類審査に通ると、空気や光などの環境要素を客観的に測定する現地調査へと進み、基準を満たしていれば認証が付与される流れです。

取得後は継続的な改善も求められるため、更新(3年)のタイミングを見据えた管理体制も欠かせません。

WELL認証を取得することで得られる効果

WELL認証を取得したオフィスは、単に「優れたオフィス」として認められるだけではありません。従業員の意欲や定着率、不動産としての評価など、企業活動のさまざまな面に影響します。ここでは、WELL認証がもたらすおもな効果について解説します。

従業員エンゲージメントの向上

WELL認証では、空気・光・音・温熱環境といった要素を整え、働きやすい状態を継続的に維持できるかが重視されます。従業員が「会社が自分たちの健康を大切にしている」と実感できれば、組織に対する信頼感が高まるでしょう。その結果、職場の雰囲気が良くなり、部署を超えた協力も自然と生まれやすくなります。

評価制度だけに依存せず、日々の働きやすさを通じてエンゲージメントを高められる点は、WELL認証の大きな強みと言えるでしょう。

人材確保への効果

求職者が企業を選ぶ基準として、待遇だけでなく「どのような環境で働けるか」を重視する傾向が強まっています。長く働ける環境かどうかを気にする人が増え、企業の姿勢が問われる場面も多くなりました。WELL認証を取得したオフィスは、働く人への配慮を客観的に示せるため、安心感を持ってもらいやすいことが魅力です。

環境に対する姿勢を具体的に伝えられるため、採用活動での訴求力も高まりやすいといえます。

生産性の向上

照明・温度・音・空気の質といった、作業に直結する環境が整えば、日々の業務に集中しやすくなります。まぶしさや騒音のような小さなストレスを軽減できれば、生産性が向上するだけでなく、ミスを抑えることも可能です。さらに、体調を崩しにくくなるため、パフォーマンスも安定します。

結果的に組織全体の動きにもムラが出にくくなり、計画通りに業務が進みやすくなります。

不動産価値の向上

従来のオフィスは、立地や設備の新しさに注目が集まっていました。しかし、働く人の健康や快適性が重視される今は、それだけでは選ばれにくい状況です。WELL認証を取得した物件は、健康に配慮した空間である証明になり、入居率も上がりやすくなります。

その結果、長期的に利用してもらえる可能性が高まり、物件としての価値を安定させやすくなります。

企業ブランディングの強化

従来は制度や福利厚生で企業姿勢を示すケースが多く、他社との差別化を明確に図るのが難しい状況でした。WELL認証を取得できれば、職場の質を客観的に示せるため、採用や広報で一貫したメッセージを発信しやすくなります。人材の確保だけでなく、取引先からの信頼獲得も可能です。

他社とは異なる独自の姿勢や魅力を発信できるため、ブランドとしての印象を強化しやすいことも大きなメリットです。

WELL認証を取得しやすいオフィスづくりのポイント

WELL認証を目指すには、単に設備を整えるだけではなく、従業員の負担を減らし、職場の質を高めるための工夫が欠かせません。評価項目に沿って改善すると、オフィス全体の快適さが上がりやすくなります。ここでは、WELL認証の基準に沿って実際に取り入れやすいポイントについて解説します。

空調・換気効率を高めた快適な空気環境

空気の質は働きやすさに直結する要素で、WELL認証でも重要な評価項目です。換気量が不足すると集中力が下がりやすく、業務効率にも影響するため、外気を取り込みやすい換気計画が欠かせません。換気扇や給気口の位置を見直すなどして吸気と排気の流れを確保します。

窓がある場合は風の通り道をつくるレイアウトに整え、密閉されやすいスペースにはCO₂センサーを設置すると換気のタイミングを把握しやすくなります。

断熱・遮熱性を意識した温熱環境の最適化

室温が安定しない環境では、暑さや寒さによって集中が途切れやすくなります。WELL認証では温熱環境の管理が問われますが、窓周りの改善が効果的です。直射日光が強い面には遮熱フィルムを施工し、外気の影響が大きい窓には内窓を追加すると温度差を抑えやすくなります。

天井や壁の断熱材を見直す方法もあり、空調負荷の軽減にもつながります。

採光と照明で働きやすさを高める工夫

自然光を十分に取り入れられるかどうかはWELL認証でも重視される要素です。窓周辺の棚などを減らし、光を遮らないレイアウトにすると明るさを確保しやすくなります。また、照明は、まぶしさを押さえた拡散タイプの器具を選び、使用目的に合わせて色温度を調整できる仕様にするのがおすすめです。

通路や執務エリアは明るさのムラをつくらない配置に整えると、どこにいても作業しやすい環境になります。

関連記事:オフィス照明の改善テクニックとは?交換メリットや照明選びのコツなどを徹底解説

運動と休息のスペースを設けたリフレッシュ環境

長時間座り続ける業務が続くと、体の負担だけでなく集中力の低下にもつながります。WELL認証では、運動や休息の機会を用意することで評価されるため、動線上に短時間で使えるストレッチスペースを設ける方法が効果的です。

また、カフェスペースやリラックス用の小上がりを用意すると、気分転換しやすくなります。スタンディングデスクを一部に配置すると姿勢を変えやすく、疲れ予防に効果的です。

関連記事:リフレッシュスペースで職場環境改善|必要性・メリット・注意点・成功事例を解説

防音性とBGMによる快適な音環境の整備

騒音が続く環境では、会話や作業に集中しづらくなります。WELL認証では音環境の管理が求められるため、壁紙に吸音パネルを取り付けたり、床にカーペット敷きを採用したりする方法が有効です。コピー機周辺の音が出やすいエリアには間仕切りを設けると業務スペースに響く音を抑えやすくなります。

さらに、一定の音量で流せるサウンドマスキングや軽めのBGMを活用し、周囲の話し声が気にならなくなるような工夫もおすすめです。

関連記事:オフィスにBGMを導入するには?期待できる効果やメリット・注意点を解説

バイオフィリアとユニバーサルデザインの導入

自然を感じられる要素を取り入れると、心理的な負担を軽減しやすくなります。窓際に観葉植物を配置したり、木目調の素材を使ったりする方法は、WELL認証でも推奨されている取り組みです。

動線には段差を作らず、スロープや手すりを設けると誰でも移動しやすくなります。また、ドア幅を広げたり、案内サインを見やすく配置するなどの工夫も有効です。

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まとめ

WELL認証は、働く人の健康性や快適性を整理できる指標で、オフィス改善の道筋を考える際に役立ちます。今回紹介したポイントは、生産性や満足度に関わる重要な要素で、空間づくりの判断材料になります。

全てを一度に整える必要はなく、自社の課題に合わせて段階的に進める方法が現実的です。体験価値まで踏まえて空間を具現化できるパートナーを活用すれば、WELL認証の考え方を実務へ反映しやすくなります。

丹青社は、多様な業界の空間づくりで培ったノウハウを活かし、柔軟かつ的確なオフィス空間をご提案します。現在のオフィスに課題を持つ方は、ぜひ丹青社へご相談ください。


この記事を書いた人

株式会社丹青社

「こころを動かす空間づくりのプロフェッショナル」として、店舗などの商業空間、博物館などの文化空間、展示会などのイベント空間等、人が行き交うさまざまな社会交流空間づくりの課題解決をおこなっています。

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