オフィスレイアウトを考案する際のポイントは?具体的なデスク配置や運用についても解説

ワークプレイス |

オフィスレイアウトは、組織の在り方や従業員同士のコミュニケーションなどに関わる重要な要素です。この記事では、オフィスレイアウトを考案する際のポイントや、レイアウトを決める手順を解説します。オフィスレイアウトをおしゃれにする方法や、デスク配置・運用の種類などにも触れるので、参考にしてください。

オフィスレイアウトを考案する際のポイント

オフィスレイアウトを考案する際、最初に気をつけておきたいポイントは以下の2点です。

解決したい課題を把握しておく

オフィスのレイアウトを変えることによって、課題が解決できる可能性があります。そのため、オフィスの現状を把握して、解決するべき課題を洗い出すことが大切です。

また、複数のレイアウトを組み合わせることによって、複数の課題解決につながることもあるでしょう。したがって、課題は可能な限り洗い出すべきといえます。

適切なワークスペースを用意する

ワークスペースとは、従業員1人あたりの作業場所のことです。作業場所が充分に確保されていないと、業務の効率や生産性に悪影響を及ぼします。オフィスレイアウトを考案する際は、1人ひとりに適切なワークスペースを割けるよう留意しましょう。なお、適切なワークスペースの大きさは職種や業務内容によって変わるため、事前に確認しておくことも重要です。

目的に合わせたデスクの種類を選ぶ

目的や用途に最適なデスクを選ぶことも、オフィスレイアウトを考案する際には重要といえます。一般的にオフィスで使われるデスクは、単体デスク、ロングデスク、キャスター付きデスク、電動昇降デスクの4種類です。

単体デスク

単体デスクは1人に1台割り当てて、個人それぞれで使用するタイプのデスクです。1人で自由に使用できるため快適なデスク環境をつくれる一方、他の用途へ転用するのには向きません。

ロングデスク

横幅のあるロングデスクは、使用する人数や1人あたりのスペースを柔軟に変更できます。しかし、設置した位置から動かすのは困難なため、レイアウトの変更に伴いデスクを移動する場合は、専門業者への依頼が必要です。

キャスター付きデスク

キャスター付きデスクは移動させやすいため、レイアウトの変更や他の用途への転用が簡単にできるのがメリットです。ただし、移動させるための余地を残したり、移動先で電源を確保したりしないと有効活用は難しいでしょう。

電動昇降デスク

電動昇降デスクは、天板の高さを変えられるタイプのデスクです。従業員それぞれが楽な姿勢で使えるようにしたり、立ちながらの作業が可能になったりするメリットがあります。ただし、昇降に電源が必要なため配置できる場所に制限が生じます。

オフィスレイアウトを決める手順

オフィスレイアウトは手順に沿って決めるのがおすすめです。オフィスレイアウトを決める手順を解説します。

コンセプトを明確にする

コンセプトが明確になっていないと、適切なオフィスレイアウトの設計は難しくなります。まずは、目指したい働き方から逆算したり、オフィスに求める機能・役割などを決めたりして、オフィスのコンセプトを明確にしましょう。

各部屋の面積配分を考える

限られたオフィススペースを有効活用できるよう、執務室や会議室など、各スペースの面積配分を考えましょう。一般的に、オフィスレイアウトにおいて必要なスペースと、それぞれの面積における比率の目安は以下の通りです。

種類比率
執務スペース55%
役員スペース8%
共有スペース14%
情報管理スペース10%
休憩スペース7%
収納スペース4%
交通スペース2%

面積配分を参考にゾーニングをする

先述の面積配分を参考に、ゾーニングを行います。ゾーニングとは、スペースを区分けしオフィスレイアウトの大枠を決める作業です。ゾーニングの際は、コンセプトと各スペースの目的・用途を考慮しましょう。

寸法や動線が問題ないか確認する

ゾーニングが完了したら、実際に図面化を行い、寸法や動線などに問題ないか確認しましょう。このとき、オフィス家具の大きさや、使い勝手なども考慮してシミュレーションします。

法令に即しているか確認する

オフィスのレイアウトは、各種法令に抵触しないように注意してください。留意するべき法令は、以下に挙げる建築基準法・消防法・労働安全衛生法の3つです。

該当する法規主な留意すべきな内容
建築基準法廊下の両側に部屋があると160cm以上の通路が必要
片側のみに部屋があると120cm以上の通路が必要
消防法個室に、煙感知器・熱感知器スプリンクラー・非常灯などを設置
労働安全衛生法労働者1人あたり10立米以上の気積を確保
照明の明るさ(照度)は300ルクス以上(付随的な作業なら150ルクス以上)に設定

参考:建築基準法
参考:消防法
参考:労働安全衛生法

デスク配置の種類

デスク配置には次のような種類があります。自社にとって最適なデスク配置を選択することが大切です。

対向型・島型

グループごとに集まり、デスクを向かい合わせるレイアウトです。この型は省スペースで運用でき、増員や席替えも容易に行えます。対面に人がいるためコミュニケーションが取りやすい一方で、個人で集中して作業するには向いていないスタイルです。

同向型・並列型

すべてのデスクを同じ方向に向ける、横並びのレイアウトです。個人での業務に集中しやすいうえ、横のデスクの人とコミュニケーションを取りやすい型といえます。しかし、複数人とコミュニケーションを取るには向かないでしょう。

背面型・ベンゼン型

隣の人同士で背中を向けるようにデスクを配置するレイアウトです。他者からの視線を遮れるため、1人での作業に適しているのに加えて、コミュニケーションも取りやすいでしょう。狭い場所でも採用しやすく、スペースを有効活用できるタイプです。

ブース型

パーティションやパネルでデスクを囲んだり、席間を仕切ったりして、個人ごとにブースをつくるレイアウトです。周囲の音や視線などが気になりにくく、個人での作業に集中しやすいのがメリットです。その分、コミュニケーションはやや取りにくいでしょう。

リンク型・ブーメラン型

ブーメランのような、120°のデスクを用いるレイアウトです。この配置では1人あたりが使える机の面積が広くなります。複数のモニターを使ったり、資料を広げて作業したりするのに便利です。

クロス型

縦横にデスクを交差させて配置するレイアウトです。ジグザグの通路がつくり出されるため、動線の固定化を防げるほか、お互いの視線も気になりにくい配置といえます。通路の利用にともない人と接する可能性が増えるため、コミュニケーションの活性化も期待できます。

卍型

4つの長方形デスクを卍形になるように組み合わせて並べるレイアウトです。お互いの視線が気になりづらいため、個人での作業に集中しやすいメリットがあります。同時に、デスク自体は隣接しているため、他の人と素早く連携が取れるのも利点です。

デスク運用の種類

デスクには、並べ方だけではなく運用方法にも種類があります。デスク運用の種類は大きく分けて以下の3つです。

固定席

固定席は、従業員それぞれに特定の席を割り当てる運用方法です。個人ごとに収納スペースを確保できたり、1台単位で移動できて小回りが利いたりする特徴があります。人員の増減に合わせてデスクの追加や移動が求められるため、効率の面では特別よいとはいえません。

フリーアドレス

フリーアドレスは、空いている席なら誰でも使用しても良いという方式です。自由度が高いため従業員同士のコミュニケーションが取りやすく、柔軟に運用できるのが利点となります。デスクに私物を収納できないため、場所を別途用意する必要があるでしょう。

グループアドレス

グループアドレスは、グループごとに、自由に使って良い席の範囲を設定する運用方法です。フリーアドレスと同じく、デスクに個人それぞれの私物を収納することはできません。しかし、チームがまとまって業務を進められる他、チーム内でコミュニケーションを取りやすいメリットがあります。

オフィスレイアウトをおしゃれにする方法

おしゃれなオフィスには複数のメリットがあります。オフィスレイアウトをおしゃれにする方法を解説します。

会社のイメージに合わせる

オフィスデザインは、会社のブランディングにおける重要な要素です。レイアウトに会社のイメージやコンセプトを取り入れることで、ブランディングとデザインの統一性を両立させられます。また、コーポレートカラーを取り入れるのも効果的です。企業のイメージをステークホルダーにアピールしやすくなるでしょう。

デザインの良い家具を配置する

一般的なオフィス家具ではなく、デザイン製の高い家具を配置する方法もあります。家具のデザインや配置によっても、オフィスの印象は大きく変わるものです。壁や床など、面積の大きなものを変更するには手間がかるうえ、賃貸オフィスの場合は変更自体が難しい場合もあります。家具なら比較的簡単に変えられ、トレンドに合わせやすいでしょう。

エントランスのデザインにも力を入れる

オフィスレイアウトをおしゃれな雰囲気にするには、エントランスのデザインも考慮しましょう。エントランスは、企業に対する第一印象を左右する存在です。企業理念や自社製品のイメージを意識したデザインにすると効果的です。

まとめ

オフィスレイアウトは、何らかの課題を解決するために行うものといっても過言ではありません。自社内でのコミュニケーションの活発化、ステークホルダーへのアピールなどの課題を設定したうえで、課題解決につながるレイアウトやデザインを実現しましょう。

オフィスレイアウトやデザインでお悩みの際は、プロに相談するのもおすすめです。株式会社丹青社ではオフィスだけではなく、商業施設や店舗などにおいて、導線やレイアウトなどを考慮した空間づくりのノウハウを生かしております。現在ある課題を解決し、洗練されたデザインと機能性が共存するオフィスの実現に向けて、ぜひ株式会社丹青社へご相談ください。


この記事を書いた人

株式会社丹青社

「こころを動かす空間づくりのプロフェッショナル」として、店舗などの商業空間、博物館などの文化空間、展示会などのイベント空間等、人が行き交うさまざまな社会交流空間づくりの課題解決をおこなっています。

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